ご飯を食べるだけでスギ花粉症を根本から治せる。夢のような話だが、夢ではない。「スギ花粉症緩和米(花粉米)」だ。ただ、「商品化まで3年」と言われてから10年以上が過ぎたのに、いまだに実現していない。花粉症は「国民病」といわれるが、悩む人には待ち遠しい。商品化はいつなのだろうか。
花粉米は、遺伝子組み換え技術を使ってスギ花粉症の原因物質の一部を、本体部分である胚乳(はいにゅう)に蓄積させた米だ。この米を食べ続けることで、体が「花粉が入ってきた」と錯覚し、花粉への抵抗力がつくようになると考えられている。アレルギーの原因となるものを少しずつ食べることでアレルギー症状を改善させる治療を「減感作療法(げんかんさりょうほう)(経口免疫療法)」と呼ぶが、花粉米を食べることでこの治療を行うわけだ。
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)が2003年に開発した。コシヒカリやキタアケなどの品種の遺伝子を組み換えており、元の品種と栄養分の組成は変わらないので味はほぼ同じという。
マウスや猿を使った実験で安全性や効果の確認は終わり、12年度からは人を対象にした臨床試験が行われている。花粉米の栽培は農研機構の隔離ほ場、精米は拡散防止措置がとられた施設内で行われ、他の米と混ざることがないよう厳重に管理されている。
東京慈恵会医大(東京都港区)は、花粉米の安全性と免疫学的な有効性を確認するため、「8週間経口摂取」の臨床試験を14年10月~15年2月に実施。スギ花粉症患者21人を対象に、花粉米(5グラムと20グラム)を食べる群と普通の米を食べる群で花粉症の発症に関与する免疫応答に差があるかを調べた。
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