「心をつなぐ?分身ロボット」(くらし☆解説)
2018年03月20日 (火)
室山 哲也 解説委員
(アナ)
離れたところで人間が操作し、あたかも分身のように動くロボットが、社会に出始め、注目されている。室山解説委員。どんなロボット?
(室山)
テレイグジスタンスロボットといわれるもので、操作者と同じ動きをして、ロボットが見たり聞いたり触ったりといった感覚情報を共有できる。
研究室では将棋や習字ができる高性能のロボットも誕生している。
このロボットが、機能をやや単純化し、社会で利用され始めている。
広島県立広島西特別支援学校の児童の西浜萌音ちゃん(11歳)は、生まれつき体が不自由だが、アメリカ製の分身ロボットを使って、授業を受けたり生活をしている。この日はコンビニに買い物。
人気者でいろいろな人に声をかけられながら、買い物を楽しみ、病室まで運んだ。このロボットを使い始めて、萌音ちゃん、生活圏が拡大し、心が育ち、周囲の人とのコミュニケーションも広がった。
しかし、このロボットはアメリカ製。日本製のオリヒメはまだ小型だが、タブレットやスマホを使って、操作者と視覚、聴覚を共有できる。
オリヒメは、三鷹のベンチャー企業が開発し、2年前から2000台以上製作され、さまざまなところにレンタルされている。NTT東日本ではオリヒメを66台レンタルして、在宅勤務に応用している。通常はオリヒメを、本人の机に置き、常時接続。必要に応じてコミュニケーションをとる。この日ロケした会議では、ほかの場所の在宅勤務者と、ロボット同士で会話もしていた。
(アナ)
スカイプや電話とどこが違う?
(室山)
一番違うのは、画像や音声だけではなく、動く体をもっているということ。身体性と存在感があるため、職場を構成する要素として環境と一体化している。このロボットを使って、不登校の子供が、学校に行き、授業を受けたり友達と交流しているケースもある。
(アナ)
今後どうなる?
(室山)
遠くの親の介護をしたり、危険なところの作業をしたり、体の不自由な方が海底散歩したり、ミクロの世界体験もできる。また世界の各所に置き、各国のビジネスマンが分身ロボットで集合して、下見や打ち合わせをするなどいろいろな応用が考えられる。このように、分身ロボは、使い方一つで、人間をつないだり、社会を変えていく可能性を持っている。
(室山 哲也 解説委員)