日本は、「無能な経営者」から改革するべきだ

アトキンソン氏「働き方改革よりも急務」

日本経済が苦境に陥った原因は、「奇跡的に無能な日本の経営者」だといいます(画像:RichLegg / iStock)
日本でもようやく、「生産性」の大切さが認識され始めてきた。
「生産性向上」についてさまざまな議論が展開されているが、『新・観光立国論』(山本七平賞)で日本の観光政策に多大な影響を与えたデービッド・アトキンソン氏は、その多くが根本的に間違っているという。
34年間の集大成として「日本経済改革の本丸=生産性」に切り込んだ新刊『新・生産性立国論』を上梓したアトキンソン氏に、真の生産性革命に必要な改革を解説してもらう。

生産性向上に必要なのは「道具」ではなく「動機」

『新・生産性立国論』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

この連載も、今回で4回目になります。

第1回では、デフレ脱却のためにも、人口増加に合わせて増えた企業数を人口減少に合わせて減らすこと、第2回では先進国にふさわしい水準まで日本の最低賃金を引き上げること、そして第3回では諸悪の根源となっている高品質・低価格という考え方を一掃することを提言してきました。

つまり、過去3回では「何を変えるべきか」という点をテーマに、議論を進めてきました。今回は、これらやるべきことを「どう推し進めていくか」を考えていきたいと思います。

私は近著『新・生産性立国論』の中で、日本が明るい将来を迎えるには生産性を向上させることが不可欠であることを、強く訴えています。

安倍政権は「働き方改革」の実現を目指しています。では、「働き方改革」で生産性は上がるのでしょうか。

働き方改革は「ルールを変えて働く時間を短くすることにより、イノベーションを起こしやすくし、結果として生産性が上がる」という考え方が発想の根底にあるように思います。これはある意味、「日本的な形式論」に映ります。形を変えたら、本質も変わるという考え方でしょうか。

次ページ経営者が変わらなければ日本に未来は来ない
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAMEd7c0e522c4e1
    企業には徹底的な競争の原理を。個人にはセーフネットを。
    誰もが挑戦しそして敗者復活出来る社会が望ましい。
    北欧はそうであり実際に生産性が高く、近年は日本より経済の成長率が高い。

    up17
    down1
    2018/3/22 06:55
  • NO NAME6cdccfe91352
    労働者の異常なまでの忍耐強さが経営者を甘やかしたとも言えます。もし政治や経営者が動機を持ったとしても、我々自身が我慢と諦めに慣れきり、それが安定や安全だと信じ切っている限りは、どうにもならないような気がします。
    up17
    down2
    2018/3/22 06:55
  • NO NAMEb396e3f29c12
    >生え抜きの社員から社長になってるケースが多いんだから日本の労働者が無能だっていってるのに等しいような気がする

    労働者としての有能さと経営者としての有能さはまるで違うので、そういう事では無いでしょう。
    日本の場合、生え抜きが社内出世で社長になるため、労働者として有能だが経営者としては無能な人間が経営者になり易い環境なのでしょう。
    ピーターの法則の現象が一番起こり易いのは日本なのかもしれません。
    up14
    down2
    2018/3/22 07:08
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
非正規が消える<br>無期雇用化、同一賃金の衝撃

4月開始の「無期転換ルール」。対象者は450万人。契約、パートなどの有期雇用で5年を超えて更新する人から希望があれば、無期雇用に転換しなければならない。あなたの職場は大丈夫か。