旧道路公団がアメリカで成功したワケ

ネクスコ・ウエスト USA 松本正人社長に聞く

2018年3月22日(木)

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 総額1兆7000億ドルのインフラ投資を公約に掲げるトランプ政権。実現すれば巨額投資になるだけに、日本企業も受注の機会をうかがっている。その中で、意外な企業が実績を上げている。道路公団の民営化で民間会社になった西日本高速道路(NEXCO西日本)だ。

 お役所イメージが拭えない元道路公団が生き馬の目を抜く米国市場で受注を重ねているのはなぜか。西日本高速道路の米国現地法人「ネクスコ・ウエスト USA」の松本正人社長に話を聞いた。

(聞き手は、ニューヨーク支局 篠原 匡)

NEXCO西日本は橋梁の点検業務などで受注を増やしています。

松本正人氏(以下、松本):米国でビジネスを始めようと思ったそもそものきっかけは道路公団の民営化です。公団の時は国内事業だけでしたが、せっかく民営化で普通の会社になったので海外事業もやってみようという話になりまして、2008年に会社として海外事業部を作ったんです。私自身は海外事業部で、海外の案件を発掘するという仕事を2008年からやっていました。

「米国の道路は日本よりも30年古い」

 当初は北米とアジア、アフリカの3エリアを攻めるという話で、私は北米とアフリカの2大陸を担当しました。ただ、そのうち北米の仕事が忙しくなったので、ほとんど北米専属のようになりました。

松本正人(まつもと・まさと)氏
ネクスコ・ウエスト USA 社長
1972年生まれ。97年に神戸大学大学院博士前期課程修了、日本道路公団に入社。東名高速道路などの保全業務を担当、2008年に西日本高速道路会社の海外事業部に。2011年にネクスコ・ウエスト USAの設立と同時に副社長に就任。2016年に社長に昇格した。2003年から2年間、コロラド大学に留学している

なぜ北米をターゲットにしたのでしょうか。

松本:日本の建設業界の海外進出というと主に東南アジアです。中東やアフリカに出ていく場合も、ODA(政府開発援助)をからめた技術協力的な案件が中心でした。先進国に行くという事例は少なかったと思います。

 ただ、NEXCO西日本が強みを持っているのは道路の管理。こういった業務は逆に先進国に機会が多くあります。

 例えば、米国は1930年から道路の整備が始まりました。日本の高速道路整備が1960年代から始まったということを考えると、米国は日本よりも単純に言って30年道路が古いということになります。また、米国は道路の総延長距離でも世界一です。

 実際、米国の道路は老朽化が進んでおり、橋梁が落橋するという事故がたびたび起きています。米国政府も道路の点検や維持管理に力を入れています。われわれの持つ道路点検の技術を米国に持ってくれば、大きなビジネスチャンスになるだろう、と考えたわけです。

クルマに設置した赤外線カメラで道路の状況を撮影する(写真:ネクスコ・ウエスト USA提供)
橋梁や道路を撮影、温度の違いでコンクリートのひび割れや浮きを見つけ出す(写真:ネクスコ・ウエスト USA提供)

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「旧道路公団がアメリカで成功したワケ」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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