玄海原発差し止め認めず 佐賀地裁、仮処分申請退ける
23日にも7年ぶり再稼働へ

環境エネ・素材
九州・沖縄
社会
2018/3/20 10:05 (2018/3/20 11:43更新)
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 九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県)を巡り、九州・山口の住民らが再稼働差し止めを求めた仮処分申請で、佐賀地裁(立川毅裁判長)は20日、申し立てを退ける決定をした。「原子炉施設の安全性に欠けるところがあるとは認められない」と指摘、再稼働を事実上認めた。住民側は即時抗告する。

玄海原発の再稼働差し止めを求めた仮処分申請で申し立てを退ける決定が出され、垂れ幕を掲げる弁護団(20日午前、佐賀市)

玄海原発の再稼働差し止めを求めた仮処分申請で申し立てを退ける決定が出され、垂れ幕を掲げる弁護団(20日午前、佐賀市)

 玄海3、4号機は2017年1月に原子力規制委員会の審査に合格。各種検査などを実施し、3号機は原子炉に既に核燃料が装填されるなど、再稼働目前の段階だった。3号機は23日にも約7年3カ月ぶりに再稼働する見通し。4号機も5月中に再稼働する予定。

 仮処分は九州・山口の5県の住民73人が17年1月に申し立てた。原発の耐震設計や避難計画などの争点に加え、住民側は広島高裁が同年12月に四国電力伊方原発(愛媛県)について、熊本県の阿蘇山の破局的噴火のリスクを理由に差し止めを認めたことを受けて「噴火規模の予測は困難で重大事故の危険性がある」との主張を追加。九電側は「破局的噴火のリスクは低い」と反論していた。

玄海原発3号機(左)と4号機

玄海原発3号機(左)と4号機

 立川裁判長は決定理由で、噴火の予知は困難とした上で「破局的噴火を自然災害として想定すべきだとする立法政策はとられていない」と指摘。阿蘇山のマグマだまりの状況などから「具体的危険が存在するとはいえない」と判断した。耐震設計や避難計画についても住民側の訴えをいずれも退けた。

 弁護団は「断じて受け入れられない」として即時抗告を表明。九電は「当社のこれまでの主張が裁判所に認められたもので妥当な決定」とのコメントを出した。

 佐賀地裁は17年6月、別の住民グループが玄海原発の差し止めを求めた仮処分の申し立ても却下していた。

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