eスポーツの高額賞金、阻んでいるのは誰か

消費者庁は「景品表示法は問題なし」との見解

プロライセンスを発行することで高額賞金を実現したとされる「闘会議2018」。優勝賞金は200万円でした(筆者撮影)

eスポーツが日本で盛り上がらない要因の1つとして、日本では高額賞金がかけにくいということを記事(eスポーツ大会の高額賞金が「グレー」な理由)で書きました。景品表示法、風俗営業法、賭博罪の3つの法律に抵触する可能性があり、中でも景品表示法は賞金額に直結しているため、eスポーツ大会に大きく影響するとみられています。

ただ、実際には景品表示法が本当にeスポーツ大会を阻害するものなのか、もし景品表示法に抵触してしまうのであれば、それを回避する手段はないのか、という疑問が残ります。

日本では高額賞金が法に抵触するのか

JeSU(日本eスポーツ連合)の浜村弘一理事は、プロライセンスを発行しプロ選手に対する報酬とすることで景品表示法をクリアできるとしており、消費者庁との話し合いでも合意していると闘会議2018のステージなどで喧伝しています。一方で、そのやり方でも景品表示法に抵触するという意見もあり、実際のところはっきりしないというのが現状ではないでしょうか。

JeSUに取材依頼をしたところ、浜村氏は現在プレーヤー(選手)との対話を重視しており、メディア対応はしばらく待ってほしいとの回答でした。そこで、景品表示法を所管する消費者庁に問い合わせをしました。

eスポーツ関連で景品表示法にかかわる部分としては、1)そもそも景品表示法がeスポーツ大会の賞金に対してどういった規制があるのか、2)ゲーム会社が運営する大会でその会社が賞金を出した場合、景品表示法にのっとって賞金の上限が10万円もしくはゲームソフトの金額の20倍までしか払えないのか、3)もしそうであればゲームとはかかわりのない会社がスポンサーとして賞金を出せば景品表示法を回避できるのか、4)JeSUが提唱しているようにプロライセンスを発行し、プロゲーマーとして参加すれば賞金を得られるのか、という点があります。

消費者庁表示対策課の担当者に話を聞くことができました。

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  • NO NAMEa0ec7137dd2b
    さらっと書いているが、一番の争点とされていた
    「JeSUのライセンスがなければ高額賞金が出ない→だから賞金が欲しい人はライセンスの発行(有料)を受けなさい」という部分が崩れているのは根源的な問題ではないか?
    サポートに移行するとしてもよほどメリットがなければライセンスの必要がない。メジャーリーグみたいに引退後の生活保障サポートをするとかまで含まれていれば別だが現状でそこまでの話はできないだろうし。

    まず「高額賞金は誰でも受け取れます」という声明を出した後、
    それでもこういうことができると改めてPRすべきではないかな。
    有名プレイヤーと座談会して少しコミュニティに理解が得られたような雰囲気が出てきたと思ったら「認識違いました、ごめん」みたいな
    状態になってるわけだから。
    up17
    down1
    2018/3/23 09:17
  • NO NAMEd58e1f4b486e
    「興行性のあるeスポーツ大会の賞金は「景品類」に該当しないと考えられる」

    ここでいう「興行性」という基準があいまいであるということ

    「大会における上位者のプレーに対する賞金は「仕事の報酬」と見ることができるからです」

    「仕事の報酬」としての妥当な金額の上限とは?
    たとえばこれが優勝者3億円の賞金の場合「仕事の報酬」として認められるのか?

    これをなし崩し的になんでも合法だというのは脱法的な賭博の抜け穴となるのではないか?
    up5
    down1
    2018/3/23 08:24
  • NO NAME8d019b7ece94
    要はスポンサーが居ないのだろう。
    スポンサー(主に新聞社)がいる将棋が十分に成り立ってるからな。
    もっともそのせいで”王”位の数が多すぎるけどな。
    up3
    down0
    2018/3/23 10:15
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