朝鮮日報

【コラム】独裁者の気まぐれが支配する国・中国

 そうした不合理と不透明性、利害関係でいつでも暴力的な覇権を振りかざす中国が独裁体制に向かおうとしている。いくつかの政治勢力が相互にけん制し、折り合いをつけてきた集団指導体制は瓦解した。習近平主席はライバルなしで党・政府・軍の三権を全て掌握した。思想はさらに統制されている。国家主席の任期制限まで撤廃し、長期政権への道を開いた。

 人口14億人の地球上最大・最強の独裁国家が登場したことは、世界各国にとって大きなリスクとなり得る。英フィナンシャル・タイムズのチーフコラムニスト、マーティン・ウルフ氏は「独裁は国家全体を一人がけん制を受けない気まぐれに左右される」と指摘した。誤った政策決定や誤判断にブレーキをかけ、ふるいにかける内部システムが弱まるからだ。独裁は一人の判断と気まぐれがシステムを圧倒する。

 毛沢東の誤判断と気まぐれは、大躍進運動と文化大革命という悲劇を生んだが、それは中国内部にとどまった。今の中国は竹のカーテンを閉めていた毛沢東時代とは異なる。世界2位の経済大国であり、軍事大国だ。一人の誤判断と気まぐれで全世界が「中国リスク」に巻き込まれかねない。

 独裁体制は目的と効率のため、人権、合理性、手続きの正当性を無視する。中国は過去30年間の台頭過程で国家資源の計画的配置、選択と集中で高い効率性を見せた。「習近平独裁体制」の中国では目的のための効率がさらに強調されるはずであり、合理性と正当性は弱まる心配がある。我々はそんな二面性に最も近距離で接しなければならない時代を迎えている。

チョ・ジュンシク国際部長
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