放送記念日特集「フェイクニュースとどう向き合うか〜“事実”をめぐる闘い〜」[字] 2018.03.22

223月 - による admin - 0 - 未分類

今年初めインターネット上でこんな記事が広がりました。
記録的な寒さでナイアガラの滝が完全凍結。
しかし実際は滝は凍っておらず全くのうそフェイクニュースでした。
そんなの見た事ないよ。
インドネシアでは去年一つのフェイクニュースが凄惨な事件を引き起こしました。
これを信じた人々が各地でホームレスなどの男女5人を集団で暴行。
うち2人が殺害される事態に発展したのです。
事実がゆがめられ一瞬で広がるフェイクニュース。
フェイクニュースが世界で注目されるようになったのは2年前のアメリカ大統領選挙。
後に事実ではないと確認されたフェイクニュースがSNSを通じて国民の間に大量に拡散したのです。
インターネット上では選挙期間中主要メディアの記事よりもフェイクニュースの記事の方が話題になっていたという調査結果も出ています。
フェイクニュースが世界中で広まる背景にはマスメディアに対する不信感もあります。
民主主義の根幹である事実の力が揺らぎ始めているのではないか。
アメリカ大統領選挙後私たちマスメディアは危機感を募らせています。
…と率直な反省の弁を掲載しました。
そして今この問題に立ち向かおうとするメディアが出始めています。
NHKでは人々の生活を脅かす危険なフェイクニュースを見つけいち早く正す事で被害を水際で食い止めようとしています。
私たち放送メディアはフェイクニュースとどう向き合っていくべきか。
放送記念日の今日真正面から考えていきます。
秋元さん。
はい。
このスタジオ今日変わってるでしょ?すごいですね。
全面鏡張りで。
カメラマンさんや機材なども全部映ってますよね。
放送のスタジオの裏側まで全部見えるようにしました。
後ろ姿もばっちり映ってますね。
真実っていうのはこのようにですねちゃんとした鏡であれば我々の今のあるがままを伝えてくれる。
事実を伝えてくれます。
しかしこちら見てみましょうか。
鏡がゆがんでいるとどうでしょう。
ちょっと本来の姿が見えないですよね。
事実がゆがめられている。
そしてそれはそれ自体がうそかもしれないんですよね。
フェイクニュースというのをこの場ではうそやデマであるにもかかわらずニュースのようにして大きな拡散力そして影響力を持ってしまう事そういうふうに位置づけたいと思います。
そして今フェイクニュースが世の中にあふれていますよね。
そうですね。
放送記念日の今日だからこそ考えたい事があります。
私たち公共メディアは事実を積み重ねてそれをしっかりと伝えていく事を使命としてきました。
しかし今それは大変な危機的な状況の中にあります。
フェイクニュースにどのように立ち向かっていくのか。
まずはフェイクニュースがどのようにして生まれるのかを取材したリポートをご覧下さい。
今アメリカでは一般市民が日常的に触れる情報の中にフェイクニュースが当たり前に飛び交っています。
この女性が見ていたのは歯磨き粉のチューブに関する1本の記事。
印刷されている読み取りコードの色が実は有害物質の含有量を示しているという内容のフェイクニュースでした。
信じる事が難しくなっています。
何を信じていいか分からなくなっています。
2年前の大統領選挙の時からアメリカで大量に出回るようになったフェイクニュース。
それらはどこから発信されているのか。
アメリカネットメディアの大手バズフィードのシルバーマンさんはフェイクニュースを発信している人物の居所を丹念に追跡調査してきました。
すると思いがけない国が浮上してきたのです。
アメリカを標的としたフェイクニュースの多くはこの国から発信されていたのです。
マケドニアです。
一体どんな人物がフェイクニュースを作っているのか。
人口4万余りの町…ヨーロッパで最も貧しい国の一つといわれるマケドニア共和国の地方都市です。
この町の若者たちがアメリカ大統領選挙の時には100を超えるフェイクニュースサイトを作り多額の広告費を得ていた事が分かっています。
しかし皆口を固く閉ざし取材は難航。
取材開始から2週間。
ようやく2人の大学生が取材に応じました。
指定された場所は五つ星ホテルの一室。
2人は2年前に大学の先輩に誘われたのをきっかけにこれまで200本近いフェイクニュースを作ったといいます。
見せたのはヒット作だという記事。
画像加工ソフトを駆使して作り上げました。
稼いだ金はひとつきでおよそ60万円。
親の給料の1年分と同じ額だといいます。
ヴェレスの若者たちはどうやってフェイクニュースで多額の収入を手にしたのか。
まず彼らは作ったフェイクニュースを自分のウェブサイトに掲載。
記事には広告を配信するサービスを埋め込んでおり誰かがサイトにアクセスし広告をクリックすると広告料が入ります。
効率的に広告料を得るために彼らはフェイスブックのアカウントを複数使い分けました。
例えばAのアカウントではトランプ支持者がたくさん集まる複数のグループのメンバーになっておきます。
Bのアカウントでは逆にトランプ氏に否定的なグループのメンバーになっておくのです。
そして反トランプのフェイクニュースを作るとその記事へのリンクをBのアカウントで投稿。
すると多くの人がサイトを訪れ広告費が入ります。
トランプ氏に肯定的な記事を作った場合はそのリンクをAのアカウントで投稿。
こうしてばく大な広告収入を手にしたのです。
2人は手にした金で毎晩のように飲み歩いています。
ここはフェイクニュースを作る若者が集い情報交換するというカフェ。
アメリカ大統領選挙から2年たった今でもフェイクニュース作りは続いています。
毎日5本のペースでフェイクニュースを作っている17歳の男子高校生。
学校から帰ると記事にするネタをインターネットで探します。
この日はアメリカの人気テレビドラマの出演者をターゲットに定めました。
どんなうそを書けば多くの人がサイトを訪れるか。
母親と一緒に考えます。
高校生は「女優がケガでドラマを降板した」といううその原稿を書いていきます。
出来上がった記事にはネット上にあった女優の画像まで無断で使っていました。
取材の最後ヴェレスの若者たちの間で先生と呼ばれている人物に面会しました。
名刺には「トランプ大統領の誕生を手伝った男」とあります。
ミルコ氏は7年前からネット上で広告収入を得るノウハウを教えています。
これまでヴェレスの若者を100人近く指導してきたといいます。
この2〜3時間だけでも入会希望者から連絡が来ています。
学生5人からです。
ヴェレスの人からもです。
このフェイクニュースを見て下さい。
僅か数か月で世界で1億回も読まれたんです。
若者たちに紹介するフェイクニュースの事例。
アメリカで見たあの歯磨き粉のチューブの記事でした。
この記事は私の妻が作ったんです。
妻からは授業料とってませんけどね。
ミルコ氏が教えているのはいかに稼ぐかという事。
事実の大切さではありません。
ええ必ずしも事実でなくてもいいんです。
ちょっとにわかにはあんまり信じたくない…。
信じたくないですね。
秋元さんご自身どうですか?フェイクニュースというものを身をもって実感したりという事はあります?この芸能関係のお仕事をしていると身近なところで言うと誰々が熱愛とか言葉の何て言うんですかね…語尾とかを切り取ってまた違った意図で発信されたりっていうところで。
いや私フェイクニュースでも記者の方がきちんと書いてらっしゃると思ってたんですよ。
こんな若い学生だったり一般の方がフェイクニュースを書いて発信してるって事に驚きましたね。
マケドニアの人たちがすべからくそうであるというのはもちろん考えて頂きたくはないのですがそれにしてもちょっとびっくりする実態だったんですが。
フェイクニュース産業が作られてるというかフェイクニュースが産業になってしまっているというような側面があるなという感じですよね。
フェイクニュースって何かどこかで静かにこっそりと作ってるんじゃないか後ろめたくやってるんじゃないか。
あっけらかんと皆さん「作ってるよ」という感じなのでそれがビジネスになってそこにお金が回っていくっていうのが現実としてあるって事がはっきりしてますよね。
例えば選挙の期間中とかって何だこれっていう怪文書がポストに入ってたりもする訳で昔からそういううその情報っていうのは政治的な目的で流されるという事はあった訳ですけれどこのマケドニアの事例とかで多分特徴的なのは彼らは別に政治的な目的があるというよりも単にお金を稼ぐために情報をゆがめて流せば流すほどもうかるっていう構造が出てきてしまってるので。
実際にこのネットメディアをですね運営していく中で大きな収益源って広告なんですよね。
これがもう生命線になる訳ですからいかにですねユーザーの注目を集めて閲覧数を増やすか。
そのためには見出しをですね少しキャッチーなものにしてみるとか。
見出しがどんどんどんどん年々過激になっていくのがすごく手に取るように分かるので。
何て言うんですかね…。
インパクトが必要なんだな。
どんどんどんどん視聴者も求める側も刺激を求めてるってこういう状況はどうなんだろうっていうのはちょっと怖くもなったりしますね。
切ないですよね。
あとはまあ受け取る側の方の鍛え方といえばいいのかな。
Vの最初の方でアメリカの女性の方がどれを信じればいいか分からないとおっしゃってましたよね。
これはよく日本でも耳にしますよね。
新聞もいろんな新聞があって一体どれが真実を書いてるんだどれを信じればいいんだって僕もよく質問されますけれどまず信じるって言葉を述語を使う事が僕は間違いだと思うんですね。
情報ですからね。
宗教とかじゃないですから。
常に距離を持って接するって意識を持てばだいぶ変わるんじゃないかと思うけど。
自分で今言いながらもなかなかそうはなれないって事もまたよく分かってるんですけどね。
デマがフェイクニュースとして拡散をしていく。
どのような類型が考えられるんでしょうか?4つぐらいあるのかなと思っています。
まずお金さっきVTRにあったようにまずお金というのはものすごく大きな要因になります。
それから政治的なプロパガンダというのがありえるかなと思ってます。
政治的なプロパガンダというのは特定の国がどこかの国を混乱させようみたいな形でフェイクニュースを利用するというパターンですね。
それから愉快犯。
みんながフェイクニュースで右往左往してるのを見て楽しむような人たち。
もう一つすごく重要なのは善意というのがあります。
ニュースって広がっていくのがニュースじゃないですか。
そのフェイクがニュースになって広がっていくというところに一番大きい役割を果たすのがこの善意だと私は考えてます。
善意なんかだとある所で災害が発生したと。
もしその出どころが不確かな情報であった場合にそれが拡散していった時に大きなパニックにつながったりするケースもありますよね。
これはやっぱり震災の時とかそういうのが起きがちですよね。
それは多くの人に知ってほしいから流されている善意でもあるのでこれはなかなか難しい問題なんですね。
こうして拡散をしていくっていうインターネットの世界は私たち私なんかは30年以上NHKの記者をやってるんですけれどもある種脅威なんですよね。
私たちの放送っていうメディアからどんどん若い人たちを中心にして離れていく。
でもただ怖がってるだけでは多分駄目で自分たち自身にやっぱり反省点はないだろうかって考えた時にこれまでのマスメディアに対する不信というものがどこかにあるんではないか。
インターネット上には既存メディアへの批判というのは非常に実は多いんですね。
それをネットの用語でマスゴミ。
マスゴミ。
マスゴミっていうのはマスメディアとゴミを掛け合わせた言葉なんですよね。
マスゴミと呼んで何々新聞がこういう事を書いてる。
何々テレビがこういうのがあるよと言って批判するっていうのがあるんですけれども…。
もちろん大越さんがおっしゃってるみたいにマスメディア側にも要因はあると思うんですね。
一つは取材対象とか書いている事が限られてるというのはあると思うんですね。
マスメディアが記事ニュースだと思ってる事をやってて。
でも今いろんな人が…。
秋元さんがツイッターでツイートした。
これもファンにとっては秋元さんのファンにとったら大ニュースだと思うんですよね。
ニュースが相対化ものすごいたくさんニュースが出た中でやっぱりマスメディアのニュースというのはあまり省みられてない。
自分のニュースをそのまんま押し通してる。
その結果やっぱりちょっと偏ったように見えてしまうっていうところがあると思うんですね。
マスメディア私たちが社会的通念に照らして正しいファクトであり正しいこれは事実の光の当て方だっていうふうに信じてきた事に対して今疑問が呈されてるって事なんでしょうか?森さん。
うん。
それはまず第一義的にありますよね。
いろんな記者がいる訳です。
いろんなカメラマンがいます。
その人の意識であったり思想であったりポジションで全然違うものが見えてきたりもする訳ですよね。
例えば今日僕は家に帰ってから今日の事をツイッターに書きます。
そこで「大越さんはニコニコしていました」と書くか「大越さんニヤニヤしていました」と書くかこれ全然受ける印象違いますよね。
でもそれを選んでるのは僕なんですよ。
ニコニコかニヤニヤかは僕の主観が決めてる訳ですよね。
これはちょっと極端な例ではあるけどでもやっぱり記事って僕はすべからくそういうもんだと思うんですよ。
どっかでやっぱり書いてる人の思いであったり感覚であったり思想であったりがにじんでしまう。
真実というのはねいろんな多面性を持ってる訳です。
その意識を持たないと何かこれがあたかも一つの真実だみたいに思ってしまうのはまたこれはこれでねとても危険な事なんじゃないかなとメディア側にとってみればね僕はそう思いますけど。
メディアがある種の社会に一方的な価値を圧力として押しつけてしまってきた面が否定できない?否定できないしネットというメディアが出現した事でそういう意識を受け取る側が持ってしまう。
これはもう避けようがない事なんじゃないかな。
1つの発信源から無数にメッセージを届ける事ができる今の時代環境の中でこれがやっぱりこうあってほしくないなと思われるのはそれが政治的プロパガンダに大々的に使われる事ではないかと思うんですよね。
それに対して欧米ではしっかりとファクトチェックをしようという動きが先行して始まっていますのでその実例をフランスの実例をここでご覧頂きたいと思います。
フェイクニュースが猛威を振るうと予想された去年の…決選投票は移民政策で対立する候補者2人の争いとなりました。
移民に寛容な政策を掲げる…対するは移民の受け入れに厳しい立場を示す…
(拍手と歓声)この大統領選ではヨーロッパのメディアが中心となってフェイクニュースに挑みました。
フランスのル・モンド紙やAFPなど新聞社テレビ局ネット企業計37社が組織を超えて連携。
クロスチェックという共同プロジェクトを立ち上げたのです。
クロスチェックに参加したフランスの新聞社の一つリベラシオンです。
この新聞社でファクトチェックのリーダーを務める…選挙に向けてインターネットにたけた若い記者4人を雇いネット上に流れる情報の事実確認を行いました。
マティオさんたちはマクロン候補とルペン候補それぞれを支持する人たちのツイッターをくまなく調査しました。
選挙が近づくにつれてイスラム系移民への不安をあおるようなフェイクニュースがネット上に拡散。
マティオさんたちは電話で関係者に問い合わせるとともに移民に関するデータを調べファクトチェックを行いました。
単なるうわさを信じて投票してしまうなんて民主主義の世界ではありえない。
事実だと確認された情報に基づいて選挙は行われるべきなんだ。
この日はマクロン候補に関するあるうわさがネット上に拡散しました。
マクロン候補が海外に隠し口座を作り税金逃れをしているといううわさ。
その隠し口座の証拠とされる契約書類がネット上に出回りました。
候補者同士のテレビ討論会でも話題に上がった事でうわさは一気に拡散。
選挙に影響が出る情報のためリベラシオンの各部署が連携してこの契約書類が本物なのかどうかを調査する事になりました。
ファクトチェックを始めて間もなく記者の一人がこの書類の中に怪しい点を発見します。
これを見て。
これはマクロンが不動産を取得した時の本物のサインだ。
彼が大統領候補になる前のね。
今回のサインは似てるけど少し違う。
本物のサインと今回のサインを見比べ違いがあると記者は判断しました。
更に…。
書類に加工の跡が見て取れる。
ここにずれている部分があるんだ。
書類の一つに偽造されたような形跡を発見。
2つの画像をつなぎ合わせて作られた可能性が浮上しました。
検証した結果は翌日の朝刊とホームページにも掲載。
「ネットに出回っている契約書類は偽造された可能性が高い」と伝えました。
しかし一旦フェイクニュースを信じた人々にメディアが示す真実を受け入れてもらう事は簡単ではありません。
時にはファクトチェックをした記者が批判される事もあります。
記者たちの顔写真がネットにさらされ中傷された事もありました。
今フランスの例を紹介したんですけれども日本の政治におけるネットとの関係っていうんでしょうかかなりセンシティブな問題ではありますけれどもどのような見解をお持ちですか?私たちは去年あった衆議院選挙でどれくらいフェイクニュースがあるかを探すプロジェクトを実はやりました。
不確実な情報をネット上から大学生に探してもらってそれを記者のグループに投げて確実にフェイクだって言えるものが5件。
不確実な学生が集めた情報は200件近くあるんですね。
なので日本も実はかなりフェイクニュースがまん延してる政治に関しても。
遠い国で起きている事ではないよという事かもしれないですね。
やっぱり選挙って我々の投票行動って民主主義の基本の「き」ですよね。
その判断基準がフェイクニュースであったらって考えるとちょっと僕は背筋が寒くなったんです。
怖いですよね。
しかし出てきたものって人間って信じたがる習性がやっぱり…。
そうですね。
一番最初に出てきたものが本当に突拍子もなく「ないだろう」っていうニュースじゃない場合「本当なのかな?」。
そのあと「違いますよ」って来てもどちらが正しいのかやっぱり混乱してしまいますよね。
これは結構深刻で去年イタリアの研究者の人が実際調べたんですよね。
要するにそういうデマといわれているフェイクニュースに対してマスメディアの記事で「いや事実としてはこれは違うんですよ」っていう事を見せたらかえって間違った情報が本物だって信じる人が3割増えたっていう。
だからよりかたくなになってしまうっていう状況があってそうしたら我々本当は一体何をすればいいのかみたいなところがやっぱあるんですよね。
いかんともしがたいですね。
これは。
これどうしたらいいんですかね。
やはり人は信じたいものを信じる。
これはもう原則としてまずそういう人間の習性としてあると思うんですけどここでの問題っていうのは人は信じたいものを信じるっていう事を今のツイッターやフェイスブックあるいはグーグルみたいな情報環境ですよねそういう情報プラットフォームがそれを加速しているっていう事なんですよね。
ふだん何検索してるのかっていうのでグーグルが空気を読んで「あなたこういう情報がおすすめでしょ」っていうふうに僕からすると余計なお世話なんですけどそういうふうになってしまっているので…。
余計なお世話ありますよね。
よくネットで見てても「あなたにはこういうものがおすすめです」って。
そうかなって…「俺ってこうかな」なんて思っちゃったりして。
私もこのニュース気にしてないようでこればっかりこのニュースのジャンルばっかり私気にしてるのかなっていうのが刷り込みじゃないですけどね。
だから何で彼らがそれをやるのかっていうと理由は単純でその方が…要するに興味関心あるものをおすすめしますと。
そうするとみんなクリックするじゃないですか。
クリックしてどんどんそこで滞留してくれるとそうすると広告が表示される回数も増えてもうかるんですよ。
だから彼らはあえてそうしているっていう事。
でもそれが予期せぬ分断効果をもたらしているっていう事も含めてやっぱプラットフォーム事業者っていうのが社会的責任を負うべきじゃないですかっていう議論がここ1〜2年ぐらい出てきてるんですね。
これをなんとかならないものかっていう問題提起だと思うんですけれどもそこら辺の問題意識っていうのはやっぱり広がってるんでしょうか。
事業者側にはやっぱりありますね。
これ…あるアプリを作ってる業者の方にですね聞いてみた話なんですが左寄りの人に対しては右寄りのニュースを出すようにしたんだそうです。
右寄りの人にはですね左寄りのニュースを出すようにしたんだそうです。
その事業者が考えた事はそこで自分たちがふだんなら接しないニュースにですねあえてそういう機会を与えるようにニュースを流してみたところですね今度は読者の側から「何で自分の気に入らないニュースが流れるんだ」というふうに両方の側からクレームがついたというような事もあって必ずしも事業者側だけに問題がある訳ではなくてそれを求めていない読者視聴者っていうのも片方にはいるという事は一つ言えるんではないかなと…。
ここで一回立ち止まって先ほどからファクトチェックという話をしていました。
欧米の例を中心に紹介しましたけれども私たちNHKでもその取り組みは進めています。
特に生活命安全に関わる問題については私たちもその取り組みの中でさまざまな課題に突き当たってなんとかそれを乗り越えようとしています。
その例をご覧下さい。
九州で会社を経営する男性。
フェイクニュースによって命の危険にさらされています。
去年東名高速で起きたあおり運転を受けた末に夫婦が死亡した事故。
犯人の父親として全く無関係のこの男性の名前が出回り住所がさらされ脅迫も受けたのです。
フェイクニュースの被害者の救済に取り組む弁護士のもとには会社経営者から10代の若者まで相談が相次いでいます。
しかし膨大な数が一瞬で拡散するフェイクニュースの威力を前に根本的に解決するのは困難を極め限界を感じています。
日本でも猛威を振るい深刻化するフェイクニュース。
マスメディアも対応に動いています。
NHKでは4年前からネット上で話題になっている情報をいち早くキャッチする専門チームが活動しています。
通称SoLT。
記者とスタッフたちが24時間体制で情報収集に当たっています。
扱うのはネット上の流行や生活情報事件事故の情報などが中心です。
最近は命や健康を害するような深刻なデマが増加しファクトチェックの機会が増えています。
これはSoLTが去年2月に特定したフェイクニュース。
大量の塩水を一気に飲めば腸内をきれいにできるという塩水洗浄ダイエットの記事です。
体に負担がかからず安全とうたいツイッターには痩せたという体験談が相次いで投稿されました。
一方で体への悪影響を心配する声も上がり不安が広がり始めていました。
ですがこれいずれもですね取材によって間違った情報だと確認できております。
SoLTはこの塩水洗浄ダイエットについて報道番組で特集。
内臓から出血し命を危険にさらしかねないと警鐘を鳴らしました。
更にNHKの公式ツイッターにも記事を投稿。
1万5,000近い人々が記事を拡散しました。
子宮けいがんワクチンのニュースっていろんな切り口がありますからね。
今直面している課題は命の危険に直結するようなフェイクをいかに見つけるか。
フェイクニュースに多用されるキーワードを検索にかけて絞り込んでいきます。
この日1週間前から急に拡散していたうわさがありました。
環境が汚染されるのを心配した人たちが拡散を続けていました。
もしこれがフェイクニュースであれば大きな混乱を招く危険もあります。
調べるとこの農薬は実在しかつてその認可を巡って民間団体の反対運動も起きていたと分かりました。
本格的なファクトチェックが必要と判断し農林水産省担当の記者に連絡。
その後この農薬は国内では認可されていたもののアメリカでは禁止されていないと確認。
拡散されたうわさはフェイクニュースだと判明しました。
刻一刻と膨大な情報が行き交う中でどこにターゲットを絞りファクトチェックをかけるか。
この日一日で特定できたフェイクニュースは3件でした。
私の同僚なので弁護する訳じゃないんですが必死にやって毎日やっぱり数件ファクトチェックができるかどうか。
優先順位って本当に難しいですよね。
先ほどありましたように健康を害するものであったり命に関わるものはやっぱり本当に食い止めなきゃいけないと思うので…。
こういった何かいたちごっこじゃないですけれども。
たくさんあるフェイクらしき事実の中からどれをチョイスしてどれをクリアした方がいいのかってその判断はやっぱり最後は自分がやらなきゃいけないし何となく堂々巡りのような気はしちゃいますよね。
いたちごっことおっしゃったけどもこのいたちの数が無尽蔵ですから。
そのいたちの数が無尽蔵というのをちょっとここは藤代さんの力を借りてご説明を頂きたいのですが。
(藤代)まっすぐに延びる道路。
これがさっきから出てるプラットフォームだと思って下さい。
ここにフェイクがやって来ます。
これはルールを守ってない暴走族をフェイクと例えてちょっと作って頂きました。
どんどん走れるんで自由に走ってですね。
制限速度とかも気にしない。
制限速度も気にせずですね。
このバイクも多分かなり違法状態な感じで走ってる訳ですね。
そうすると人がやって来ますと。
何か面白いんで…やじ馬がいっぱいやって来てヤイヤイやってると。
そうするとジャンプとかしてもっと派手なフェイクを。
さっき秋元さんもねタイトルがどんどん派手になってったっておっしゃってますけれどもフェイクもフェイクを作ってる人ももっと自分を見てほしいもっと自分のサイトにアクセスをという感じでなっていくとそこに広告。
この集まってる人々を目当てにいろんなものを売る人たちがやって来る。
そうするとお祭りだっていう感じになってもっともっと人がやって来るという事になっている訳なんですよね。
そうなってくるとここにお巡りさんを入れて取り締まったらいいじゃないかというような話も出てくるんですが…。
なるほど。
フェイクニュースのまん延に歯止めをかける事を求められているのはどうも間違いなさそうです。
今その中で取り組みを進めているドイツの事例の報告です。
去年7月。
ドイツではネット上のフェイクニュースを取り締まる法案が可決され世論が大きく揺れました。
法案はネット執行法と呼ばれます。
ソーシャルメディア側にフェイクニュースかどうかを判断させ悪質なものは速やかに削除するよう義務づけたのです。
これを放置した場合最大で65億円の罰金がソーシャルメディア側に科せられます。
ここ2〜3年でフェイクニュースが急増したドイツ。
特にイスラム過激派によるテロ事件が起きると政府を攻撃するデマがネット上にあふれました。
メルケル首相がシリア難民の男性と撮った写真が加工され首相がテロの実行犯と記念写真を撮ったというフェイクニュースが流された事もあります。
もともとドイツは特定の宗教や人種を差別するヘイトスピーチには厳しい取締りを行ってきました。
今回メルケル首相ら政府はうそを利用して相手をおとしめようとするフェイクニュースもヘイトスピーチだと見なし規制に動いたのです。
フェイクニュースが誰かの名誉を傷つけるのならそれは違法行為です。
違法な投稿がツイッターやフェイスブック上で拡散するのを我々はこれ以上黙っている訳にはいかなかったのです。
しかしこの法案に対する世論は賛否が大きく分かれています。
政府がドイツ各地で行った説明会では「ネット上の言論が検閲されるのではないか」という不安の声が上がりました。
(ブーイング)今年1月に施行されたネット執行法。
今ソーシャルメディア側によって投稿を削除された事に不満を訴える人が増えています。
この日ある投稿を削除されたという女性が大手新聞社の取材を受けていました。
女性の職業はコメディアンです。
ツイッターを愛用しよくジョークを売りにした投稿をしているといいます。
女性がその時に投稿した内容です。
フェイクニュースによく出てくる「難民」というキーワードに反応したのかこの投稿はツイッターからすぐ削除されました。
この法律はあまりにもやり過ぎです。
高額の罰金を科せばソーシャルメディア側がリスクを恐れて投稿を過剰に削除してしまうのは当然です。
こうしてネット上の言論の自由は失われるのです。
過剰に削除されたという投稿の復活を求めてツイッターやフェイスブックを訴えるケースも増えています。
クリスチャン・シュタールさんが運営する法律事務所にはひとつきで100件もの相談がありました。
スタッフと共に依頼内容の整理に追われています。
こうした過剰な削除を防ぐためにはその判断を民間企業ではなく裁判所に委ねるべきだとシュタールさんは考えています。
今VTRの中に出てきました女性が削除されてしまったツイッター。
秋元さんこれは直感的に削除されてやむをえないものでしょうか?直感的にどう思いますか?削除しなくてもいい内容だと思います。
そう思いますか。
はい。
どうしてでしょうか?まあ何て言うんですかね。
自由にその人が思った事をツイートしてるという事でフェイクニュースといったくくりではないのかな。
フェイクニュースを取り締まるはずなのにその域を完全に超えたところまで削除してしまっていると。
先ほど道路を走るバイクの例が出ましたけれどバイクの場合は車線がちゃんとラインが引かれてますよね。
もしくは制限速度はこう数字で表せる訳ですよね。
でも表現とか言論というのはどこからどうやって線を引くのか分けるのか…無理ですよね。
例えばそのニュースのプラットフォームでいうところで言うとこの記事がファクトであるかフェイクであるかっていう事はプラットフォーム側は判断できないんですね。
なぜなら自分たちは取材したり…する機能がない訳ですよ。
何が面白いかこれが読まれそうだとかこれは大事そうだというのでピックアップはできますけどもそれを選んでるものが正しいという前提でやってるんですね。
ですのでそういう類いのプラットフォーマーはどこのメディア企業がまともな情報を出していてどこがうそや紛らわしい情報を出すかっていうその目利きは必要です。
これだから普通に読めば難民というものがドイツのテレビ文化に多様性をもたらしてくれるんじゃないかってある種肯定的に読めなくもない皮肉交じりのツイートなので僕はそこの差別の意図というのはないとは思いますが。
一つだから僕これ解決策になりうるのはEUはEUでプラットフォーム事業者に対しての別の規制してるんですよね申し合わせですね。
削除にあたって奥村さんがさっきおっしゃったようなプラットフォーム事業者が判断基準を持てないと。
だからちゃんと人権団体とかあるいはそういう報道機関だとかそういうようなプロフェッショナルに削除にあたってプロフェッショナルの団体と連携してそれをサポートしてこれを消そうっていうのをやって下さいっていう申し合わせをしてるんですね。
なのでそういう専門家がこの投稿はまずいんじゃないかフェイクなんじゃないかっていうようなそういう体制作りをプラットフォーム事業者と作っていくっていうこれが現実的な落としどころかなというのは思ってますけどね。
私はフェイクとかヘイトを判定するんじゃなくてそのニュース側どれくらい拡散したかっていうところを判断基準にして議論していかないと表現の自由をやっぱりこう小さくしてしまう制限してしまうような事になる。
つまり何が問題かというと社会に影響を与える事が問題な訳ですよね。
いろんな人がいろんな意見を言える社会っていうのは僕は民主主義ではそれは当然そうあるべきだし時にはうそがあってもいいと思うんですよね。
うそが全くない社会こそすごい危険な社会だと思うんです。
だからうそを取り締まるんじゃなくてすごい拡散して社会に影響がありそうなところをこれ以上拡散したら一回非表示にしてちょっと止めてみる。
大体こう慌てて何かやって過剰反応するみたいなのが結構あるんですよね。
なので少し冷やしたら冷静な議論ができたりする事もあるので一回すごく拡散しそうだったら止めてみるとか一時的に止めるっていうのもいいんじゃないかな。
そういうのも含めて議論した方がいいんですよね。
フェイクファクト非常に数え切れないようないろんな情報の海の中で私たち日々こうある種あがいている訳ですけれども奥村さん媒体は違いますけれども同じメディアの一員としてNHKはどういう役割を背負うべきだと思いますか。
ユーザー視聴者が正しい情報を知りたいと思った時に必ず立ち返れる場所として伝統的なメディアとしてのNHKが存在するという事が一つの信用を維持していくっていう事に必要なんじゃないかなとは思います。
いろんなフェイクニュースであったりいろんなうそは本当にいろんな情報の中でたくさんあふれてると思うんですけれどもしっかりと信念を持って正しい真実を伝えようとしている人がいるっていう事はそこは信じたいなと思ってます。
私たちはその姿を見せ続けなければいけないという事ですね。
NHKっていうのはバランス栄養食みたいな存在であってほしいなと思うんですよね。
今日見てきたようにメディアっていうのはものすごい激変の時代に来ていてそれこそタイトルとかフェイクとかどんどん派手になってどんどんどんどん刺激的になっている。
刺激的な方がいいんですね。
何かこうインスタント食品を食べてるような感じ。
何となく体に悪いけど何だか気持ちいいみたいな状態の中でバランスがある栄養食っていうのは多分見た目は派手じゃないしもしかしたらちょっとあんまりおいしくないかもしれない。
そういうでも存在がないと体が壊れちゃいますよね。
報道機関が極端に走ってしまうと民主主義が壊れちゃう社会が壊れちゃうんですよね。
私たちこれまでの取り組みというものを省みてやっぱり視聴者受けのするニュースの側面を選んでいないかとか視聴率を気にし過ぎていないかとかって確かに思い当たる節があって結局皆NHKも含めてほかのメディアも含めて同じところからその事実というものを同じ角度から見てしまう傾向があったのではないかと考えてみるんですけれども。
気持ちは分かります。
僕だってかつてテレビの仕事をしてましたから。
やっぱり視聴率が低いとがっかりしますもん。
でもその気持ちは分かるんだけれどでも時にはみんなが喜ばない情報も提供する。
みんながもう顔を背けたくなるような惨状を。
例えばシリアの状況であったりとかねあれをもうゴールデンタイムにしっかりと見せるとかそれができるのはやっぱりNHKだけだし。
という事は署名性をもっとメディアは出すべきです。
これは私の記事なんだこれは私の角度なんだこれは私の視点なんだと。
それをしっかり出す。
次に負い目ですね。
負い目。
負い目を持つ事。
つまりこれがオンリーワンだとこれがたった一つの真実だと思ってしまったら正義になりますよね。
僕はそれ一番駄目だと思う。
ファクトじゃなくて価値になってしまう訳ですね。
そうすると押しつけたくなる暴走してしまう。
もしかしたら違う面があるのにそれがどんどん消えてしまう。
それを防ぐためにはもっとねこれは自分の視点なんだという意識を持てば負い目というか後ろめたさというかその感覚が多分わき上がってくるはずなんですよ。
(藤代)いいですか?やっぱりそれはマスメディアだけじゃなくて今総メディア社会みたいな時代じゃないですか。
たくさんの人が僕は森さんの言うある種の後ろめたさ一部しか切り取れてないんだと。
ツイッターとかフェイスブックで発信してる人も実は自分は一部しか切り取れてないんだっていう気持ちを少し持ってもらいたいなと。
包丁って人を刺すのにも使えるけど料理をするものですよね。
でもスマホも同じなんですよね。
だからすごく便利なものにもなるけれども人を殺しえるツールにもなるっていう事を。
でも使ってる側は包丁を使ってる人は何となく分かると思うんですけどスマホの側は多分その意識が多分ないですよね。
そういう事を教える事も大事なんだろうなと思います。
私はあの何て言うんですかね基本的に自分は無知であるっていうのが…。
それが多分藤代さんがおっしゃる何か負い目とか何かどこか間違ってないかなっていうのを常に持ってはいるので…うん。
そっか。
私もそうありたいなと思いました今。
えっ大越さん。
本当そうですよ。
うん。
フェイクという事から入ってきた今回のスタジオですけれども結局そのファクトとは何かそのファクトに対してやっぱり謙虚である事をやっぱりそれが大事なんだなっていうふうに私は思ったんですけど。
自分自身三十数年にわたってNHKの記者の仕事をしてきましたけれども自分は全く届いていない本当はもっとやれる事があるはずだと。
事実の一面ばかり見てそれだけで満足していなかったかという事を共有してみんなでその事に謙虚であり続けたいと思います。
そして事実は確かにいろんな面を持っているけれどもその全てをカバーする事はできないけれどもできるだけ多くの面からアプローチをしていってその核心に近づきたい。
その核心が1つかもしれないし2つかもしれない。
3つかもしれない。
だけどその核心の姿に少しでも近づいていく姿勢でこれからの報道に当たっていきたいなとそんな事を考えました。
今日は皆さん本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
はいチーズ。
ツイートします。
今何て打ったんですか?「NHKで収録中」。
すごいな。
もう「いいね!」結構出てますね。
今27でおっコメントが。
「すごい方々と番組の収録をしているんですね」。
本当はだからこれあれですよね「皆さん是非『いいね!』つけて下さいね。
ハートマーク」とかついたら…。
あっ。
多分3倍ぐらいの速度でつきますよそれ。
ちょっとNHKだったのでハートは…ハハハッ。
やっとけばよかったですね。
(田中道子)
ふわっふわの雲みたい!2018/03/22(木) 22:00〜23:00
NHK総合1・神戸
放送記念日特集「フェイクニュースとどう向き合うか〜“事実”をめぐる闘い〜」[字]

世界中で問題化している「フェイクニュース」の脅威。これに対してマスメディアはどのような役割を果たせばいいのか。放送記念日を機に、探っていく。

詳細情報
番組内容
何者かによって事実がねじ曲げられ、インターネットで拡散する「フェイクニュース」。アメリカ大統領選挙をきっかけに、その脅威が世界中で注目され、問題化している。日本でも、フェイクニュースによって無関係の市民の生活が脅かされるなど、誰もが被害者になる恐れがますます大きくなろうとしている。そうした中で、事実に基づく情報を提供してきたマスメディアはどのような役割を果たせばいいのか。探っていく。
出演者
【出演】ジャーナリスト…津田大介,法政大学准教授…藤代裕之,作家・映画監督…森達也,奥村倫弘

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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