1.はじめに
「市原幹也氏のセクハラについて」を2017.12.27にブログに書いた。
https://blogs.yahoo.co.jp/naginon/65945512.html https://blogs.yahoo.co.jp/naginon/65945521.html https://blogs.yahoo.co.jp/naginon/65945523.html https://blogs.yahoo.co.jp/naginon/65945527.html 市原幹也氏のセクハラについて知乃さんの告発から1ヶ月が経ち、上記のブログを書いてからも3週間が経ったので、ここまでの経過をまとめておく。
最初に、市原幹也氏の「セクハラ」がいかにひどい犯罪であるかを、告発した知乃さんの場合で見ておく。
市原幹也氏の知乃さんに対するセクハラは「性犯罪」のなかの「強制わいせつ罪」に当たるだろうから、量刑が最低6ヶ月以上で最高刑は懲役10年である。「強制わいせつ罪」は「親告罪」なので被害届を出さない事件は事件として扱われないが、被害届が出されて有罪判決が出れば上記の量刑が科される。
市原幹也氏の知乃さんに対するセクハラはまた「神奈川県青少年保護育成条例」違反にも該当するだろう。その量刑は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金である。 市原幹也氏の知乃さんに対するセクハラは、被害届が出されないので刑事事件として扱われていないだけで、その行為が告訴されて刑事事件にとして扱われれば重い量刑が科される。そういう犯罪行為が繰り返されていた。市原幹也氏のすべてのセクハラが告訴されて「併合罪」として処断されたとしたら、その量刑がどれほどのものになるかは見当がつかない。
さらに、市原幹也氏のセクハラが刑事事件を免れたとしても、市原幹也氏がセクハラを認めているのであるから、民事訴訟を起こされる可能性は確実にある。 市原幹也氏の知乃さんに対するセクハラを考える場合には、それが重大な犯罪行為であることをまずキチンと認識しておく必要がある。そのことは、自分自身が被害者や被害者の関係者になったときに受ける衝撃の大きさを想像してみただけで容易に理解できるはずだ。 次に、市原幹也氏が名乗っている「演出家」のあり方について考えておきたい。
舞台の創作において演出家の役割は非常に大きくその権限も強い。創作についてのアイディア出しは無論のこと、創作チームのリーダーとしてチームを取りまとめて作品創りを推進させる立場にある。チーム内の人間関係に配慮しながら、俳優の力を最大限に発揮するようにするのも演出家の役目だ。
演出家の作品創りの目標はいい作品を創るということのはずだ。その姿勢で作品創りに取り組むならば、俳優を毀損し信頼関係をぶち壊すようなセクハラをするはずがない。演出家の仕事は多岐にわたり非常に忙しいのでセクハラをやっている暇などないはずだ。それがまともな演出家だ。ワークショップなどの場合も事情はさほど変わらないだろう。
市原幹也氏のセクハラで何が失われたかについては「市原幹也氏のセクハラについて:“演劇センターF”の不誠実な対応(続)」で触れたが、ここでもう一度繰り返しておく。
市原幹也氏のセクハラが小劇場演劇界への世間の注目を集めて、小劇場演劇界へのイメージを悪くし小劇場演劇界への信頼を毀損することとなった。
これまで先人が、ワークショップやアートマネジメントで小劇場演劇人の仕事を増やそうと努力してきて、それが実を結んで現在の小劇場演劇人の雇用が生まれている。起きてしまったことによる信頼の毀損に加えて、世間から信頼されないような対応しかできないようだと信頼の毀損はさらに大きくなって、小劇場演劇人の雇用がさらに減っていく可能性がある。身体検査も厳しくなる。そういう状況は小劇場演劇人にとって決して好ましいとはいえないだろうに、小劇場演劇人の多くがそこに目をつぶっている。 今回の市原幹也氏のセクハラについてはまず、世間も納得するような対応をして、その結果を世間に示さなければならない。そのうえで、2度とそういう事件を起こさないような方策を考えて実行していかねばならない。
だが実際には、小劇場演劇界からは市原幹也氏を厳しく責める意見は意外に少なく、多くの人は押し黙り、市原幹也氏をかばうような意見も少なくない。 小劇場演劇人の仲間意識から離れて、世間の常識で市原幹也氏のセクハラをちゃんと見て判断していくことが必要だ。 この記事では、比較的短いツイートは末尾前の【比較的短い関連ツイート】にまとめている。
「市原幹也氏のセクハラについて」では洩れてるツイートが多かったので、大事だと思われるツイートを探して転載した。それでもまだ見落としも多いと思う。洩れに気がつかれたら、次回に記載したいので、薙野 gxdnc160@ybb.ne.jp までお知らせ願いたい。
また、文中、リンク先のURLをいちいち入れることはしていないので、末尾の【関係URL一覧】を参照願いたい。
本稿の構成は
1.はじめに 2.セクハラの状況と謝罪 3.社会の反応 4.告発および謝罪ツイートへの反応 5.小劇場演劇界関係の反応 6.今後の対応:市原幹也氏のセクハラの実態調査を急ぐべき 7.まとめ 【過去のパワハラの被害者名の扱いについての議論】 【比較的短い関連ツイート】 【関係URL一覧】 となっている。 市原幹也氏が芸術監督を務めた“演劇センターF”の対応については、詳細を
「市原幹也氏のセクハラについて:“演劇センターF”の不誠実な対応(続々)」
にまとめているので、そちらを参照願いたい。
2.セクハラの状況と謝罪 (1)セクハラの状況
市原幹也氏のセクハラについて被害者からの告発は、「市原幹也氏のセクハラについて」を書いた以降にはわたしは見つけられなかった。
市原幹也氏のセクハラの事実を知っていたという情報はいくつか出てきた。
★ハタ丸 @hathatamaru
返信先: @boku_tsubasaさん、@rikashiikiamfさん 演出家の市原幹也にセクハラ被害を受けた当時高校生の女友達が、怖かった、でも次の日からも顔合わせなければいけないと泣いていました。 ・九州の演劇人では「市原幹也氏のセクハラについて」で触れた泊篤志氏に加えて、高橋克昌氏が「被害者はこれだけではありません」とつぶやいている。
《知乃さんの告発後のツイート》
★知乃 @c_Tremendous
名前を出してしまった。泣きながら呟いている。手が震える。忘れない、忘れるわけない。そのためにも私たちは演劇を続けなければならない 1:15 - 2017年12月18日 どうか被害者が減りますように。 #metoo
1:20 - 2017年12月18日 『ここで食い下がるわけにはいかないんです、ここで食い下がるからこれだから女は。と言われる、歯を食い縛ってふんばんなきゃならないんです』とそんなようなことをつか先生もおっしゃってたなあ
1:25 - 2017年12月18日 演劇、芸能関係者のみなさんどうか拡散を。これ以上泣き寝入りする人を増やさないためにも。告発までに三年弱かな、かかってしまったけど、それでも。
1:38 - 2017年12月18日 セクハラパワハラなんて、どこにでもごろごろ転がっている話で女性は毎日そのなかで生きている。告発したこの瞬間から被害者の方がリスクが大きいなんておかしい。戦うぞ、声を上げつづけるしかないのだ。二年前、泣き寝入りした私のため、歯を食い縛っている全女性のため #metoo
1:45 - 2017年12月18日 Twitterは母も見ている。胸が苦しいけれど、それでもあのとき泣いていた、私のような夢を食い物にされるような子が一人でも増えないように、私にできることは告発だけなんだ。 #MeToo
2:03 - 2017年12月18日 色んな方へ、色んなところへ 拡散されておりますが、ある方のお力添えがあり今回のことで市原氏に連絡が取れ、謝罪の申し入れを受け、話し合いの場を設けることとなりました。世の中にはこうして守ってくれる大人もいること、涙が出るほど嬉しいです。 #MeToo
1:01 - 2017年12月19日 セクハラを自業自得なんて言わせません。どんな人間も誰かの欲求を満たすための道具じゃありません。 https://twitter.com/taka7187/status/942769846797791232 …
1:11 - 2017年12月19日 ざわざわする、今更思い出して駅のホームで泣いた。手づくりの甘酒を飲んでる。寝よう。
2:58 - 2017年12月19日 そして、色々告発やらで流れていましたが我々はこういった事件が無くなる事を願い演劇をしております。今回はサロメを上演致しますが、女性の生きづらさであったり、近親相姦をベースに迫ります。(超エンタメです)皆さん宜しくどうぞ
http://ticket.corich.jp/apply/88051/007/ 13:18 - 2017年12月19日 今日妹にあったので、今回の告発のこと、事件の経緯、これからどうなるか、伝えました。私にどんなときでも守ってくれた大人がいるように、私も何かあれば全力で守るし、自分がしてもらったことを手の届く範囲から還してゆこうと心に誓いました。 23:14 - 2017年12月19日 謝罪が公開されたようですね。リツイートすることは出来なくて、手が震えます。勇気を出して一歩踏み出すことで私のパンドラの箱は開き、底には一筋ですが希望があったのだと感じます。ないよりましです、胸が苦しくて、言葉になりません。 #MeToo
23:22 - 2017年12月19日 返信先: @sugar_purple84さん
リプライありがとうございます 告発は、出来る人だけすればいいのだと思います。私はたまたま今このときだから出来ただけなので。。 どちらが良いとかではなく自分のためになる方を選択したらいいと思いますよ。リプライありがとうございます。 23:42 - 2017年12月20日 おはよございます。一連の事件があってからなんだか呟きにくくなってしまって、ちょっとツイッターを離れがちです かなしい
8:21 - 2017年12月22日 助けたいと願う私の手だっていつだって血塗れなのだ、見も心も切り裂かれてそれでも手を伸ばすことに私の信念は、心は、人生は、あるのだろうと思うよ。
19:08 - 2017年12月30日 本当に告発をして、よかったです。私がよかったんじゃない、本当に本当によかった。
19:12 - 2017年12月30日 絶望が私を襲うけれど私は私の正義のために生きるよ。
2:08 - 2018年1月5日 (2)市原幹也氏の謝罪
演劇センターFのWEBサイト http://tcf-project.net/ に2018.1.6or7に次のあいさつ文が掲載されて、他の記事は非表示となった。
*** 演劇センターFは、2013年に私の呼びかけによって立ち上がり、2014年を中心に活動していました。 現在まで当WEBサイトで当時の活動を詳細にアーカイヴしていましたが、2015年以降、演劇センターFとしては実質的な活動はしていませんでした。 この度、私の活動休止に伴い、演劇センターFのWEBを閉じることにしました。
今まで私たちの活動にご参加いただいた皆様、また遠くから応援していただいた皆様、多くのお力添えをいただいたにもかかわらず、ご期待を裏切ってしまい本当に申し訳ありません。
現在、Fメンバーだけでなく、私に関係した個人・団体等の皆さんにも多くのご迷惑をおかけしていることを認識しています。
告発者の方の心情に最大限に配慮し、関係者の方々の名誉や信用への被害も鑑みた上で、現在の状況や判明している事実をできる限り開示して対応していく所存です。
今まで本当にありがとうございました。
市原幹也
*** これ以外の状況の報告などはない。
(3)演劇センターF
市原幹也氏が芸術監督を務める演劇センターFは、市原幹也氏の次のようなメッセージだけを残して2017.1.6or7にWEBサイト http://tcf-project.net/ が閉じられた。
*** 演劇センターFは、2013年に私の呼びかけによって立ち上がり、2014年を中心に活動していました。 現在まで当WEBサイトで当時の活動を詳細にアーカイヴしていましたが、2015年以降、演劇センターFとしては実質的な活動はしていませんでした。 この度、私の活動休止に伴い、演劇センターFのWEBを閉じることにしました。
今まで私たちの活動にご参加いただいた皆様、また遠くから応援していただいた皆様、多くのお力添えをいただいたにもかかわらず、ご期待を裏切ってしまい本当に申し訳ありません。
現在、Fメンバーだけでなく、私に関係した個人・団体等の皆さんにも多くのご迷惑をおかけしていることを認識しています。
告発者の方の心情に最大限に配慮し、関係者の方々の名誉や信用への被害も鑑みた上で、現在の状況や判明している事実をできる限り開示して対応していく所存です。
今まで本当にありがとうございました。
市原幹也
*** 市原幹也氏のメッセージは、多田淳之介氏、野村政之氏、藤原ちから氏、横井貴子氏という他の4名のメンバーの責任を弱めて市原幹也氏のセクハラの影響を少なくしようという配慮が読み取れる。いま演劇センターFのWEBサイトを閉鎖するのもそのためだろうが、市原幹也氏のセクハラに演劇センターFが何の責任もないのならWEBサイトを閉鎖する必要はない。
わたしは演劇センターFは市原幹也氏のセクハラについてある程度の責任があると考えている。
市原幹也氏のセクハラの告発以来の演劇センターFのメンバーの対応は実に不誠実なものだった。野村政之氏は見解を自身のブログに書いたが、他の3名のメンバーには見解の表明はない。 演劇センターFの対応については野村政之氏と議論になった。 その詳細は「市原幹也氏のセクハラについて:“演劇センターF”の不誠実な対応(続々)」
にまとめている。
(3)平田オリザ氏の発言 平田オリザ氏の3つ目の発言「『さよならだけが人生か』追加公演決定、善光寺から善通寺へ」(2018.1.8) http://oriza.seinendan.org/hirata-oriza/messages/2018/01/08/7663/ が出された。
3.社会の反応 (1)報道
BuzzFeed News
*** 横浜市文化プログラム推進課は、BuzzFeed Newsの取材に、業務委託をしているNPO法人側が市原氏への聞き取り調査をしたうえで、12月20日付で契約を解除したことを明らかにした。(中略) NPOの聞き取りに対し、市原氏は、トリエンナーレのワークショップ参加者やボランティアへのハラスメント行為を否定している。現段階では、市やNPO側への訴えもないという。 また、告発の中には「横浜市主催の写真展」に関連してセクハラを受けたというものもあった。この点については、そうした写真展があったかどうかも含め、事実を確認中という。返答があり次第、追記する。 2017/12/21 11:33 横浜市文化プログラム推進課によると、市原氏が聞き取りに対し「覚えがある」とした展覧会は、民間主催のものであり、横浜市が主催や共催、後援などの形で関わっているものではなかったという。
2017/12/21 16:52 *** (2)意見
江川紹子「音楽の窓から世の中を眺めて/セクハラ問題の背景に」(2017.12.27)
https://mainichi.jp/classic/articles/20171226/org/00m/200/002000d (3)契約解除
市原幹也氏との契約が解除されたという情報は確認できなかった。
(4)ネット上の情報削除
演劇センターFのWEBサイト http://tcf-project.net/ に2018.1.6or7に次のあいさつ文が掲載されて、他の記事は非表示となった。
それ以外のネット上の情報削除は確認できなかった。
(「市原幹也氏のセクハラについて:この1ヶ月を振り返る(2/5)」へ続く)
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