HIKAKINがラーメン屋を開くなら?「ユーチューバーとは真逆の頑固店」 〜ユーチューバー・HIKAKINさんインタビュー【後編】

  • お金を語るのはカッコいい・ 僕の夢とお金 / HIKAKIN

動画共有サイトYouTubeに投稿し、広告収入を得る「ユーチューバー」。小中学生のなりたい職業ランキング上位に登場し、いまやタレント並みの人気を誇る存在です。今回は、日本のユーチューバーの第一人者であり、チャンネル総登録者数1100万人を誇るトップユーチューバーのHIKAKINさんに、「プロの仕事とお金」について伺いました。
全員抜いてやる!「トップ・オブ・トップ」になることを決意した瞬間 〜ユーチューバー・HIKAKINさんインタビュー【中編】を読む

年収1000万円が喜びのピークだった

――ユーチューバーというと、広告で稼いでいるイメージを持たれがちですよね。HIKAKINさんが出演したテレビ番組で、年収をこっそり聞いた松本人志さんが仰天したというのが、ネットで話題になっていました。みんな、お金の話が大好き。ということで、年収を伺ってもいいですか(笑)?

それはさすがに言えません(笑)。
お金に関して思い出に残っているのはやっぱり、4年間勤めた会社を辞めて、YouTubeで収入を得たときです。生まれて初めて好きなことだけでお金を稼げて、サラリーマン時代にもらった初任給の2000万倍、いやそれ以上にうれしかった。

★サラリーマン時代のお金の話は、こちら

ユーチューバーになったばかりのころは、「月に100万くらい稼げたら超やべえよな」と、ぼんやりした目標を掲げていて。別に計画を立てたわけじゃなく、日々改善しながら動画を上げ続けていました。そうして気がついたら、「あ、いけた……」と。

それからもキリのいい数字を突破するたびに、「よし! がんばったぞ」と励みにしてきました。中でもピークは、年収1000万円を超えたときでしたね。よく言われる、「年収1000万円を越えてからの幸福感は変わらない」というのは、確かにそうだなと思います。そのあとは、デジタルの数字が増えていくのを、現実感なく見ている感じで……。

お金って、何かと交換して初めて価値が生まれるじゃないですか。僕は仕事以外の趣味があまりなくて、欲しいものもそんなにない。芸人の大御所の方から「何のためにやってるの?」「もっと遊び歩いたりすれば?」と言われて、本気で考えたりします。もうちょっと自分のためになる使い方を知って、仕事のモチベーションにつなげたほうがいいのかなあ。

――有名店で食事するとか。

予約制のレストランとか、仕事で行くんですけど気疲れしちゃうんですよね。僕はラーメンがご馳走と思って育ってきたので、今でも感動するのはラーメン屋。だから食事で楽しみといえば、ラーメンですね。あとは、最近は朝ごはんに、あまおう(編集註:イチゴの品種)を買って食べたりしてます。

――確かに、お金が減らなそうな生活ですね(笑)。HIKAKINさんは熊本の震災などで、寄付を積極的にされています。「社会のためになるお金」には、関心があるのではないですか。

結局、そっちかもしれないですね。自分もいい思いを多少はしたいけど、社会貢献をきちんとできたら、死ぬ時にいい人生だったと思える気がします。僕がそういう使い方をしていたほうが、ユーチューバーを目指す子供たちにとっても、夢があるかもしれません。

人前で話すのが苦手でも、大丈夫

――現代において、ユーチューバーが子供に与える影響は大きいですよね。ユーチューバーを目指す子も増えている中で、「こういう職業だよ」というのを、少しお話いただけますか。

ユーチューバーって、いろんな力が求められます。ネタを考える企画力、動画を作り込む編集力、流行っていることを見抜く力、トーク力、声や容姿の魅力。容姿については、すごいイケメンや美女というよりは、親しみやすさがある人が人気ですね。ピカピカの世界はテレビで見られますから。視聴者はYouTubeに、テレビとは違うものを求めているんだと思います。

いろんな力が必要とはいえ、突出したものがあれば、他をカバーできます。例えば、「しゃべりがすごく面白いから、編集は他に任せる」とか、「企画と編集がうまいから、多少しゃべりが下手でも大丈夫」とか。

僕の場合はいまも、ネタの企画から撮影、編集、投稿まですべて1人でやっています。昨日も朝撮った動画を5時間くらいかけて編集して、夜にアップしました。動画以外の仕事もある中、毎日のように1人で作業して、投稿するのは正直かなりきついのですが、これは性格というか。どうしても細かい部分が気になって、100%自分が思う通りにしたくなっちゃうんですよね。

さすがにこのままでは仕事が回らなくなるので、最近は編集作業をできる人を育てているところです。本当はずっと、自分で全部やり続けたいんですけど(笑)。

――なんてストイックな生活。トップユーチューバーでいつづけられるのは、こういう努力があるからなんですね。HIKAKINさんはテレビにも出ていますが、自分の場所はあくまでYouTubeだと言っています。

テレビとかステージって、やっぱり緊張するんですよ。大勢の人が関わって作っているから、迷惑をかけずに一発でベストを出さないといけない。それはそれで、プロとして素晴らしいと思いますが、僕は緊張がストレスになってしまう性格なので……。

それよりは家でリラックスした状態で、満足いくまで撮影して、自分で編集する。どれだけ時間をかけてもいいし、内容を決めるのも自分。そういうやり方が向いているみたいです。

そもそも僕は、人前で話すのが苦手なんです。ビデオに向かってしゃべるのは、毎日やってもう7年目なので、慣れました。自然と、ここでオチをつけようとかわかるんですけど、100人の前でスピーチとか、まず無理ですね。そんな僕でも緊張せず、100%思い通りの動画を作り込んでみんなに見てもらえる。それが、YouTubeの魅力だと思います。

僕がテレビに出るのは、ユーチューバーの可能性をもっと追求したいから。そのために、露出も必要だと思って、出させていただいてます。子供のなりたい職業上位といっても、まだまだ親の世代からしたら、ユーチューバーって怪しい職業だと思うんです。そのイメージを変えて、サッカー選手やタレントを目指すのと同じように、子供がユーチューバーになりたいと言った時、親に応援してもらえる職業になってほしい。今のユーチューバーの限界を、超えていきたいですね。

頑固じゃないほうが、うまくいく

――ユーチューバーってたくさんいますが、人気が出てから長く残っていく人と、すぐ消えちゃう人の違いってなんでしょう。

残るのは、研究熱心な人ですね。いまはどういう時代で何が流行っているか、ファンが見たいのは何か。そういうことを常に研究して、視聴者のニーズと動画が、ちゃんと噛み合っている人。別に、毎日動画をアップする必要はないんです。週に1本でも、ニーズを外さずにコツコツ投稿して、うまくいっている人もいます。

ニーズを研究した上で、時代に合わせて自分をアップデートできる人が、何より強い。

――変なこだわりとか、プライドを持たないのが大事?

その通りですね。味を変えない頑固なラーメン屋タイプだと、厳しいと思います。まあ、ラーメン屋だったら僕は断然、頑固なのが好きですけど(笑)。

――HIKAKINさんがラーメン屋を開くとしたら、どんなお店にしますか。

それ聞きます? 動画と関係ない話、語っちゃいますよ(笑)。まず、派手な外装はダメです。看板がちっちゃくて地味〜なのれんがかかってるだけで、「これ、本当にラーメン屋?」って思うような店構え。メニューは絞り込んで、たくさん置かない。ラーメン屋に行ってメニューに味噌、醤油、塩とか並んでたら、がっかりしますよね。どれかに絞って味を極めて、それだけを出します。

味を決めるまでに、めっちゃ時間かかるだろうなあ。スープを魚介系にするのか、豚骨にするのか。勝負できるラーメンができたら店を開いて、あとはずっと変えない。そんな店に憧れます。

でも、僕はユーチューバーになったので(笑)。理想のラーメン屋とまるっきり逆のことをしています。ユーチューバーは、一度上がった数字を落とすことができない仕事。チャンネルの登録者数、再生回数、高評価の数。それらが日々、可視化されるハードな世界です。数字が落ちて困ったなんていうのは、許されない。一度人気が落ちたら、上げるのは至難の技ですから。

――数字は特に何を見ていますか。

再生回数です。アップして1時間後、24時間後にどれくらい伸びるか。365日、テストを繰り返しているようなものです。一切、気を抜けません。僕ができる限り人に任せず、自分の手で100%納得できる動画を作りたいのは、視聴者にがっかりされたくないから。

研究を怠ったり、トレンドを無視してこだわりを貫いたりして落ちぶれて、それでも「これが自分。悪い?」と言えるならいい。でも僕は、絶対に後悔する。「あのとき、もっとチャレンジすればよかった」と思うのは嫌なので、その前に全力を出し切っておく。「やばい」という兆候が出る前に、次の可能性を考えて、常に自分を変え続けていかないと。

それくらい努力しても、月に1回くらいは、予想を外して再生回数が全然伸びないことがあります。そうなった時には原因を考えて、同じミスは二度としない。動画がヒットするかどうかの予想は、いまは95%くらいの精度で当たります。

ただ、どこまで数字を追求するかというのは、難しい面もあります。例えば、僕が歌のお兄さんみたいになれば、未就学児にまでファンが広がって、数字は一気に上がるでしょう。でもそうしたら僕は、本来の性格と全然違うものになりきらないといけない。そこまでやるべきかどうかは、悩ましいところです。

このあたりのバランスは難しいですが、自分の気持ちを消して人気を取るというのは、やっぱり長続きしない気がします。だから現時点では、商品紹介でも、自分でもどこか面白いと思えるものを選んでいます。好き・嫌いという気持ちを、できるだけ切り捨てずにやっていきたいですね。

――トップユーチューバーとしての地位を確立しましたが、今後の目標はありますか。

目標? うーん。継続……しかないですね。

日々、ベストを尽くしていると、誰かが見ていて、あるときすごいチャンスを与えてくれる。それをつかんで、ここまで来ました。これからも同じで、自分ができることを全力でやり続けることが、次の展開につながると思っています。

だから目標は、勢いを下げないで継続する。それだけです。

バフェット編② バフェットならどの日本株を選ぶか

今回は「バフェットが日本株に投資するならどんな株か」を考えてみます。
バフェット銘柄の特徴は、
・特権的な強みを持ち
・何十年も安定して成長し続けそうな会社
ということでした。この2点を満たすと思われる日本株を選びました。他社がマネできないライセンスを持っている企業や、業界独特の参入障壁がある企業など種類は様々です。あくまでもこれらは一例にすぎませんが、代表的な企業をご紹介します。
「バフェット編①『特権的な強み』を持つ会社を暴落時に買う」を読む

ヤクルト本社(証券コード:2267)

ヤクルト本社  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」といえば乳酸菌飲料「ヤクルト」ですが、そのヤクルトは整腸作用や大腸がん予防効果の点で高機能だと言われているシロタ株が配合されています。シロタ株は京都帝国大学の代田稔博士が発見して、その後培養強化されてヤクルトとして商品化されて今日に至っています。永遠に途絶えない血統の良い種馬を保有しているような強みがあります。

ヤクルトは2017年現在38の国と地域で販売され、1日の売上が3500万本、うち海外で2700万本と国際的な商品になっており、今も着実に愛飲者を増やしています。
同社は乳酸菌に関する研究にも熱心でその研究成果から医薬品や化粧品などの高収益事業も生み出しています。

JR東日本(証券コード:9020)

JR東日本  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」が担う山手線や中央線など首都圏の大動脈は10年後、20年後になくなるとは考えられません。同社はこの強みを活かして、駅の商業施設や電子マネー「Suica」のビジネスを展開して業績を着実に伸ばし続けています。

2020年には品川駅と田町駅の間に新駅を新設し、その駅周辺の街全体を開発するというビッグプロジェクトも進めています。Suicaは様々な店舗でも使えるようになり、同社としては鉄道に加えて決済インフラという強みを手に入れたといえるでしょう。この強みを活かしていければ今後さらに成長の余地が広がるように思われます。

パーク24(証券コード:4666)

パーク24  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」はコインパーキングのトップ企業として圧倒的な駐車場数とITを駆使した運営能力を誇ります。

また、駐車場の多さを活かしてカーシェアリング事業は2018年2月末時点で拠点数1万、稼働自動車台数2万を超えており、2位の事業者を8倍近く引き離して圧倒的な首位となっています。このカーシェアリングはレンタカーと似ていますが、スマートフォンのみで手続きできる点、15分単位でガソリン代と保険料込みで206円という料金体系、多数ある拠点を利用できる点が受けて急成長中です。

同社はコインパーキングとカーシェアリングの稼働データから得られるビッグデータを解析して運営ノウハウを高めていますが、データと仕組みを手にすることで、今後日本の自動車関連ビジネスの中心的な企業になる可能性も秘めています。

アニコムホールディングス(証券コード:8715)

アニコムホールディングス  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」はペット保険業界で約6割のシェアを握ります。全国の半数以上の動物病院と提携して保険料を自動精算するシステムを作り上げているという点と、全国のペットショップの6割程度と代理店契約を結んでいるという点が同社の強みです。

同社と代理店契約しているペットショップはペット販売時にペット保険への加入を勧めます。ペットショップは業務の煩雑化を避けるためも既存の保険会社以外の代理店になることはほとんどなく、それが大きな参入障壁になっていて、大手保険会社の攻勢なども退けています。
ペット保険業界はまだ国内では黎明期ですが、ペット保険先進国のイギリス並みの普及率になると、現状の5倍程度の市場規模になるのではないかと同社は見ています。

また、同社では全国の提携動物病院から送られてくるペットの病気・けがに関するデータを解析し、ペットの病気予防や高度医療など新しいビジネスへの展開も模索しています。

モーニングスター(証券コード:4765)

モーニングスター  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」は投資信託全体のデータと分析ノウハウを握り、投信情報会社として圧倒的な地位を確立している点が強みです。投資信託に関する情報を必要とする販売会社(金融機関)や顧客はモーニングスターから情報を直接的・間接的に得ることになります。また、投資信託を設定・運用している会社もモーニングスターから高い評価を得ることを目指しています。

投資信託業界は「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」など政策的な後押しもあり成長産業といえますし、同社もそうした追い風を受けながら長期的に着実に成長していく可能性がありそうです。

楽天(証券コード:4755)

楽天  ()  () 前日終値  () 始値  () 高値  () 安値  () ※株価、指数は最低20分遅れとなります。 」の強みは国内トップクラスの顧客数と取引高を誇る楽天市場と楽天カードです。
楽天市場はアマゾン・ドット・コムの攻勢を受けてトップシェアの座を奪われたと報じられています。しかし、ネットショッピング事業は年率10%程度の成長が続いている成長産業ですし、全国の独自商品を持つ会社に出店してもらうという同社のビジネスモデルは独特のものであり、今後はアマゾン・ドット・コムとすみ分けを進めながら成長を続ける可能性があるのではないでしょうか。

楽天カードは会員数が約1500万人にまで拡大し、取り扱い金額は国内トップになりました。クレジットカードの顧客は忠誠心が高く、今後同社の事業の足場を支える強力な武器になるのではないかと思われます。
ただし新規参入を表明した「自前回線を持つ携帯電話事業」はリスクといえます。バフェット銘柄というには事業の分かりやすさや業績の安定性にも今のところは欠ける面も否めませんが、将来的にバフェット好みに近づいていく可能性があるではないかと思われます。

これらの銘柄は「今」買いなのか?

以上6銘柄について考えました。いずれも魅力的な銘柄に思えますが、問題は「今」が買い時なのかどうか、という点です。
2018年2月末時点の予想PERはヤクルト本社39倍、JR東日本14倍、パーク24は27倍、アニコムホールディングス55倍、モーニングスターが28倍、楽天が17倍となっています(会社予想ベース。会社予想がないものについては東洋経済予想)。

株式市場の上昇が何年も続く中で、有望と思われる株のPERはかなり高くなってきました。バフェット自身も現状としては現金の比率をかなり高め、目立った投資活動をしなくなっているようです。

バフェットの投資の真骨頂は市場が暴落などに見舞われて投資家心理が冷え切っているような時にバーゲンセールのような値段で株を買うことです。やはり、バフェットの選択基準に合う株がPER15倍前後、少なくとも20倍以下に下がる場面を狙いたいところです。

今回のテーマで取り上げた上場企業

ヤクルト本社
JR東日本
パーク24
アニコムホールディングス
モーニングスター
楽天

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*本資料掲載時点で、モーニングスターは日本証券金融の注意喚起銘柄に指定されています。
次回は3/26(月)配信予定です。