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財務省文書改ざん

不都合な真実 昭恵氏削除で疑惑の核心が丸わかり! チャンチャラおかしい!「安倍隠ぺい政権」の断末魔

閣議に臨む安倍晋三首相(左)と麻生太郎副総理兼財務相=首相官邸で2018年3月13日午前8時32分、和田大典撮影

 ▼「泥舟」からの逃避に躍起の自民議員たち

     森友学園疑惑に関する財務省の公文書改ざんが明白になって以降も、日々新たなウソの噴出が続く。二つだけ確かなのは「政権に不都合な真実」を「なかったこと」にしようとしたこと。そして、政府が何を言っても信用できない存在にまで成り下がったことだ。

    「財務省大臣官房長の行方が分からない。自殺したのではないか」

     こんな情報に、永田町・霞が関が揺れたのが3月14日午前。結局、根も葉もないうわさだったのだが、いまの財務省なら、真受けにされてもおかしくない雰囲気があるのだ。政府関係者が困惑した様子で語る。

    「矢野康治官房長が午前中、何かの都合で連絡がつかなかったことから『自殺説』が流れました。登庁後、本人は『俺は死んでるんだけど、生きてるぞ』と、冗談交じりに関係先に電話していた。官邸など『政治』と役所の結節点を担う官房長だけに、こうしたうわさが出たのでしょう。もちろん、背景には文書改ざん問題があります」

     現に、近畿財務局(近財)で50歳代の上席国有財産管理官が自殺しており、「『本省の指示で文書を書き換えさせられた』との趣旨のメモを残していた」(13日付『読売新聞』)と報じられている。

     前出・政府関係者は「いずれも森友疑惑との関連は不明」と断った上で、こう続ける。

    「改ざん発覚以前の1月29日にも、財務省理財局の若手係長が自殺しています。動機は明らかになっていませんが、オーバーワークだったという情報もある。いずれにせよ、理財局、近財という問題の部署でこれだけ短期間に自殺者が相次いでいるのは異常です」

     異常といえば、3月12日に財務省が公表した決裁文書の改ざんである。同省によると、森友学園に対する大阪府豊中市の国有地の貸し付け・売却について、14の決裁文書で約300カ所の記述の削除があった。

     今回の行為が虚偽公文書作成などの罪に問われるかは、法律家の間でも意見が分かれる。だが、それ以前に情報公開請求や、とりわけ国会の求めに対して「虚偽の文書」を提出した一点において、関わった者や監督する立場にある政治家は問答無用で責任を負わねばならない。

     公文書を恣意(しい)的に改ざんすることの重大性について、瀬畑源(せばたはじめ)・長野県短大准教授(日本近現代史)はこう解説する。

    「これまでも破棄や黒塗りによる隠ぺいはありましたが、改ざんは前代未聞。建前上、文書主義を貫いてきた官僚組織の基盤が揺らいでいます。背景には、公文書は官僚が好きなように扱えるという意識があるからではないか」

     財務省が明らかにしたところでは、「なかったこと」にされたのは次のような記述だ。

    〈打合わせの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり〉

     2014年4月の打ち合わせの際、籠池泰典被告(詐欺罪で起訴)が、近財担当者に伝えた内容である。ちなみに、籠池氏と昭恵氏が一緒に写った写真の存在も記録されている。逮捕前、籠池氏は「写真を見せると、近財の担当者が『これは局長に見せないと』といってコピーを取っていた」と証言していた。

    〈安部(ママ)首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。〉

     15年1月に『産経新聞』がニュースサイトに掲載した記事についての記述で、これも削除されていた。

    「昭恵氏の関与」隠ぺいが動機か

     昭恵氏と籠池被告の関係は、広く知られるところである。学園が経営する幼稚園で、昭恵氏が3回も講演をしたこと。15年11月には首相夫人付職員、谷査恵子氏が、籠池被告からの要望を受け、理財局の国有財産審理室長に問い合わせのファクスを送っていたこと。そして、籠池被告は「昭恵氏から小学校建設資金として100万円の寄付を受け取った」とも語っていた。

     他の複数の政治家や安倍晋三首相自身の名も消されていたのだが、小学校の名誉校長就任まで受諾していただけに、「昭恵氏の関与」を隠したかったのではないか、という疑念が確信に変わるのは無理からぬことだ。また、『朝日新聞』が報じたように「本件の特殊性」と、森友学園との契約の特異性を示す記述が登場するのである。

     一方、「改ざん前」文書を見た官僚経験者は一様に「なぜ、こんな詳細に経緯を残したのか」と驚きを隠さない。

     元財務官僚の山口真由氏が指摘する。

    「『決裁文書は簡潔に』が基本。政治家からのアクセスなどは、個人のメモにとどめるべきとされています。それが、これだけ詳細に記しているのは、なぜ『特例的』な契約をする必要があったかを残したかったのでしょう。もし、問題化すれば、(売却を決定した)近財の責任にされてしまう恐れがある。そのための自己防衛でしょうね」

     改ざんを認める前の3月8日、財務省は国会の求めに応じ、「近財に残っている決裁文書のコピーの全て」として大量の写しを提出した。「改ざん後」文書を改めて提出したわけだが、実は官邸上層部にはもっと早く「書き換えがあった」という事実が報告されていた。

     菅義偉官房長官が15日に明らかにしたところによると、「改ざんの可能性がある」と国土交通省が5日に杉田和博官房副長官へ報告。安倍首相と菅氏は6日に杉田氏から報告を受けたという。つまり、財務省が8日に国会に再度“偽物”を提出することを黙認していたことになる。

     そればかりか、安倍首相と麻生太郎財務相には、国会での虚偽答弁の疑いまで生じている。14日の参院予算委員会で、改ざんの事実を知ったのは「11日だ」と口をそろえているのである。まさに「ウソにウソを重ねる」とはこのことだろう。

     森友疑惑については、会計検査院が昨年、検査にあたった。だが、検査の過程で、財務省と国交省から提出を受けた同タイトルの文書の記述に差異があるのに、見逃していたのだ。

     検査院関係者が明かす。

    「昨年5月ごろ、文書の差異に気付いて財務省に問い合わせると『財務省提出の文書が最終版』という回答を得ました。ところが、国交省には確認していなかったのです。行政事務をチェックする独立機関として、手ぬるいと言われても仕方がない失態です」

    進退をかけた首相答弁が出発点

     そもそも、「官庁の中の官庁」である財務官僚がなぜ、前代未聞の改ざんに手を染めたのか。麻生氏はじめ財務省は「国会答弁に誤解を与えないように、と考えられる」として、当時の理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)・前国税庁長官(9日に辞任)の主導をにおわせる説明を繰り返している。だが、額面通り受け取っているお人善しは少ないだろう。改ざんの起点は、次の首相答弁ではないかという見方がもっぱらだ。

    「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、一切関わっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もし関わっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということであります」(昨年2月17日、衆院予算委員会)

     民進党の杉尾秀哉参院議員は次のようにみている。

    「当時は、森友疑惑発覚直後。総理は『強い調子で否定すれば事態は沈静化する』との思惑で進退をかけた答弁をした、という情報もある。ところが、決裁文書には昭恵氏の関わりが残っていたため、改ざんにつながったのでしょう。官僚が勝手にこんなことをするとは思えません」

     自殺者が出るに至っても、昭恵氏の“お騒がせ”言動は相変わらずだ。「野党のバカげた質問ばかりで旦那さんは毎日大変ですね」というフェイスブックの書き込みに、昭恵氏のアカウントが「いいね」を押したと報道され、野党のさらなる反発を招いた。

     そんな中、自民党内に広がった波紋が増幅の兆しを見せている。

    「このまま臭いものにはふたをして政府の責任だからと傍観しているだけでいいのか。なぜ書き換えたのか、私も知りたい。そういうことを自民党から出していくことが大切だと思う」

     13日の自民党副幹事長会議で、改ざん問題への危機感をあらわにしたのは小泉進次郎筆頭副幹事長だった。

     同日夜には、父の小泉純一郎元首相がBSフジの番組に出演。安倍首相の進退をかけた答弁について「財務省の官僚はこりゃ大変なことだと。(総理が)関係していることを知っているからね。総理の答弁に合わせなきゃいかん、ということでこの改ざんが始まった」とぶち上げた。

     他にも、秋の総裁選をにらんで、党内から政治責任を問う声が出ている。

    「麻生氏も辞任を申し出ましたが、そうなると内閣は瓦解(がかい)する。結局、とどまることになりましたが、佐川氏に全てを押し付けるという筋書き通りにことが運ぶとも思えない。会見での麻生氏の『上から目線』も不評で、地方議員にも動揺は広がっている」(自民党関係者)

     与党は佐川氏の証人喚問には応じる構えに転じたが、昭恵氏の喚問は拒否している。とはいえ、少しずつ押し込まれているのは明らか。防戦一方の「泥舟」からの脱出を模索する動きが活発化している。

    (本誌・花牟礼紀仁/河野嘉誠)

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