乱暴なタックルで出場停止 女性選手が性差別で団体告発
豪州で盛んなフットボールの一種、オーストラリアンフットボールの女子豪州代表チームで主将を務めるケイティ・ブレナン選手が23日、自身が所属するフットボールリーグで決勝戦への出場を禁止する処分を受けたことは性差別だとして、告発状を提出した。
ブレナン選手は乱暴なタックルを理由として、女子オーストラリアンフットボール協会(AFLW)から出場停止処分を受けた。
同様の行為は、男子リーグでは罰金が課される可能性があるが、出場停止にはならない。
ブレナン選手はこの件を豪人権委員会に持ち込んだ。リーグの担当者は性差別を否定している。
ブレナン選手がしたタックルの何がいけなかったのか
オーストラリアンフットボールは、それぞれ18人いる2チームが、楕円形のボールを手や足を使って動かす、接触を伴うスポーツだ。
選手は相手選手の体に両手をまわすタックルをかけ、地面に引き倒すことができる。
ブレナン選手のタックルは、受けた選手の頭がグラウンドにたたきつけられたため、反則と判断された。ルールには脳震とうを防ぐ目的がある。タックルを受けた選手は一時ふらついていたが、再びプレーした。
リーグの裁決機関は、ブレナン選手が過度な力を使ったと判断し、24日の試合への出場禁止処分を貸した。彼女が率いるウェスタン・ブルドッグスが戦うこの試合は、オーストラリアンフットボール女子リーグの決勝戦。
ブレナン選手の告発内容
ブレナン選手は、自身が受けた処分が豪性差別法の「根本的な違反」だと主張している。
同選手は、昨年ジャック・レデン選手とベン・ハウレット選手の間に起きた衝突を例に挙げ、男子のオーストラリアンフットボールリーグ(AFL)のルールは、女子の試合より軽いペナルティーを科していると主張した。
23日の発表文でブレナン選手は、「私は(相手の)ハリエット・コードナー選手にした自身のタックルは妥当だと考えており、違反の判断には全く同意できない」と述べた。
「より問題なのは、もし私が男性で男子リーグで戦っており、同じタックルを問題にされたとしたら、私は処分を受けず、明日行われる決勝戦を戦うことができただろう、ということだ」
ツイッター上ではブレナン選手を応援する声が上がっている。
ノエ・ラマスさんは「ケイティ・ブレナンがAFLを性差別の問題で豪人権委員会に持ち込み、家父長制と戦っている。がんばれ!」とツイートした。
また、ケイト・シアーさんはツイッターに「どんな結果になるにせよ、ケイティ・ブレナンが女子リーグの決勝に出場しようとした努力は、現在の女子リーグにある審判システムに性平等についてのきわめて重要な問題を提起している。第3回を迎える女子リーグには新しい審判システムが必須。さもなければ、更なる法的申し立ては避けられない」と投稿した。
リーグの見解は
AFLのギロン・マクラクラン最高経営責任者(CEO)は、ブレナンさんの訴えを性差別の一例とみるのは公正ではないと語った。
マクラクランCEOはメルボルンのラジオ局「3AW」に対し、「競技が違えはルールも違う、と言うことはできる」とした一方で、現在の規定は再検討されると語った。マクラクランCEOは、「再検討されるのは確かだが、変更されるかどうかは別の問題だ。疑問を呈するのは正当だ」と述べた。
ウェスタン・ブルドックスのアミート・べインズCEOは、「我々の意見は、資格停止は間違っているというケイティの意見と一緒で、性差別だとしてAFL規定の変更を求めるケイティを完全に支持している」と語った。
今起こっていること
ブレナン選手は政府が出資する独立法人組織である豪州人権委員会を通じて、自身が受けた処分を覆そうと試みている。同委員会は問題を調整を通じて解決する機関だ。
決勝が行われる24日までに、何らかの成果が上がることはないだろう。ただ、ブレナン選手は、男子リーグと女子リーグのルールを一致させることが主な目的だと語った。
「性平等を目指す戦いは私にとって、あらゆる意味で決勝戦と同じぐらい大事だ」と同選手は述べた。
オーストラリアンフットボール女子リーグは、プロリーグとしての試合を昨年開始したばかり。同リーグは、女子選手の報酬額が男子選手に比べて著しく低いことをめぐる論争にも直面している。
(英語記事 Katie Brennan: Australia's AFL accused of gender discrimination)