平昌冬季パラリンピック第8日の3月16日、スノーボードの男子バンクドスラローム(下肢障害)で、成田緑夢さん(ぐりむ)が金メダルに輝いた。スノーボードクロスでの銅メダルに続き、今大会で自身2個目のメダルを獲得した。
緑夢さんは、スノーボード一家として知られる「成田家」の末っ子だ。兄は成田童夢さん、姉は今井メロさん。ともに2006年トリノ五輪に出場し、注目を集めた。
2013年4月、緑夢さんは練習中の事故により左足の靭帯を断裂した。切断こそ免れたが、左膝から下の感覚を失った。半年の入院を経て、リハビリを乗り越えてアスリートとして復帰。苦難と闘いながら、世界最高峰の大舞台を目指し続けた。
「パラリンピックはオリンピックよりも遥かに困難な険しい道」
兄の童夢さんは、緑夢さんが銅メダルを手にした3月12日、自身のブログで歓喜の言葉とともに、パラリンピックは「オリンピックよりも遥かに困難な険しい道だと、私は痛感します」と思いをつづっていた。
「パラリンピアンはオリンピアンの比じゃない程の、過酷なストーリーがあります」。童夢さんはこう続ける。
「生まれた時から障害を持つ方、不慮な事故で障害を持たれた方...。
誰一人障害者になりたくてなっている訳ではありません。
そして、ハンデを背負った状態で世界の舞台で戦うその姿。
どれ程の挫折があったのでしょうか?
どれ程の苦難があったのでしょうか?
どれ程の障害があったのでしょうか?
もっと評価されるべきだと私は思います」
そして、緑夢さんの「僕は人に夢、感動、希望、勇気を与えられるアスリートになりたい」という言葉を紹介し、「正に『アスリートの鑑』であり、アスリートの本来あるべき姿を身を挺して教えてくれました」と弟の功績を讃えた。
このブログから4日後、弟は2つ目のメダルを勝ち取った。今度は、堂々の「金メダル」だ。
現地で応援を続ける童夢さんはTwitterで、「最高に誇れる弟を持てて幸せでいっぱいです」と喜びいっぱいにツイートした。
金メダルに輝いた緑夢さんの滑りはこちら。