10年前の3月16日、大手証券ベア・スターンズがJPモルガン・チェースに$2で買収されました。それより一か月前は$93で取引されていた株なので、この「タダ同然」の買収価格は世界を「あっ!」と言わせました。

なぜベア・スターンズは紙屑同然の値段で救済されたのか?

その背景には、サブプライム危機がヒタヒタと進行していたことがあります。

当時のムードを記録に残す動画として、ベア・スターンズ救済劇が起こる半年前の2007年8月3日に収録されたこのCNBCの動画を見てください。



画面左側でわめいているのはジム・クレーマー、女性アナウンサーはエリン・バーネットです。

ジムは「銀行は危機的状況だ。FRBはディスカウント・ウインドウを開き、銀行への緊急融資を行うべきだ」と主張しています。

ところで笑えるのはジムが「いまの状況は1990年を想起させる。当時、おれは急落しているシティコープを試しに50万株を5ドルで買い注文出したら売買が成立してしまった。その時の恐怖と似ている」と言っている点です。実際、当時のシティは倒産寸前だと言われていました。僕も当時機関投資家に沢山シティグループの株を買ってもらっていたので生きた心地がしない日々を送っていました。

後日談としてこの日のテレビでのやり取りは連邦公開市場委員会(FOMC)でも話題に上り、ジム・クレーマーはFOMCメンバーから笑い者にされたことが議事録ドラフトに記されていたのですが、最終的に公表されたバージョンからはその箇所が削除されました。

当時NY連銀総裁だったティム・ガイトナーは「ジム・クレーマーのぶち切れは、その後のリーマンショックを預言するものだった」と回顧しています。



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