Fate/Fake Apocrypha 作:dabittoson
次の話 >>
本来の歴史は第四次聖杯戦争は冬木の地で行われ衛宮切嗣、セイバーの所属するアインツベルン陣営が勝利し衛宮切嗣の聖杯の破壊によって幕を閉じた。
その後は衛宮士郎ら魔術師達が行った第五次聖杯戦争が行われ聖杯は完全に破壊されるはずだった。
しかしこの世界では第四次聖杯戦争の参加者から結果まで大きく変わっていた。
魔術師の名門家、ユグドミレニアの聖杯戦争参加。
ユグドミレニアの大聖杯の略奪。
この二つの事柄により歴史は全く違うものに変わったしまった。
そしてこのイレギュラーに更にイレギュラーが重なる事となった。
ユグドミレニア城内にて車椅子のタイヤを回しながら少女、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアは触媒を片手に英霊召喚を行う広間に向かっていた。
「いよいよ始まるんだね……」
「カウレス……ええ、この聖杯大戦は我が一族の悲願を叶える機会です。やり遂げましょう」
「うん……」
弟であるカウレスに心配するなと言ったもののやはり不安が無いわけではない。
私は胸に下げた
△▽△▽△▽△▽△▽
「よく集まってくれた。これより聖杯大戦に向け英霊召喚を行って貰う。我が領土を脅かす異国の英雄の好きにはさせぬ……聖杯は我々のものだ。」
現ユグドミレニアの当主であるダーニックはサーヴァントであるヴラド三世の後ろで静かに待機していた。
この聖杯大戦にて衰退の運命を進むユグドミレニアを救う悲願の為にもここルーマニアの大英雄・ヴラド三世の配下になろうとも達成する必要があった。
その為にも出来うる限り最上の触媒を用意しそれぞれのマスターに渡しておいた。
そんな黒の陣営のマスター達は魔法陣の中心にそれぞれの触媒を置き詠唱を始めた。
――素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
触媒の周りの魔法陣が光り輝く
――降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
座への接続。
――閉じよ(みたせ)。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
触媒に該当する英霊発見
―――――Anfang(セット)
――――――告げる
魔法陣の光は一層に輝く
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
フィオレは静かにお守りを握る
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
あの時自身を救ってくれた英雄の事を思い浮かべた。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
それが本来召喚される筈の無かった無銘の英霊の戦いの幕開けであり、正史をさらに外れた外典の物語の始まりだった。
「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じて参上した。君が私のマスターかね?」
そしてこれが無銘の英雄と魔術師の少女の邂逅だった。