「人生の正午」を過ぎた後で
この連載が始まってから、3回目の春になった。つまり、ちょうど2年ということになる。
そこで、今回は連載を続けながら私自身が考えてきたことを書かせていただこうと思う。一度振り返ってみることで、あらためて「キャリアのY字路」に直面した時の、気持ちのあり方について考えてみたい。
私自身は、さまざまな年代の方と公私にわたる交流がある。大学生の相談に乗ることもあれば、役員の方と話すこともある。若手社員のトレーニングもあれば、マネジメントのお手伝いもする。
そして、この連載では「ミドル世代のキャリア」に照準を絞ることにした。それは、自分自身の問題意識とも強く重なっていたからだ。
恐縮ではあるが、少々自らのことを書かせていただくと、私自身は40歳で会社を退職した。最近は「卒業」という人も多いようだが、個人的には「中退」と言っている。
辞めた理由は、「会社員以外の生活をしてみたかった」ということが一番大きい。その機会をうかがっていたら、ちょうど40歳だったのだ。
心理学者のユングは、40歳を「人生の正午」に喩えた。時代や国によって平均寿命は異なるものの、この感覚は比較的しっくりくる。
そうだとすると、40歳以降は「午後の時間」を過ごすことになり、やがて来る日暮れを否応なしに意識するはずだ。
私自身は、フリーランスとして40代を過ごし、さまざまな会社を外から見ることになった。そして、数多くの人の「午後」を知り、無数のY字路があることを感じた。
そこで感じた問題意識が、この連載を始めるきっかけになったのだ。
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