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 パルコヤは2017年11月に開業したばかりで、過去の実績値がない。顔認証カメラとカウントカメラも日々調整を続けており、認識精度を上げていっている。そのうえで店長の感覚とのズレが解消されていくものもあれば、店長の勘と経験とは異なる客観的な数字や事実が判明するものも出てくるだろう。

カメラを使った来店者の属性分析結果
(出所:パルコ)
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 分かりやすい例でいくと、ある和食系の飲食店ではランチタイムを過ぎた平日午後の時間帯でも来店者数がほぼ一定で減少せず、安定して推移していることが分かった。しかも驚いたことに、独りで来店している男性客が想像以上に多い。仕事途中のビジネスマンが休憩や「出先の仕事場」として、その飲食店を利用しているのか、現状ではまだ理由は分かっていない。だが平日の午後に男性の独り客が一定数いるのであれば、男性向けのメニューを増やすなど強化策を打ってみる価値はある。

 また、従来のパルコ(PARCO)とは別の屋号を付けたパルコヤのコンセプトは「ちょっと上の、おとなの、パルコ。」だ。若者文化の発信地としてのパルコとはちょっと違い、メインターゲットとして30~50代の大人の男女を想定している。わざわざ屋号を変えたのは、従来のパルコとの区分けを強調する意味合いがある。

 だが想定通りに大人がパルコヤに来店するのかは、開業してしばらくたってみないと分からない。そうした分析にも当然、顔認証カメラが役立つ。商業施設を運営するパルコとテナントが求める客層がマッチしていない可能性もあり得る。そこは数字を見ながら慎重に見極め、集客策を練っていかなければならない。