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慶應義塾大学 名誉教授 竹中平蔵
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ロバート・ウォルターズ・ジャパン 代表取締役社長 デイビッド・スワン

希少人材へと「成長させること」が優先課題

専門性の高い新興分野での人材不足に歯止めをかけるためにすべきこととは。
「ダイバーシティ」、「第4次産業革命」――。

ロバート・ウォルターズ・ジャパンは、日本の最新雇用動向と職種・業種別の給与水準をまとめた「給与調査2017」を発行しました。これを記念し東京都内で開催した発表会に慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵さんをお迎えし、雇用動向の見通しについてディスカッションを行いました。

「給与水準は最大25%増。希少人材の獲得競争が盛んになります」 -デイビッド・スワン

2016年有効求人倍率(厚生労働省調べ)は25年ぶりバブル末期並みの高水準となり、人材不足感が強まっています。求人の際に企業が求める知識・技術と、求職者(応募者)が持ち合わせる知識・技術が異なる傾向も見られます。

給与水準も軒並み続伸。特に日本語・英語の両言語に堪能で専門的な分野での知識・技術を持つ人材(バイリンガル・スペシャリスト)の給与水準には、特に著しい延びが見られました。昨年は最大20%の給与アップが見込まれていたセキュリティ/リスク関連のITスペシャリストですが、今年は最大25%へと給与増加幅が広がっています。

人材需要の細分化・多様化も進んでいます。再生可能エネルギー分野、自動車分野、高性能電子素材を扱う化学分野などを中心に、製造業ではビジネスニーズの多様化にともなって、エンジニアリングの知識・技術をもとに営業を担えるセールスエンジニアや自動車とロボットの知見を併せ持つ人材など複数のスキルを持つ人材を求める企業が多く見られました。別の例ですが、サプライチェーン、調達プロフェッショナル、コールセンターでも、人材への採用要件が複雑化しています。

2017年は、バイリンガル・スペシャリストなど充実したスキルセットを持つ希少人材をめぐる企業間の人材獲得競争がより顕著になり、給与水準も多くの産業・職種で増加が続くことが予想されます。

「希少価値の高い、優秀な人材へと成長させることが課題です」 -竹中平蔵 

アベノミクス効果もあって株価は過去4年で2倍以上まで伸び、完全失業率は3.1%まで下がりました。日本は世界で唯一、完全雇用を成せている国だといえるでしょう。労働市場は様々な問題を抱えているので再建が求められますが、人口減、労働人口減という背景を勘案しても、この失業率はとても低い数値です。

そして、日本はバブル末期並みの人材不足に直面しています。スワン社長が挙げた数分野では特に深刻です。

英国のEU離脱や、トランプ大統領の就任などに見られたハイパーポピュリズムに代表される「乱気流」、グローバリゼーション、第4次産業革命(インダストリー4.0)などの穏やかに吹いてくる「偏西風」の両方に注意を払う必要があるでしょう。

言うまでもなくグローバリゼーションは不可欠です。同時に、第4次産業革命には注意を払いたい。この言葉を最初に用いたのはドイツ政府で、6年ほど前だったように思います。昨今では人工知能(AI)、IoT、ビッグデータ、シェアリングエコノミーなどが私たちの社会に影響をもたらしています。

オックスフォード大学のオズボーン准教授の予見では、今後10年で、既存の仕事(ジョブ)のうちおよそ45%が消えると言われています。人間の仕事の大部分または一部が、AIとロボットに取って代わられる。すでに始まっています。そうした時代だからこそ、希少価値の高い、優秀な人材が必要とされています。政府はそうした優秀な人材へと人々を教育し、成長させることを課題と捉えて、取り組みを進めています。

グローバル人材、IT、AI関係分野の人材など優秀な人材、高齢化の進行に伴うヘルスケア分野の人材への需要は特に高い。政府は、リカレント教育を拡充するという方針を掲げています。在職中の従業員に対するトレーニングを意味しています。それにより、こうした専門性の高い新興分野での労働力不足に歯止めをかけようという考えです。

【日本経済の見通しについて、竹中氏に伺いました】

(※ 2017年1月末時点)

「いま世界で起きていることはある意味わかりやすい。1981年にレーガン政権がとった政策「レーガノミクス」の始まりに似ています。マクロ要因(アスペクト)の観点からすると、財政拡大と金融引き締めの組み合わせ。その二つの作用で利率が上がり、ドル建て資産の投資収益(リターン)が上がります。ドル高が進みます。高利率、ドル高により、『双子の赤字』が生じます。経常収支と財政収支の赤字です。」

「ですから、直近の経済は好調、決して悪くはないでしょう。国際通貨基金(IMF)の見通しでもグローバル成長率は昨年より高いであろうとされています。景気は緩やかに、安定して回復傾向にあります。しかし、今起きている財政拡大と金融引き締めの組み合わせに問題があり、持続可能なものではないのです。1985年のレーガノミクスの際にはその見直しを要してプラザ合意に至りましたが、今回もこの後の動向には注意が必要です。」

 

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