出所・youtube
メディア・マスコミ 中国

習近平の晴れ舞台に冷や水をかけた全人代「白眼視」事件をご存じか

「やらせ取材」批判がネットで大爆発

任期撤廃可決の「シャンシャン総会」

北京では1年に一度の全国人民代表大会(全人代)が開かれている(3月5日から20日)。

全人代は日本のニュースでは「国会に相当する」と説明されることが多いが、実際には似て非なるものだ。

言うまでもなく、今回の最大の話題となったのは、習近平国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正問題だった。

欧米や日本のメディアでは「終身制につながる」「個人独裁の強化」「改革開放の後退」など批判的な論調が目立ったのに対して、中国国内では一切こうした声が封じられ、大会に出席した代表らは口々に任期撤廃への支持を口にした。

そして11日に行われた表決ではほぼ全会一致に近い2958票が賛成、反対は2票、棄権は3票にすぎなかった。

実際にはこのように「シャンシャン総会」に近い全人代は、政策を巡り与野党が激論を交わす民主国家の議会とは別物であり、それゆえ中国でも「ゴムのスタンプ」、つまりは共産党政権の決定を追認するだけの「専制統治を民主主義とごまかすための上着」(ニューヨーク・タイムズ)とみられている。

 

それゆえ今回の憲法改正問題でも、全人代で可決されたわずか2時間後に、新版の「中華人民共和国憲法」が書店に並んだという。微博では「仕事の効率があまりにもすごい。草案が可決されてわずか2時間で、すでに(新憲法が)印刷、装丁されて、煩雑な物流システムを通じて書籍に並んだとは!まるで奇跡を見るかのようだ!」との皮肉があったという。もちろん、あらかじめ可決されることを見越して準備がされていたのは明らかだ。

さらにはこうした全人代の有名無実ぶりをからかうパロディ写真も微信に投稿された。「全人代の技術スタッフが世界に先駆けて創造した投票システム」には「賛成―反対―棄権」ではなく「賛成―支持―同意」の3つのボタンが並んでいるというものだ。

だが完全に予定調和的な会議に大きな波紋を広げたのは、2人の女性記者のちょっとしたバトルで、これが全中国人どころか全世界の注目を集め、「シャンシャン総会」の本質を露呈させることになるとは、当の本人たちも予想しなかっただろう。

3月13日、全人代の国有資産監督管理委員会の記者会見の途中、赤いドレスを着た女性が、質問を始めた。質問の内容はこのようなものだった。