【電卓持って世界一周!】マダガスカルなう―怒らない毎日のコツ―アフリカが教えてくれたアンガーマネジメント
アフリカ人は人を許す
かようにチャレンジングな環境のアフリカだが、それでも私がレソトの人に対し、とても敬意を抱いていることがある。それはレソト人が「とにかく他人を許す」ということだ。
レソト人は他の人のことを、すごく深いレベルまで許容する。全然怒らないのである。みんな聖人なのか!? と思うくらい寛大だ。
たとえば、弊社は12月に従業員がみんな「クリスマス休暇浮かれモード」へと突入してしまった。そうすると、休暇の申請も出さずに休んだり、1~2時間の遅刻をして現れる不届きなレソト人が、ちょいちょい現れる。すると、その人の不在をカバーするために、時間通りに来ている真面目なレソト人は忙しくなる。でも、彼らは遅刻してきた人のことを特に責めはしない。
日本人だったら間違いなく怒るか、少なくともイライラはするシチュエーションだと思う。その点、レソト人はまったく気にしない。多分、社会自体がトラブルだらけで回ってるから、予定通りにいかなくて当たり前だし、失敗したらお互い様、という考えが根底にあるのだろう。
「なんで彼らって、全然怒らないんだろうなぁ?」
私はこの8カ月、まったく異なる心のものさしをもつ人に囲まれて働きながら、「自分の心の平穏を保つにはどうしたらよいのか」を、深く学ばせてもらった。
人はなぜ怒るのか? 何がわれわれの憤りのトリガーを引くのか? 怒らないでいるためにはどのような心構えを持つべきなのか?
まだ研究は道半ばだが、私が学んだアンガーマネジメントのコツをいくつか、下記に紹介したい。
①人を変えようと思わない
まず、他人は変えられない。だから、変えようと思わないことだ。人は変わる時もあるけど、それは本人の内側から時間をかけて徐々に変化していくものであって、あなたがAになれと言ったからって他人がAになるわけではない。
日本の上司やマネジャーにはよく「部下の人間性を正そう」とする人がいる。「あいつは根性がなってない」「一から叩きなおしてやろう」とか。残念ながら、無理だと思う。そんなに簡単に人間が変わるのならば、この世に離婚は存在しない。仕事上の付き合いなんかよりもっと長い時間を過ごす配偶者ですら変えられないのだから、われわれの下でたまたま働くことになった、数年の付き合いしかない部下の人間性など、絶対に変えられない。
私はアフリカに来たばかりのころ、部下の生活態度に対し、折をみてちょいちょいコメントしていた。「8時が定時だから、8時に来てね。遅れるのはよくないよ」とか「仕事中に30分も1時間もおしゃべりするのはやめて」とか(いや本当そんなレベルですよ)。
でも、途中から完全に諦めた。改善が見られなかったのだ。2~3日はちょっと気をつけてくれるが、一週間も経つとすぐ元に戻ってしまう(笑)。まぁ、上司なので一応一回は注意するが、それ以上は彼らもいい大人である以上、私の責任じゃないのでコメントは控えることにした。
また、上記のようなことでガミガミ言うと、肝心の仕事の話になった時に、部下はもはや聞いちゃあいない。上司と部下は仕事上の付き合いなので、仕事のことにだけにフォーカスして、苦言は呈すべきだと思う。
逆に業務の改善点を指摘する時は、私は絶対に諦めない。「あれは終わった?」「これはやった?」も何度でもしつこく言う。だって給料分仕事してもらわないと、彼らにお金を払っている意味がないから。疲れないかって? 疲れます(苦笑)。でも部下を変えることじゃなくて、仕事を終わらせることがマネジメントの仕事だって思うから、しょーがないやね。
②驚かない
「人は怒る時に必ず“驚き”を経由する」
これは私がアフリカで学んだ、一番大きな気づきのひとつである。怒るってことは、びっくりしてるってことである。
怒りという感情は、
1)自分の予想と異なるネガティブなことが
2)相手のせいで起きた
3)驚き
だ。
小さなことにしょっちゅう怒っている人が、あなたの周りにもいると思うが、そういう人は外界に対して、しょっちゅう驚いているのである。こういう人は、完璧主義な人に多い。
「いや、私は怒る時にびっくりなんてしてない。相手が何度言っても同じことをやらかすから、うんざりしているだけ」という人がいると思うが、それも驚きの一種である。「私が前回も言ったのにあなたが同じことをもう一回やるなんて、信じがたい」という驚きだ。
だから「怒り」を、怒りになる前に「驚き」の時点で断つのは有効である。「驚くようなことかどうか」を一度自身に問うのだ。
何か不都合な事態が起きた時、たとえば部下に「Aは終わった?」と聞いて、部下から「いやAはまだ始めてません」と言われて、「おいおい始めてないってなんだよ」と思う時。
「驚くようなことかな?」と自問する。そうすると、大体のことは、30代の大人にとって、別に驚愕するような事態ではない。「いや驚かないな」と思うと、感情がすーっと平坦になって、冷静に事が見られるのを実感すると思う。
そうすると「そう、じゃ今すぐ始めてくれるかな。×時までにできる?」と言える。
怒った時に「怒るようなことかな?」と自問すると、自答は絶対に「いや絶対に怒るようなことだ!」になる。それだと自分との会話になっていない。
もちろん驚きを経験することも人生にはあるが、逆に本当に心底驚いている時は、人間って怒ったりしないものである。去年の冬、弊社のサッカー場の枯草に第三者が面白半分で火をつけ、ピッチが火の海になったことがあったが、その時は一同茫然としてしまって、怒りの感情はまったく湧いてこなかった。淡々とバケツリレーをして火を消した。そういうものである。
③不快なものからはそっと離れる
ただ、怒らなかったとしても、その後一定の感情の余韻が残ることがある。それは「不快感」である。「嫌な目にあったな」という気持ちだ。
もし、あなたが不快な目にあったら、「その行動はやめてくれるかな」と、相手に一度は言ってみよう。それで状況が変わらなかったら、そういう物事からはゆっくりと、確実に、離れなければいけない。視界に入らないところまで移動する。
攻撃する必要はない。なぜならば、前述したが、あなたが攻撃したところで他人は変わらない。そして誰かがあなたに不快な思いをさせたならば、その人は継続的にあなたを不快な目に合わせる可能性が高いから、関わらない方がいい。
不快なものを我慢した結果、最終的に自分の欲しいものが手に入るのならば、まぁ、少しは我慢してみてもいいと思う(受験、資格、会社内の出世、子育て等)。でも世の中の大体の不快な物事って、別にそれを我慢したからって、ご褒美として自分の欲しいものが手に入るわけでもない。ならば、別に我慢する義理もない。
特に最近はSNS等で、他人の思考や情報がどんどん流れてきてしまう時代なので、自分を幸せな気持ちにさせるモノ・人だけを選択して付き合うことは、21世紀を生きるコツのひとつだと思う。
私はレソトで暮らして、今までいかに外界のこと(世界のニュース、会社、同僚、彼氏、友人等)が自分の思考の中心を占めていたか、よく分かった。逆にこうして、一人でレソトの山々に囲まれてぼーっとコーヒーなどを飲んでいると、嫌でも己と向き合わざるをえないので、よく自身と対話している。
自分の心に興味をもつと、いいことがたくさん起きる。「今幸せって思っているか」「不快だって思っているか」、きちんと耳を澄ませると、生活の小さなことを丁寧に取捨選択して生きていくことができる。
石井、首相官邸にインスパイアされてインスタグラムを始める
今回はアンガーマネジメントについて述べてみた。いかがだっただろうか。
アフリカのチャレンジングな点をつらつらと述べてしまったが、私はアフリカに来たこと自体は、本当によかったと思っている。すべての経験に感謝している。人間を根本的に成長させるのは、楽しい経験ではなく、大体頭にきた経験だ。こうして地球の裏側まできて、ほころびだらけの社会で働きながら、日々障害に直面したり、乗り越えたりしていることは、本当に贅沢な体験だと思っている。
逆に日本って、アフリカと比べるとすべてがとてもよくできている社会なのに、みんなそれぞれにストレスを抱えていて、残念だと思う。どうか、ストレスになる物事から、少しずつ、離れてみてください。日本の人って十分頑張っているから、あとは皆がゆとりをもって、幸せに生きていくだけだと思う。遠い南半球から、日本の方々の幸せを願っている。
さて、最後に突然だが、私は先日、自分の旅のインスタグラムを始めた。忙しくてなかなか旅行に行くことのできない日本の方々に、少しでも旅の空気や解放感を、感じていただければと思ったのだ。世界の絶景の写真をメインに載せていく予定である。
「電卓持って」の記事に関するご感想や、海外就職に関するご質問等も、ぜひぜひこちらへ!可能な範囲内でご回答させていただきたく思う。
アカウント: yuriishii0101
ちなみに今回インスタにあげるため昔の写真を整理していたら、自分の旅写真がパソコンから何千枚とあふれ出てきて、まるで過去の自身の悪行と対峙しているような気持ちになった(笑)。一体どれだけ旅してんだこの人。。。うーむ、流石「電卓持って世界一周」と、自分で言い張るだけのことはある。。。
日本の首相官邸がインスタアカウントを作り、安倍首相が「地方活性化のキーはインスタ映え」と豪語する昨今、私もこの時流に乗らないわけにはいかない。もしよかったら、フォローしてみてください。ではまたっ!
著者: 石井友里
わんぱく会計士
早稲田大学教育学部卒。米国公認会計士。日本の不動産投資法人等で経理を4年経験した後、単身シンガポールへ。監査法人で法定監査を4年、事業会社で財務部長を1年経験した後、唐突に仕事を辞めて、会計士ボランティアをしながら世界を一周することに。昔から勢いで行動することには定評のある、元気な日本人女性。