橋本吉史(橋P) 松屋の本格カレーの謎を語る

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橋本吉史さんがTBSラジオ『興味R』の中で牛丼チェーン松屋の本格派のカレーについてトーク。専門店にも勝るとも劣らないクオリティーのカレーを提供するその謎について、松屋フーズ本社で取材した結果を話していました。

松屋 オリジナルカレーの具(20パック入) 【冷凍】

(橋本吉史)それはいいとしてお二人とも、松屋のカレーって食べたことあります?

(スーパー・ササダンゴ・マシン)もちろん、僕はありますよ。

(熊崎風斗)私もです。

(橋本吉史)ありますか。牛めしだけじゃなくてカレーも。どんなイメージがあります?

(熊崎風斗)かなりスパイシーで本格派で。そんなに辛いものが得意じゃない私からすると、結構びっくりするぐらい。松屋っていういろんなところにるお店でこの辛さと本格派のメニューを出してくるんだっていうぐらいスパイシー。かつ、いろんな風味とかが……。

(橋本吉史)そうですね。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)俺は「安い」。とにかく安い。

(橋本吉史)それも間違いないです。本格的、かつ安いっていうことですよね。たしかに、そうなんですよ。普通のいわゆるああいうファーストフード店のカレーって、万人受けだったり食べやすさだったりっていうのは当然、あると思うんですよね。でも、そこのイメージを完全に覆してくるのが現状、いまの松屋さんの出されているオリジナルカレーだと思うんですよ。これはたしかにみんなが認めるところだと思います。で、もともと松屋といえば……あ、いまちょうどスタジオに松屋のオリジナルカレーがね。これはね、オリジナルカレーですよ。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)えっ、あら! オリジナルカレーですね。

(橋本吉史)香りがもう、さっそくスパイシーですよね。パンチのある香り。

(熊崎風斗)そうですね。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)ああ、いい匂い! ちょっと色も濃いですよね。


(橋本吉史)そうですよね。本格派ですよね。でも、この松屋さんのカレーは昔から本格的なカレーだったわけではなくて。これ、見知る限り最初に出されたのは1980年にビーフカレーが出ています。創業にかなり近い段階から出ています。その後、カレギュウというメニューが出たのが……。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)そうそう! 飲食業界のイノベーションですよ!

(橋本吉史)これはもう、これに勝るものはないだろうぐらいの最強のコンビネーションで。これが1997年に出ています。その後、1998年のキーマカレーが出ていたり……。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)キーマカレー! めちゃめちゃ美味かった!

(橋本吉史)なんか実験的にいろんなカレーが出ているんですよ。90年代でですよ。で、2000年代に入ってもヘルシーチキンカレー(2003年)。で、スープカレー(2005年)。2009年に結構話題作が出まして、それがフレッシュトマトカレーっていう。トマトの味が強い、カレーなのか、トマト煮込みなのか?っていう斬新な。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)でもね、結構ガーリックが効いているんですよ!

(橋本吉史)斬新なカレーだったんですよ。とにかく松屋さんって普通のカレーもありながらも、カレーに対する飽くなき探究心がかなり長い間あるんですよ。これ、でもファーストフード店で、いわゆる万人受けするカレーを出せばそれで人気になると思うんですよ。定番でね。なんでここまでカレーに対して貪欲なのか? ちょっと疑問じゃないですか。 気になるじゃないですか。

(熊崎風斗)たしかに。牛丼屋さんの松屋の中でカレーがそれだけこだわっているということですよね。

(橋本吉史)牛めしは当然、ラインとしてあります。定食もありますね。牛定とかいっぱいあります。その中でも、カレーの研究の仕方はちょっと違うんですよ。他のメニューと進化の仕方が違う。これは僕がカレーを食べ歩くカレー好きだからこそわかるんですけど。ずーっと松屋のカレーを追い続けてきて、これはもしかしたら松屋さんの中に超絶カレーに詳しい開発者。天才カレー博士がいるんじゃないかと。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)カレーバカですね。

松屋内部に天才カレー博士がいるのではないか?

(橋本吉史)いわゆるカレーバカがいて、その人が何十年もカレーを試行錯誤して出した結果……。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)でも、そういう人って変な話ですけども、ココイチとかそういうところに就職をするんじゃないですか?

(橋本吉史)だから、僕もそれが気になっていたんです。それで松屋でそういう研究がなされていたのか?ってことなんですよ。で、近年だともう名作中の名作、ごろごろチキンカレー。これ、みなさんもさすがにわかると思うんですよ。


(スーパー・ササダンゴ・マシン)もうほぼ、鶏肉料理ですよ。

(熊崎風斗)チキンのボリュームが半端じゃない!

(橋本吉史)チキンの量とルウの濃厚さ、芳醇さがやっぱり僕からするとデリーという名店のコルマカレーのルウにすごく似ている味なんですよ。正直、これがあればコルマいらないんじゃないか? デリー行かなくてもいいんじゃないか? みたいなレベルのものが590円とかで出ていたりしちゃうわけですよ。


(スーパー・ササダンゴ・マシン)590円でしたっけ?

(橋本吉史)で、これはちょっとやっぱり、キーマンが誰なのかを聞く必要があると思って僕、三鷹にあります松屋の本社に行って……。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)本社、三鷹なんですね。

(橋本吉史)三鷹なんです。駅前のビルなんです。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)三鷹っていうのは松屋の門前町だったんですね!

(橋本吉史)もう松屋の聖地は三鷹です。で、行って、とにかくこのキーマンにさえ会えれば、このカレーの歴史が全てわかると思ったんですよ。それが誰なのかを聞くために行って、取材してきたんですけども。これ、別に僕の個人の興味で行ったんですけど。お話をうかがいました。松屋フーズ 商品開発部のミズシナカズヤさん。この方に「キーマンは誰なの?」っていう。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)ミズシナさんがキーマンではないんですね。

(橋本吉史)ではないようなんですよ。キーマン、わかりましたんで、聞いてみましょう。どうぞ。

<取材音源スタート>

(松屋・ミズシナ)カレーに関して、それ以外の商品もそうなんですけど、会長のこだわり、入り込み具合いは100%に近いですね。いろいろとテーマを与えていただくんですけど、それについて開発担当者が開発をします。最初は手鍋でいろいろと配合を調べるんですが、手鍋で配合を検証している時に、横に会長がついて。「このスパイスを入れたらいいんじゃないか?」とか「これをもっとこう配合したらいいんじゃないか?」とか。そういったことで、開発者も困るようなシチュエーションもあったりというのは、過去に何度も見ております。

カレーの個性ですとか、あと専門性。そういったところをどんどん追求していく、そんな思いが強いです。ですのでいま、うちに出ているオリジナルカレーも一般的な人に好まれるというよりも、どちらかと言うとコアなお客様に支持を受けているのかなという風に感じております。スパイス、辛さが非常にパンチが効いておりまして。残念ながらお子様にはちょっとおすすめできない商品設計となっております。

<取材音源おわり>

(橋本吉史)なんと! そのキーマンというのはトップ中のトップ。松屋さんの会長さんだっったという!

(スーパー・ササダンゴ・マシン)会長、何才ですか?

(橋本吉史)会長さんはなんと、御年77才。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)77才!?

(橋本吉史)でも自ら、鍋の横でカレーにすごく細かく指示を出されているという。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)ごろごろチキンカレーをリリースしたのはもう76才とか75才とかで?

(熊崎風斗)70才をすぎてから、会長が。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)すごいですね! イーストウッドだ!

会長の肝いりでカレー開発

(橋本吉史)完全に大御所ですよ。だから、会長自らの肝いりの企画だからこそ、カレーはこれだけの特殊性が保てている。だから、本来はこれ、会社員だったらなんかいろんな人の意見で丸みが出ちゃうじゃないですか。こういうのって。「お前、これちょっと尖りすぎだよ、この企画」みたいになっちゃうじゃないですか。でもやっぱり、トップダウンでカレーのチューニングを合わせるからこそ……結構最後に気になることをおっしゃっていましたよね。「残念ながらお子様におすすめできない」って。これをファーストフードのカレーでこのチューニングにするというのはもう相当アグレッシブっていうことですよ。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)だから牛丼屋のカレーでも、たとえばすき家さんと松屋だと全然味が違いますからね。

(橋本吉史)別の方向性なんですよ。でも、カレーのマニアの人が「本格派だな!」っていうレベルでガンとパンチが来るチューニングで、あんなにあちこちで安く食べれるのはやっぱりこういうバランスだからなんですよね。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)ちなみに会長は牛丼そのものの開発には関わっていないんですか?

(橋本吉史)牛めしとかももちろん、全体に見てらっしゃるんですが、やっぱりカレーに対するこだわりは全然温度が違うらしいんですよ。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)フハハハハハッ! だからカレーがとにかく作りたいのに、松屋じゃないところに転職しなっていうのは、松屋の会長だからっていう。めちゃめちゃわかりやすい!

(橋本吉史)味が微妙にマイナーチェンジされているんですけど、オリジナルカレーの味は創業から30回以上変えているらしいんですよ。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)ええーっ!

(橋本吉史)30回ってことはほぼ年一ぐらいで変わっているんですよ。これ、牛めしのチューニングよりも多いんですよ!

(スーパー・ササダンゴ・マシン)多い!

(熊崎風斗)やっぱり会長はカレーなんだ。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)カレギュウを開発したのも会長なんですかね?

(橋本吉史)もちろん会長は関わっているでしょうね。とにかく、その時のトレンドとかを全て会長がおさえていて、その都度「こういうのはどうだ?」って指示を出されているという。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)へー! でも、その作るプロではない。作る人はいるわけでしょう?

(橋本吉史)だから、チームがちゃんといますけども、その一流のチームがいて、作るチーム、研究チームのトップは元有名ホテルの料理長だったりとか。完璧に一流のチームが……。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)やっぱり! それは銀座デリーと一緒じゃないですか。ホテルの料理長がやっているというのは。

(熊崎風斗)その上で会長が最後に指示を出してという。

(橋本吉史)それだけじゃないんです。カレーのメニュー開発だけじゃなくて、松屋さんの他のグループ店舗の中で、実はカレーに特化した店があるんですよ。トンカツの松乃家さんとか、いろいろあるじゃないですか。その中で、カレーに特化したものがある。それがマイカリー食堂。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)ほー!

(熊崎風斗)これは僕、全く知らなかったです。

カレーに特化した店・マイカリー食堂

(橋本吉史)これは都内に現状、3店舗あります。これ、板橋、三鷹、府中と3つあるんですね。かつては札幌にもあったんですが、それはいまなくなってしまって、いまは3店舗。

(熊崎風斗)じゃあ、三鷹は本社があって、カレーのところもある。

(橋本吉史)そうです。これだけのこだわりを持って作っているカレーが、要はチェーン店っぽく展開されているわけですね。本格派のカレーがかなりのコスパで出ている。つまり、どういうことか?っていうと、欧風ビーフカレー。これは本格派の味なんですが、これが590円だったり。


(スーパー・ササダンゴ・マシン)安い!

(橋本吉史)バターチキンカレー。これ、結構専門店で出てくるようなカレーですよ。


(熊崎風斗)1000円は行っちゃうような。

(橋本吉史)行きます。だいたいね、インド料理屋さんではね。それが640円。あと、プレーンなカツカレーで500円。


(スーパー・ササダンゴ・マシン)なぜビーフカレーより安いんですか!?

(橋本吉史)これ、すごいですよ。

(熊崎風斗)カツカレーのワンコインは見たことないですね。

(橋本吉史)これ、下手な社食より安いと思いますよ。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)でも、味はもう?

(橋本吉史)みなさんご存知のオリジナルカレーのような、まあ本格的な味。で、これが全国展開したら、おそらくカレーのチェーン店の勢力図が全部塗り替わると思うんですね。だってこんなコスパで! こんなコスパで展開したら、もう他に行く必要がなくなっちゃうレベルだと思うんですよ。だからこれいったいどういう状況なのか? 松屋さん的に本当に展開できるのか? そのへんを伺っていますので。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)コスパがいいのか悪いのか、気になりますね。

(橋本吉史)ちょっとインタビューしましたんで。聞いてください。

<インタビュー音源スタート>

(松屋・ミズシナ)今後、店舗数を増やすにあたって越えなければいけないハードルがいくつかございます。そのうちのひとつ、たとえば味のクオリティーやコスパの面で優れすぎているという風におっしゃっていただきましたけども。会長より「美味しいカレーをとにかく安く売れるようにしてほしい」と日々言われておりまして。実はマイカリーで販売しているカレーはかなり無理をして売価設定しております。ですので、ちょっといまクオリティーを落とさずに原価を抑えるにはどうしたらいいのか? それを日々模索しておりまして。こちらがクリアできれば、店舗数をどんどん増やしていきたいなという風に思っております。

<インタビュー音源おわり>

(熊崎風斗)儲け、ないんですね。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)はっきり言ってましたね!

(橋本吉史)コスパがいいのは当たり前です。だから商売としてもこれ、成立するかしないかぐらいのレベルということは、みなさんこれ絶対に行った方がいいっていうことですよ。で、これね、今日スタジオに、なんとそのカレーが!って言いたいところなんですが、間に合ってないです。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)えっ? 

(橋本吉史)赤坂から板橋、三鷹なんで、ちょっと離れていて。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)行ってくれているんですか?

(橋本吉史)ちょっといま、間に合ってないんで。このコーナー中には入らなかったんですが、あとでみなさん、ぜひご賞味ください。

(熊崎風斗)わかりました! うわー、うれしい!

(橋本吉史)ということで、これ以上申し上げることはありません。とにかく松屋のカレー、およびマイカリー食堂を押さえてください。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)マイカリー食堂、行きます!

(橋本吉史)熊崎さん、締めのフレーズ、お願いします!

(熊崎風斗)橋本調査員、ありがとうございました。松屋のカレーは永久に不滅! 『興味R』は来週を最後に消滅! 最後まで華麗なトークについてきてくれよな!

(スーパー・ササダンゴ・マシン)おつカレーさまでした!

(熊崎風斗)上手い!

(中略)

(熊崎風斗)そしてそんな中、カレーが来ました!

(スーパー・ササダンゴ・マシン)来ましたね!

(熊崎風斗)マイカリー食堂のカレー、先ほどカレーの松屋のコーナーをやっている時には届かなかったものが届いたんですけども……すごい!

(スーパー・ササダンゴ・マシン)バターチキンカレー、行きますよ。

(熊崎風斗)板橋店からお持ちいただきました。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)……美味い! なんだ、これ!

(熊崎風斗)この、具がたっぷり入っているのは?

(橋本吉史)それは野菜カレーです。

(熊崎風斗)野菜カレー、いただきます。うんま!


(スーパー・ササダンゴ・マシン)これはなんですか?

(橋本吉史)それはカシミールカレーです。

(スーパー・ササダンゴ・マシン)カシミール、いただきます。

(熊崎風斗)えっ、本格的!

(スーパー・ササダンゴ・マシン)ウマッ! カシミール、めちゃめちゃ美味いです!


(熊崎風斗)マジっすか? カシミール、いただきます。カシミールって辛いですよね?

(スーパー・ササダンゴ・マシン)でも、辛いのは普通の松屋のオリジナルカレーの方が辛い気がするというか。

(熊崎風斗)ああっ! これ、結構マイルドに仕上げてくださっているけども、しっかりカシミール。すごい!

<書き起こしおわり>