女だから言えること | 引きこもり、精神病からの生還

太ったおじさんみたいなおばあさんの皮肉とメロドラマに満ちた遺言。

「彼氏が風俗に行った」性行為の独占権と性潔癖

 私は、この記事に対して、このようなコメントをつけました。

 

「独占欲と性潔癖って密接に関係していて「処女厨」の人と同じ感覚ってのは、性潔癖の部分を言ってるんだと思う。私は彼が風俗に行ったのを本人から聞いて「えー、風俗ってどんなことするのー。」と聞いたくらい平気」

 

肉体関係に嫌悪感がない私

 私は女ですが、恋人やパートナーが別の女性(または男性)と性的関係を持っていることに、特に嫌悪感がないんですよね。どうしてだろ?と考えてみたら、私はパートナーに対して心理的なつながりを求めていて、肉体が誰とつながったとかに、あんまり興味がないんですよね。

 私の中では、セックスってハグとかあいさつのキスとか程度のスキンシップみたいな扱いなんです。お金を出してセックスをしているのだとしたら、マッサージ店でマッサージしてもらったんだろうなという程度の感覚です。だから、あんまり特別な感じがしないんですよね。

 ただ、確かに性病をもらってくるのではないかという心配はありますから、「性病にだけは気をつけてね。」「安全のためにコンドームはつけてね。」みたいなことは言います。特にバイセクシュアルの可能性がある男性は、HIV感染の危険性が高まるので余計にですね。

 私自身は好きになった人としかセックスできないタイプですし、やはり性病、特にHIVが怖かったので、恋愛好きとはいえ、性交渉した相手はそんなに多くないですね。

 

寺山修二に学んだセックスの目的

 どの本かは忘れてしまったのですが、寺山修司の本にセックスの目的として

  1. 互いの愛情を確認しあう行為としてのセックス
  2. 子孫を残すためのセックス
  3. 娯楽のためのセックス

の三つをあげていました。

 

 現在の性的な倫理観は、主に1、2の要素で成り立っていると思います。そして、1、2以外の目的で行われるセックスは「不潔」であるとか「悪事」であるように考える人が多いのが今の日本の現状でしょう。

 さらに、1の「互いの愛情を確認しあう行為」でさえも、現在の日本においては、一夫一婦制度の考えを主軸に「(相手の性に対する)独占契約」を伴うべきであるという考えが普及しています。

 私個人としては、「結婚契約」をした場合は「性行為の独占権」の契約もしたことになるから、他の人間と性行為をするのは法的にアウトだと思います。夫婦間で個別に「性行為の自由」を契約し、それにともなう細かい約束ごとを作る夫婦もいるようですが、まあ、それは今の倫理観では認められにくい約束かもしれませんね。

 私個人としては、結婚契約する前の彼氏彼女の状態では、「性行為の独占権」は二人がとりかわす約束にすぎず、その約束がとりかわされていない場合は、別の相手とセックスしてもいいと思ってます。

 将来、結婚して一夫一婦制度の規律である「性の独占契約」を守るためには、あらかじめ性的な相性も確認しておく必要があると思うのです。「一夫一婦制度の結婚」をゴールとしている場合、逆に性格や肉体の相性を合理的にスピーディーに確かめるために複数人と交際するというのは、私は特に疑問を感じませんね。

 また、結婚する気がない、特定の人とお付き合いする気がない人が、恋愛やセックスのみを楽しみたいと、最初に相手に伝えて、相手が合意したなら、それもありだと思ってます。

乱交を楽しむ友達夫婦

 私は基本的にセックスを特別なものと思ってないので、友人・知人などから、特殊な性癖を内緒で教えてもらう場合も少なくありません。

 ある女友達(仮称:恵子)が、ある時、夫(仮称:清)の親友である豊とセックスをして、なかなか相性が良かったという話をしてくれました。私が「え!豊って、清の親友じゃん!いいの?」と聞くと、「だって、清は見てたから大丈夫だよ。」というのです。よくよく話を聞いてみると、複数人で交代し合いながらセックスをする「乱交パーティー」に夫婦で参加し、豊と豊のガールフレンドも参加していたのとのこと。

 このように、セックスをスポーツ感覚で楽しめる男女もいて、彼らにとっては一対一のセックスはテニスみたいなもの、乱交はバスケットみたいなものなのです。互いに互いの「性を独占する」という考え自体がないのです。

 ただ、清と恵子の間には「他の相手とのセックスは、一人につき3回まで」というルールがありました。理由は「一人の人と3回以上セックスをしてしまうと相手に情が移ってしまうから。」とのことでした。互いに性行為は独占しなくていいけど、心は独占したいということなのでしょうね。

 

性潔癖な人たち

 「潔癖」っていう言葉がちょっと強いから、嫌なイメージで考えないでほしいんですけど、上記の記事にちらっと書いたように、40歳の息子が男性週刊誌をもってきただけで、グラビア写真に違和感を感じる女性もいます。

 

 私が40歳の頃、既婚の20代の女性と話をしていると、

「旦那が、もし、エロ本やエロビデオを持っていたら、すごくショック。」

というのです。私はビックリして、

「え、エロ本でもだめなの?」

と聞くと、

「え、エロ本見るなんて、浮気でしょ?許せない。」

というのです。あまりのカルチャーの違いに本当に驚いてしまいました。

そして、その場に通りかかった、30代後半の既婚女性に

「エロ本見るのって、浮気?」

とい聞いてみると

「浮気だし、ショック。」

というのです。その場では私が少数派でした。n=3だけどね(笑)

 

私が

「そりゃ、夫は大変だー。エロ本くらいOKにしてあげなよー。」

と言うと、

「え、何で私がいるのに他の女性の裸を見る必要があるの?裸を見たいなら私の裸を見ればいいと思う。」

というのです。あー、そういうことかー、と妙に納得してしまいました。

私「え、でも、あなたがいない時に性欲が沸いちゃったどうするの?」

相手「私が帰ってくるまで我慢すればいいと思う。」

私「えー、でも男の人の性衝動って衝動だから、そういうわけにいかないとおもうよ。エロ本もエロビデオも禁止されたら、外で生身の女性の裸を見ちゃうかもよ?」

と、うっかり脅かしてしまいました。すると、

「えー、それはヤダー!旦那にメールしてくるー。」

と言って、早速「エロ本やエロDVDくらいは見てもいいからね」とメールしたそうです(笑)まじかよ!と思って、

「急にそんなことメールしたら旦那さんビックリしてたんじゃない?」

と聞くと、

「どうしたの、いきなり?」

って返事が来たと言っていました。そりゃ、そうですよね。

 

性に関する価値観が違うことの悲劇

 勘のいい方は、何となく私の言いたいことはお判りかと思いますが、相手に対する性行為の「独占」、また性行為に対する「不潔・けがれ」といった感覚は本当に人それぞれで、これらの価値観が全く違う人同士がカップルになってしまうと、悲劇以外の何物でもありません。

 現代の日本で一般的な倫理観は、一対一で独占契約された性行為は「崇高なもの」で、それ以外の性行為は「不潔なもの」という想定のもと、皆、それに従ったり、それに背いていないテイにするために隠し事や言い訳をしたりするのだと思います。

 しかも、浮気・不潔の基準は本当に人それぞれで、一律これだというものがないんですよね。ですから、件の「処女厨」の記事の男性のように、相手としっかり話あって落としどころを見つけるか、自分の考え・価値観が変わりそうもないなら、相手を取り替えるかしかないんだろうなと思ったしだいです。

 

二重に傷ついた苦しみ

 あと、「彼氏が風俗に行った」の女性の場合は、彼氏が風俗業に従事する女性を悪くいうことで自分の行いを正当化した部分に、浮気、性行為云々以前に「人間性」に問題を感じました。筆者の女性は彼氏が別の相手と性行為を行ったことと、彼の人間性に疑いを持ってしまったことの二重の苦しみを背負ってしまったわけですから、すごく苦しいだろうなと思いました。

 もし、私が彼女の立場だったら、風俗嬢の女性をバカにした発言をした時点で私から彼に別れを申し出ると思います。ちょっと、個人的にそういう考えの男性は無理ですね。

 相変わらず、思ったことを書きなぐるしかできない文章ですが、夫が会社の社員旅行で「風俗」に誘われた話などを後日に書けたら書いてみたいと思います。

■件の処女厨だった方の「彼女と結婚したくない」の記事と後日談は以下の通りです。