女偏・女部を含む漢字や日本語にひそむ女性差別
時には、「じょだん」や「ぼふ」を使ってみてはどうか
杉田聡 帯広畜産大学教授(哲学・思想史)
昨年(2017年)、「『ブラック企業』という言葉は『黒人』を差別する――『英語』の悪しき含意から身を解き放とう」の冒頭で、次のように書いた。「いまや『英語』は、国際語と言われるほどの地位に上った。だが『英語』は、国際語としては完全に失格である。激しい『人種差別』『性差別』を内包しているからである。/ 後者については、後日日本語の問題を含めて論じるつもりだが……」、と。

3月8日の国際女性デーに合わせて、マクドナルドはロゴの「M」を逆さまにして「W」にした。日本もたとえば「男女」を逆にして、時には「女男」などと使ってみるのもいいかもしれない=提供・マクドナルド
3月8日は「国際女性デー」であった。良い機会なので、日本語にひそむ女性差別についてここで論じたい。
言語は人によって作られるが、人は言語によって人となる。言語はものの見方・感じ方等に深い影響を与えずにはおかない。男女関係について見たとき、日本語には大きな問題がひそむ。
言語がつくる女性差別――ドイツの場合
ドイツでは、男女平等のために文法を変える必要まで主張されたことがある(田中克彦『差別語からはいる言語学入門』明石書店、2002年、26頁、現・ちくま学芸文庫)。ドイツ語には名詞に性があり、それが男女のステレオタイプを強める点が問題にされたのであろうか。
だがより深刻に問われたのは、ドイツ語では、一般に人を表す名詞は男性をさすのが普通であり、女性であることを明示する際は特殊な語尾(-in)を付ける点であろう。また、人一般を示す不定代名詞manが、「男性」Mannに由来するという事実は、1970年代から問われた。
女偏・女部の漢字が生む差別感
日本語にも固有の問題がある。何より問題なのは漢字である。
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