Fate/Fake Apocrypha 作:dabittoson
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私は今頭を抱えていた。
用意された触媒は先端に青黒い血が付着した古びた矢だ。
これにより召喚されるサーヴァントは2体に限られてくる。
ヒュドラの毒を塗った矢を放ったヘラクレスか射抜かれたケイローンか……どちらにせよアーチャーのクラスで現界するのだが目の前の男はどうなってるのだろうか。
ステータスは並の英霊と変わらない。それこそ今しがた召喚されたアーチャー以外の三騎で渡り合えるのはバーサーカーぐらいだろう。
私は触媒を用意したのに関わらず全く無縁のサーヴァントが召喚された事に落胆する他なかった。
そんな時だった。
「アーチャー……?」
「君は……!」
ゴルドおじ様の召喚したセイバーがアーチャーと口にした。
それに対してアーチャーは驚きに目を見開いた。
「セイバー?知り合いなのか?」
「え、えぇ、少しありまして」
美しい金髪に青いドレスの上から纏った鎧。
ゴルドおじ様が召喚した
アーチャーは戸惑いを見せていたが暫くすると冷静さを取り戻したのかすぐに無言になった。
「アーチャー。貴方は円卓の騎士に縁がある英霊だったのですか?」
「いや、私は円卓の騎士に縁などはない。どの時代を見ても私のような英霊は該当しないであろう?」
「確かに……しかし」
「はーい!ちゅうもーく!!」
突然ライダーが叫んだ。
セレニケ・アイスコル・ユグドミレニアの召喚したピンクの髪の男性サーヴァント。容姿こそ少女を思わせるがこのサーヴァントも歴史に名を残した英雄なのだ。
「ねぇねぇ!こうして同じ陣営として召喚されたんだから名乗りあおうよ!」
「僕はアストルフォ!シャルルマーニュ十二勇士が一員!クラスはライダー!!君は?アーチャー!」
私はアーチャーの真名が気になりライダー・アストルフォの質問に対するアーチャーの答えに耳を傾けた。
「済まないライダー。どうにも予期せぬ召喚だったのでな。記憶が曖昧なんだ」
「そっかー大変だね」
私はアーチャーの回答に更に頭を抱えた。
全体的に見ても良いとは言えないステータスのアーチャー。ゴルドおじ様の召喚したセイバーに由縁が無いとは言っていたが顔を見知っている以上は何らかの関係性があると思っていた。
しかし今目の前でアーチャーは記憶が曖昧だと言ったのだ。
私は考えるのを放置したくなりながらもアストルフォの次の質問に耳を傾けた。
「君は?」
「フン!!」
「あれ?」
「彼女の真名は?」
「え、ふ、フランケンシュタイン……」
「そっか!フランちゃんだね!」
「ウー!!」
「あぁ、ごめんごめん!なんか怒らせちゃった」
バーサーカー・フランケンシュタインはそっぽを向きながらもカウレスを睨む。
「じゃあ君は!?」
「サーヴァントセイバー。真名をアルトリア・ペンドラゴン……ブリテンの王です。」
「ほう……」
黒のランサーはニヤリと笑う。
そしてアーチャー、ランサー、バーサーカー、ダーニック以外のには少なくない衝撃を与えた。
その日アーチャーの時とは違った驚愕の声がユグドミレニア城内に響き渡った。
すまないさんには申し訳ないがリストラで……