3月13日、オーストラリアの本土では絶滅した小型有袋類の1種、フクロネコ(Dasyurus viverrinus)がはじめて野生に戻された。この再導入プログラムのおかげで、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州の南海岸にあるブーデリー国立公園周辺では、現在20匹ほどのフクロネコが走り回っている。
フクロネコたちは最初の繁殖期を迎えようとしており、今回の再導入によって、本土での個体数が自然に回復することを保護活動家は期待している。目下、フクロネコがどんな生息地を好むのか、そして、これまで行われてきた天敵のキツネ対策の効果が十分に出ているのかを調査中だ。(参考記事:「絶滅危惧種の「野生復帰」とはどんな取り組みなのか」)
「こうした情報が、本土の他の場所にもフクロネコを再導入する際の計画に役立つかもしれません」と野生復帰推進団体「リワイルディング・オーストラリア」の理事ロブ・ブリュースター氏は昨年、世界自然保護基金(WWF)オーストラリアのプレスリリースでコメントしていた。
リワイルディング・オーストラリアは、オーストラリア政府から資金提供を受け、WWFオーストラリア、タロンガ保護協会、自然保護団体「ショールヘブン・ランドケア」、そしてタスマニア・フクロネコ保護プログラムの協力の下、オーストラリア国立大学、ブーデリー国立公園とともにこのプロジェクトに参加している。
フクロネコとは
フクロネコは、何百万年もの間、オーストラリア南東部に生息していたが、本土では50年以上前に姿を消した。謎の伝染病が広がったのと、肉食のキツネが持ち込まれたのが原因だった。人間が有害物質をまき散らし、生息地を破壊したことも絶滅に拍車をかけた。しかし、キツネがいないタスマニアでは、今でも生息している。(参考記事:「24匹が8億匹に! ウサギで豪大陸を侵略した英国人」)
フクロネコは、小型のイエネコほどの大きさの有袋類だ。オスの体長はおよそ60センチ、体重はおよそ1.4キロで、メスはこれより少し小さい。毛皮は、厚く、柔らかい。色は明るい茶色から黒で、小さな白い斑点がある。鼻はとがっており、尻尾はふさふさで先端が白い。(参考記事:「太古の絶滅フクロライオン化石を発見、新種」)
日中は、倒木の下や岩の下の穴などに作った巣の中で過ごす。寿命は2〜3年しかないが、メスは1年に最大6匹もの赤ちゃんを産める。
フクロネコは生態系の調整役でもある。夜行性で、昆虫、小型哺乳類、鳥類、爬虫類を食べる。
「本土では、ほとんどの肉食動物が絶滅しました」とWWFオーストラリアのダレン・グローバー氏はAFP通信のインタビューで語った。「ですから、これは千載一遇のチャンスなのです」
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