仏当局、サルコジ元仏大統領を本格捜査 リビアからの資金疑惑で
フランス当局はニコラ・サルコジ元大統領(63)に対し、リビアの故モアンマル・カダフィ大佐から不正な選挙資金を受け取った疑いで正式捜査を開始した。サルコジ氏は20日、2日間に及んだ身柄拘束を解かれた。
中道右派のサルコジ氏には2007年の大統領選をめぐる資金不正とリビア政府資金の横領、収賄の容疑がかかっている。
当局は2013年から、サルコジ氏が選挙期間中、カダフィ大佐から数百万ユーロに上る不正資金を受け取っていたとして捜査を開始していた。
サルコジ氏は容疑について、2011年の大統領時代にフランスがリビアに派兵しカダフィ大佐の失脚につながったことに対する報復だと述べ、否認している。
20日には、サルコジ政権で閣僚を務めたブリス・オルトフー氏も警察から聴取を受けたとされる。
一連の捜査では今年1月、サルコジ氏の側近だったアレクサンドル・ジュリ氏がマネー・ロンダリング(資金洗浄)の疑いでロンドンで逮捕されており、フランスへの身柄引き渡しをめぐって争っている。
ロイター通信によると、ジュリ氏は容疑を否認しており、捜査には政治的な思惑があるとしている。
リビアをめぐる疑惑とは?
2016年11月、仏・レバノン国籍の実業家ジアド・タキエディン氏が仏メディアに対し、2006~2007年に500万ユーロの入ったスーツケースをサルコジ氏と側近のクロード・ゲアン氏に手渡したと証言。これがカダフィ大佐から来たものだと主張した。
ゲアン氏は当時、サルコジ氏の大統領選キャンペーンを取り仕切っていた。同氏は20日に受けた取材で「リビアからの資金など一銭たりとも見ていない」と話している。
ゲアン氏は今年初め、2008年に行った50万ユーロの銀行取引について非公式の捜査を受けている。これについては絵画の売買にかかるものだとして、疑惑を否定している。
このほか仏紙ル・モンドは、当時リビアの政府系ファンドを運営していたバシール・サレフ氏が、カダフィ大佐がサルコジ氏を援助していたことを認めたと伝えている。
一連の容疑が認められた場合、職権濫用や詐欺、盗品の取り扱い、マネー・ロンダリングなどで罪に問われる可能性がある。
サルコジ氏に対してはこのほか、2012年の大統領選についても、選挙活動費の法定上限2250万ユーロを超える資金を支出した疑いで刑事訴訟が進んでいる。同氏はこの大統領選で左派・社会党のフランソワ・オランド氏に敗退した。サルコジ氏は、上限を超える支出は認識していなかったと主張している。