1月25日、アジア連帯講座は、豊島区民センターで「沖縄の『自治・自決・独立』論にどう向き合うべきなのか」というテーマで国富建治さん(新時代社)を講師に招いて講座を行った。
一月一九日、名護市長選で「辺野古基地件反対」を掲げている稲嶺進現市長が当選した。この勝利は、安倍政権の米国の軍事戦略と一体化した「戦争する国家体制」づくりに大きな打撃を与えた。だが、基地建設を中止するどころか防衛省は、選挙直後である二一日に移設先の埋め立て工事の設計業務、サンゴなどの生物調査の入札を行った。3月下旬に業者を選定し、2015五年春をメドに埋め立て工事強行をねらっている。沖縄民衆の反基地闘争に連帯する「本土」(ヤマト)の闘いを築いていくことが急務だ。
アジ連は、沖縄の闘いに学ぶ観点から①保守層をも含めた「島ぐるみ」の闘いの歴史②沖縄に対する米国と日本による共同の軍事植民地支配、沖縄への日本(ヤマト)による「構造的差別」の問題③沖縄の知識人や活動家の「沖縄の自治・自決」「独立」論議―について焦点をあてながら、どう向き合い、ともに闘っていこうとするのかを深めていく一歩として講座を設定した。
新たな自治・自決・独立論
国富さんは、「戦後の沖縄と『独立論・復帰論』」の経緯について次にのようにまとめた。
「1945年~51年にかけて沖縄戦後の米軍政下での主要な政治勢力は沖縄戦経験を通した日本からの独立論だった。1951年~65年は、沖縄の切り捨てと日本の『主権回復』、『銃剣とブルドーザー』、土地取り上げと島ぐるみ抵抗闘争が行われた。さらに『本土復帰』の闘いが反米闘争へと転化し1960年4月28日に沖縄県祖国復帰協議会(復帰協)を結成する」。
「1965年~72年は、ベトナム反戦運動と全軍労の闘いが高揚した。また、佐藤訪沖反対を通した『反戦復帰』、『反復帰』論が形成されていった。国政参加選挙(1970年)と国政参加粉砕共闘会議の闘いも取り組んだ。1972年~80年代は、本土『一体化』と開発が押し進められていったが、反戦地主、反基地、天皇訪沖反対の闘いが取り組まれた」。
「 沖縄米兵少女暴行事件(1995年9月)を契機とした島ぐるみの反米軍基地闘争が闘われる。大田知事の代理署名拒否、米軍用地特措法、辺野古基地計画と名護住民投票へと続いた。このような闘いの蓄積のうえで辺野古新基地をめぐる攻防の中で『県外移設』論、『新たな自治・自決・独立論』の論議へと繋がっていった」と集約した。
不断に生み出される根拠
「『本土復帰』後の自治・自決・独立論」について国富さんは、①川満信一「琉球共和社会憲法私案」②自治労沖縄県本の「沖縄特別自治区構想」③大田県政の軍事基地撤去と経済的自立・自治のための「アクション・プログラム」④新崎盛暉氏の「居酒屋独立論」批判」を紹介した。
そのうえで「『自治・自決・独立』論は、新たな段階に入っている」という総括から「2010年国連人権委員会が日本政府に『アイヌ民族および琉球民族を国内立法下において先住民と公的に認め、文化遺産や伝統的生活様式の保護促進を講ずること』と勧告している」ことや、琉球独立総合研究学会が「『琉球人は独自なネイションであり、国際法で保障された『人民の自己決定権』を行使できる法的主体である。琉球の政治的地位や将来を決めることができるのは琉球人のみである」と宣言していることを強調した。
つまり、「現実としての『オール沖縄』の闘い(ヤマトに抗して――教科書問題、米軍基地・オスプレイなどなど)。それはもはや知識人の観念・思想の上でのたたかいではない。それは運動の中で繰り返し提起される『自治・独立』の意識が直線的ではないにしても不断に生み出されることを通じて造形されていく(保守層をふくめて)ことが確認できる。このような到達段階を見据えつつ、新たな構想を具体化していく論議、討議を積み重ねていくこと、かつ国際的に問題を提起していく方向性を発展させていきたい」とまとめた。
第4インター派の総括視点
最後に「沖縄の自治・自決――われわれ(第4インター派)はどのように考えてきたか」について、「極東解放革命と「本土復帰」―沖縄反帝労農自治政府の戦略」を取り上げた。
「かつてわれわれは、『[沖縄民族意識]を沖縄の人々が獲得できるか』ということを闘いの重要なメルクマールにしていた。しかし『労農自治政府論』を具体的状況の進展にあわせて発展させていくことはできなかった。だから私は、1987年に「『自治・自決』論の清算、沖縄への自衛隊派兵をめぐる闘争方針の分裂」論文でこの清算の後ろ向きの性格について分析し、一種の「同化主義」ではなかったのか?と問題提起した」と述べ、「沖縄の『自治・自決・独立』論」の論議とともに主体的な掘り下げを継続していこうと呼びかけた。
(Y)
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