マネー研究所

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増える30代の地方移住 IT普及で就労しやすく 地方移住は新時代へ(1)

2018/3/20

写真はイメージ=PIXTA

 地方移住への関心が高まっている。かつては定年を迎えたリタイア世代のニーズが高かったが、今や主流は現役世代。よりよい子育て環境を求めて職と住を移しているようだ。そこでマネー研究所ではこれから数回にわたり、地方に関する「移住シミュレーション」の実証実験サイトを始めたQUICKと協力して、地方移住の可能性と実際をレポートする記事をお届けする。第1回は総論として地方移住のトレンドと、東京都内から地方移住した場合の年収別シミュレーションを解説する。

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 都心を離れ、地方へと移住したい――。都心回帰の流れの一方で、地方移住の希望者が年々増えている。NPO法人ふるさと回帰支援センターによれば、同センターへの来訪・問い合わせ数は年々右肩上がりで増加。2016年には合計2万6426件に達した(図1)。

図1 ふるさと回帰支援センター(東京)への来訪者・問い合わせ数の推移

 特に顕著なのが、30代を中心とする現役世代の増加だ。かつて地方移住といえば、「リタイア後は地方でのんびり暮らしたい」といったシニア世代のニーズが強かった。だが2016年時点の主流派は現役世代。40代以下の移住希望者が7割を占め、最も多いのは30代で28.0%に達する(図2)。

図2 ふるさと回帰支援センター(東京)利用者の年代推移

■ITの普及が地方移住を後押し

 背景には、ITの普及による就労環境の改善がある。地方移住を考えるに当たり、現役世代にとって最大の難関は雇用だ。移住はしたいが目ぼしい就労先がなく、生活のめどがたたない――。これが地方移住へ二の足を踏ませる要因になっていた。

 だが、ここ数年で時代は大きく変わった。インターネット環境があればどこでも仕事ができるようになり、業種によっては必ずしも都心部にオフィスを構える必要はなくなった。地方にサテライトオフィスを設ける動きも活発化しており、都心部から移住しやすい環境が整備されつつある。

 
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