1.はじめに
市原幹也氏のセクハラが大きなニュースになって、演劇界に衝撃が走った。
これまでの状況をまとめておく。 2.セクハラの状況と謝罪
(1)セクハラの状況
《知乃さんのツイート》
「#MeToo 女性の告発」にまとめられている。 https://twitter.com/i/moments/942436343291899904 *** 知乃 @c_Tremendous 2017年12月17日 高2の時、プロデューサーと二人で打ち上げをしようと言われ、二人で食事へ。そのあと、『僕は歌もみてあげられるよ』とカラオケへ行った。警戒はしていたけれど、私は売れたかったし、プロデューサーと言う肩書きの大人に嫌われたくなくて、ついていった。続 #Metoo 個室で肩に手を回されて『一人でするの手伝ってくれたら、青年団での仕事を紹介してあげる』『無理なら、一人でするの、見ててくれるだけでもいいよ』と。こんな大人が、本当に居るのかと思った。どう帰ったかは覚えてない。最寄り駅についてホームに座って二時間泣いていた。 #MeToo
よく考えたらこんなの怪しすぎるんだよ。でも、それでも高2の時、泣き寝入りするしかなかった私のために今言うしかない。市原幹也、忘れてないからな。私たちの夢を性欲の捌け口にするな。一生忘れない。二度と、泣き寝入りする人がいませんように。 #metoo セクハラパワハラなんて、どこにでもごろごろ転がっている話で女性は毎日そのなかで生きている。告発したこの瞬間から被害者の方がリスクが大きいなんておかしい。戦うぞ、声を上げつづけるしかないのだ。二年前、泣き寝入りした私のため、歯を食い縛っている全女性のため #metoo
*** 《葭本未織さんのツイート》
*** 葭本 未織 よしもとみおり @yoshimoto_miori · 12月17日 市原幹也、私も横浜市主催の写真展のモデルに応募したら、突然DMが来て、「電話番号を教えてほしい」と言われ、教えたら、2時間ほど「北九州芸術劇場の監督をやってたときに一介のラジオパーソナリティだった女を韓国公演の主演にして女優にしてやったんだ。俺と寝たら売れさせてやる」って言われたな 電話ガチャ切りしたけど、寝込んだ。横浜市の税金を使って行われている芸術活動を出汁に、若い女優を喰いものにするつもりしかないのが本当に悔しかった。青年団の舞台に立たせてやる、とか他の方に言ってたらしいけど、本当に青年団の人怒った方がいい。とんだ風評被害だよ。 #Metoo これ自分の引き出し的にはめっちゃ軽い方なんだよな。まだまだ色んな人間のネタが出てきてしまう。悲しいことに。わたしは絶対に自分のまわりの女優にひどい目に遭ってほしくないから言うけど。
決定的な打診ではなく、仕事あげますよ!って感じで連絡してくるやつ、本当にマネージャー連れてくか劇団員連れてくか友人連れてくか父親連れてくかしないと絶対に無理。 *** 《Nomadさんのツイート》
*** Nomad @Nomad_AQ · 12月18日 >RT この一連のツイートで彼の名前を見て遠い記憶が蘇りました。2011年のことなので記憶も曖昧ですが、北九大時代にありましたね。確か421lab関係でアイアンシアターでボランティア?か何かを募集してて、それに応募したら彼本人から連絡が来て。で、どういう流れでそうなったのか忘れましたが深夜に彼の住んでいた家(北九大の近くでした)に行くことになり。そこで二人きりで、確か膝枕をさせられたのかな。そんでマッサージをするとか何とかで、私が「は?」って顔をしたら、「あ、じゃあいいよ」みたいな感じで事なきを得たのですが。結局家近くのコンビニまで送ってもらいましたけどもうなにが起こったのやらで呆然としてしまって、結局421labに申し込んでいたそのボランティア活動からも秒で撤退したし、彼の連絡先も速攻で消しましたよね。だからあのことを証明する手段なんて何も無いし、嫌な事は忘れる体質でついこの瞬間まで忘れてましたけど確かにありましたよ、市原幹也さん 結局決定的なことは何もされなかったかもしれないけど、私だけじゃなくて他の人にも被害が及んでいるのを知って、うわーやっぱりあの人そうだったんだと今更ながらに嫌悪感。今でも意気揚々と演劇活動されてるようですが、その辺りどうなんですか、市原さん。#metoo
てかマジであれが2011年のことで、今2017年じゃないですか。この数年間、もっと被害者がいる気がしてならないんですが。だって、何も変わってないんでしょう、彼。病気ですよ、本当に… 今それこそ私は演劇から離れていて、全然関係の無い業界でキャリアを積もうとしてるから、この発言をすることに躊躇いは無かったけど、今まさに女優を目指してたり、演劇を頑張ってる若い女性達が、加害者である現役の演劇人に対して声を上げるのってとんでもなく勇気がいると思う。
ある意味私はもはや蚊帳の外、どちらかというと観客側の人間だけど、頼むから大人の演劇人達よ、夢見る若い女性から搾取するのはやめて。己の性欲の発散方法に彼女達を選ばないで。権力を盾に脅さないで。こっちがお願いしなくてもそれだけは守って。#metoo 頭の片隅に閉じ込めていた忌まわしい記憶がパンドラの箱のように開かれるという体験を初めてした。育った街を離れ、大学に入ったばかりで何とかして演劇人との関わりを持ちたかった18の私に、彼は「演劇について、劇作について教えてあげる」と深夜に呼び出したのだ。
実際、彼の家で起きたことはまるで演劇とは関係の無いことだった。少し喋った後、体の一部を触られたことしか記憶にない。ただ、それを拒否した帰り道に、「良い戯曲を書きたければたくさん映画を観るといい」と彼は言っていた。今思い出した。 当時多分私はその出来事を全力で遠ざけ、封印し、忘れようとしてそれは見事に成功した。だけど、本当は然るべきところに報告すべきだった。大学が斡旋する地域活動を通じて知り合ったのだから。それができなければせめて証拠を残しておくべきだった。後悔しても遅い。 まさか時を経て、別の地でも同じような被害に遭われた方がいただなんて。自分の身に起こった事よりもそれが許せない。何とかして市原氏を止められなかったのか。今自分に出来ることは何か。それだけを必死に考えている。 Nomad @Nomad_AQ · 12月19日
>RT 私自身としてはこれで終わりのつもりは毛頭ありません。氏からの謝罪を受け入れるつもりもありません。そもそも人として絶対にやってはいけないことを、当世の流れや皆様からのご指摘が無いと学べないというのは、正直言葉が出ません。引き続き氏の行為を周知していく所存です。#MeTo *** (2)市原幹也氏の謝罪
市原幹也氏は告発された翌々日に、次のような謝罪文を発表している。
*** 市原幹也 @nokogeki · 12月19日 私の言動に対して何人かの女性から精神的苦痛を与えられた旨の告発がありました。深く反省し謝罪に向けてできる限りのことをして参ります。詳細をホームページに掲載しました。 http://ichiharamikiya.wixsite.com/ichihara/news01 〔お詫び〕 演出家として活動をしております市原幹也です。 ご存じの方もおられるかもしれませんが、Twitterにおいて、私が過去に何人かの女性に対して立場を利用し性的な関係をせまるなどして恐怖を感じさせ、また演劇界に抱いていた夢に対して失望させたという告発がなされました。
告発された内容と、また告発がなされるまで自分の側からは沈黙していたことについて、心から重大に受け止め責任を感じております。 多くの方にご迷惑、ご心配をおかけして大変申し訳ございません。
告発されているような私の言動は決して許されるものではありません。 告発の内容には、心当たりがあります。 現在、ご本人に謝罪の意思をお伝えする準備をしています。 少しばかりお時間をいただきますが、これにより責任逃れや保身をする意図はありません。 与えた精神的な被害については十分に謝罪をしたいと考えています。 当時自分の認識が未熟でありましたが、当世の流れや皆様からのご指摘からも学び大変反省しております。 これを機に改めて自分を見つめ直し、このようなことが起きないようにしっかりと考えていきます。 これまでにも他に私の言動によって精神的苦痛を与えた方がいらっしゃる可能性を考え、自分の過去の言動を省みています。
また、これまでの活動でお世話になった皆様に深くお詫び致します。 関係者の信用に迷惑が及んでいる可能性を反省し、これ以上及ばないことを願っております。 重ねて、誠に恥ずかしいことながら、まだ告発に及んでおらぬ方々の中にも、私から精神的苦痛を被った方がおられる可能性を、私は否定できません。
現在私は自分で心当たりを確認し、自分の能力のおける限りもれなくお詫びできますよう、連絡先を設けるなどの方法を探してゆくつもりです。 少しお時間をいただくことになりますが、私からのお知らせをお待ちいただけますようお願い致します。 *** (3)平田オリザ氏の発言
劇団名をセクハラの道具として市原幹也氏に使われた劇団青年団の平田オリザ氏が、劇団ホームページに怒りの意見表明をされた。
「市原幹也氏のセクハラ問題について」2017年12月21日 http://www.seinendan.org/hirata-oriza/message/index-171221.html 「バンコクシアターフェスティバル最優秀作品賞受賞」2017年12月22日 http://www.seinendan.org/hirata-oriza/message/index-171222.html ***
(抜粋) 私は犯罪を冒した者が演劇界に戻ってきてはいけないと言っているわけではありません。窃盗などの犯歴があっても、法的な処罰がきちんと済んでいれば現場に復帰することは十分に可能でしょうし、可能であるべきです。しかし、今回の問題は、それとは質が異なると私は考えています。 アスリートがドーピングや敗退行為といった深刻な問題を起こした際には、その業界から永久追放される場合があります。それぞれの業界には、法的な罰則や更生の問題とは別に、その業界の(あるいは業界に対する信頼の)根底を揺るがすような行為に対しては独自の強い罰則規定が有形無形の形で存在します。これも法律論とは別次元で、社会的に許された制裁であり私刑とは異なります。 もう一点、今回の件が、一般の方にわかりにくかったのは、「キャスティングを餌に」というところが、どれほど深刻かが伝わりにくいのではないかとも感じました。 私たちはオーディションの際、ときに1000人2000人の中から一人の俳優を選びます。2000人から一人を選べば、残りの1999人からは恨まれます。我ながら、ひどい仕事だと思います。しかし、そのような行為がかろうじて許されているのは、オーディションが公平に行われているということが前提になっているからです。受験者たちは、チャンスは平等にあると信じています。俳優たちは、機会の平等のもと、才能という不平等と闘います。 未成年者を含む広範囲の演劇を志す人々に対して、キャスティングを餌に性的関係を迫った今回の市原氏の行為は、この信頼の根底を揺るがすものだったと私は思います。 もちろん犯罪と罰則や制裁の内容は相対的なものです。「演劇界に関わらない」という社会的制裁が重すぎると感じる人もいれば、軽すぎると感じる人もいるでしょう。しかし、私個人は、今回の件を、従来よりも重く受け止めるような演劇界に変えていく必要があると思っています。 演劇には、仕事という以外に「表現」という別の側面があります。それを規制するつもりは毛頭ありません。追放されたアスリートが、走ったり泳いだり野球をしたりすること自体を禁止されるわけではないように、演劇をするのは勝手です。自分で演劇を創って、家族や友達に見せることもできるでしょう。しかし、いわゆる「演劇界」には戻ってきて欲しくないというのが私の見解です。
「表現」という側面を、もっと優先すべきだという意見もあるでしょう。しかしそれでは、この手の問題を巡って、いつも散見される「やっていたことはよかったのに残念」「作品は素晴らしかったのにもったいない」といった消極的擁護論と同様になってしまうのではないかと私は危惧します。「Me too」という運動の一つの大事な特徴は、これまで、ともすれば「芸術」の美名の元、寛容に、あるいは曖昧に扱われてきたセクハラ行為を許さないという点にあると思います。セクハラだけではなく、人権を抑圧するような行為によって成り立つ芸術は、もはや許されない。特に日本の演劇界には、大きな意識改革が迫られていると感じています。 *** (「市原幹也氏のセクハラについて(2/4)」へ続く)
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