医療系ワードのGoogle検索はまだまだひどい

コラム わかり手

WEBの世界を大きく揺るがしたDeNAの「welq」騒動、「医療系検索の信頼性」が大きく注目されたあの事件から、Googleも医療系ワードの検索結果について独自の対策を取るようになった。

あれから2年、医療系検索の世界は良くなったのだろうか。確かに少しずつ変わってきている。しかし、どうやらまだ理想的な状態とは程遠いようだ。

今回はRemeというWEBサイトのコンテンツを元に、医療系検索の現在、そして「監修」の意義について考えていきたい。

 

臨床心理士により「監修」されているRemeのコンテンツの実態


RemeというWEBサイトがある。メインコンテンツは自社の抱える「メンタルヘルスのプロ」に対する匿名相談だが、恐らく集客のためか、メディア運営も行っている。

「専門家に匿名で相談できる」ことを価値として掲げるRemeであるので、メディアの各記事は臨床心理士の「監修」を受けて掲載されているのだが、このコンテンツがまた「welq」並にひどい。

例えばこの記事

シークレットモードで検索したところ「メンヘラ」というワードでは2位に表示された。

しかし内容はあまりに酷いとしか言いようがない。

「メンヘラ」とはあくまでインフォーマルな俗語であり、医療用語でも疾患名でもない。

その「メンヘラ」というワードを、Remeではあたかもフォーマルな病名のように扱っている。

「初期段階」「原因」「克服法」...。そんな言葉が並び、臨床心理士の監修を受けていると主張されれば、無知なユーザーは「メンヘラ」が疾患であると誤解してしまうだろう。

それのみではなく、内容も酷い。例えば「メンヘラの克服法」の項では。「恋人を作る」ことが克服法として挙げられている。

「不幸話を喜んでくれる人を恋人にする」という対処法にもツッコミたいところだが…。

もう全体が酷すぎるので個別に深掘りすることはここでは行わない。

しかしこれは、本当に臨床心理士が監修した上で掲載されたコンテンツなのだろうか。

 

他の項目のコンテンツの質もひどい。例えば「LGBT」

LGBTとは言うまでもなくレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの略語だ。当たり前だが精神疾患ではないし、特定の性自認を指す用語ですらない。

そのLGBTに「原因」「初期段階」「克服法」という項を設けるこのページは、本当に臨床心理士が監修の元に作成されたのだろうか。

 

まだまだある。というか、ほぼ全てのページがひどい。

「性同一性障害」の項では、性自認と性指向が混合して書かれているし、「躁うつ病」「双極性障害」のページでは、これらの疾患が同一のものであるにも関わらず、それぞれ違うことがそれぞれのページで書かれている。

このように、Reme「こころ百科」は信頼できる医療情報とはとても言い難い。

しかし多くのワードで検索上位を取っており、毎日何十万人というひとがこれらのページを目にしている。

 

「専門家の監修」


この惨状は、「専門家の監修」をGoogleがまだ精査できない点に原因があるように思う。

2017年12月、Googleはウェブマスター向け公式ブログにて

医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすくなります。

と明言した。

その前後から「医師が監修!」「薬剤師が監修!」「臨床心理士が監修!」など「専門家の監修」を謳う医療系サイトが増えてきたように思う。

しかし、その実態はこれだ。

「監修」と謳うだけなら誰でもできる。実際に監修していなくとも、名義さえ借りられれば素人の書いた雑文も「専門性のある情報」としてGoogleに評価されてしまう。

恐らくこのようなサイトは、精神分野以外の医療系ワードにも広がっているだろう。

多くのユーザーは、専門家ではない。「監修」という権威はユーザーの疑う力を奪ってしまう。

しかし、それで本当に信頼性のある情報が上位表示されやすくなるのか。

Remeの一件を見る限り、まだまだゴールは遠いように思える。


【執筆者】
小山晃弘(HN : わかり手)

【プロフィール】
メンヘラなりに前向きに生きていきたい。
Twitter:@anbakurakoya 


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1件のコメント

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関係ないけど、スマホから閲覧すると画像がはみ出しまくってます。
おそらくサムネイルの設定ができてないのかも。

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