「この世界の片隅に」原作解説(こうの史代)
片淵監督が「枕元に置いて一生読み続けたい」とまで言った原作です。非常に充実した内容を持っています。映画は白木リンがらみの話の大部分削っています。解釈もところどころ変えています。映画の解釈としては他の方にお任せします。この欄はあくまで原作の解釈です。
更新日: 2017年11月06日
片淵監督が「枕元に置いて一生読み続けたい」とまで言った原作です。非常に充実した内容を持っています。映画は白木リンがらみの話の大部分削っています。解釈もところどころ変えています。映画の解釈としては他の方にお任せします。この欄はあくまで原作の解釈です。
更新日: 2017年11月06日
ネタバレあります。というか物語の解説は基本ネタバレです。ときどき「ネタバレすんな」と怒られます。でも物語の解説は基本ネタバレなのです。ネタバレ抜きでは解説できないのです。どうすればよいのでしょうか。とにかくネタバレあります。
星空
つまりこの物語の最初と最後は、対になっています。
ばけものとすすカップル=すずカップルと孤児
背負われるすずカップル=背負うすずカップル
作った星空=実際の星空
眠るばけもの=眠る孤児
ばけものにキャラメルを与える周作=孤児におにぎりを与えるすず
北條家
どうしても北条時宗を連想しますね。
外に打って出る役目ではなく、内地で敵が来るのを待ち構えています。
そして、北条政権というのは後世の政権のように、
治水だの通貨発行だのする政権ではなく、
基本司法のみの政権でした。
父 円太郎
姉 径子
弟 周作
つまり、円と直径と円周です。
母 サン
孫娘 晴美
孫 久夫
養子 ヨーコ
Sunと「晴」美と久夫(ひーぼう)とヨーコ(陽子)、
つまりお日様なのです。
まあるいお日様、アマテラスですね。
苗字は武家政権を連想させるもの、
名前は天皇家を連想させるもの、
つまり浦野すずは「日本」に嫁に来たのです。
浦島太郎
闇市に砂糖を買いに行って、遊郭に迷い込んだとき
「ここは竜宮城かなんかかね?」
と言います。
当然乙姫様は白木リンです。
鈴の音がリンですから、
(すずは自分は代用品じゃないかとむくれていましたが)
すずとリンの二人はもともと近い存在です。
竹取物語
石作皇子は偽物の鉢を捨てます。すずは納屋で見つけた茶碗(本来周作がリンにあげようとしていたもの)を処分します。
車持は玉の枝を偽造しますが、ばれて恥ずかしく行方をくらまします。すずはユーカリの葉を摘んできますが、家族は行方不明になっています。
阿部御主人は火ねずみの皮衣を入手したつもりでしたが、燃えてしまって恥をかきます。すずは焼夷弾に布団をかぶせますが、火を止めれず水をかけて処理します。
大伴御行は龍の首の玉を取るために外洋に船出しますが、嵐に遭遇して体調をくずし、目が腫れます。すずは木炭のかわりにたどんを自作して、不完全燃焼で煙が出て、目を腫らします。
石上麻呂はツバメの持っている子安貝を得ようと、軒先を探りますが落下。つかんでいたのはツバメの糞でした。すずは小松菜の種を軒先に設置します。描写されていませんが、収穫の見込みはゼロです。
かぐや姫兼求婚者5人、ひとり竹取物語です。自給自足生活です。
すずは羽衣をまとい嫁に行きますが、「広島で生きていこう」と決意してから、その羽衣を売ります。自分は天に戻らないと決めたのです。
するとどうでしょうか、水鳥が、うさぎが、重巡青葉がかぐや姫のかわりに天に昇ってゆきます。
クライマックス
原作のクライマックスは、映画版とちがって終戦の日,
玉音放送の直後です。
玉音放送を聴き、号泣するすずの頭を、天から手が優しく撫でます。
右手ですからおそらく、彼女が失った右手です。
同時にそれは、
この戦争で払われた全ての努力、
戦争で失われたもの全ての命の象徴でもあります。
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