teratail Report vol.10
2018/03/20
3Dモデリングを始めよう!無料ソフト「DesignSpark Mechanical」で3D CAD入門
find_in_pageこの記事のトピックス
こんにちは。teratail Report編集部です。
“teratail Report”は、エンジニア一人一人の中に隠れている「貴重な情報」を、日本中のエンジニアに届けていくメディアです。技術の最前線を走るエンジニアたちの「考え方・捉え方・経験や思想」には、オンライン上には出てこない「貴重な情報」がたくさん隠れています。teratail Reportは、実際にエンジニアに接し、その根幹を明らかにしていきます。
第10弾のteratail Reportは、「3Dモデリング」にフォーカス。3Dモデリングは3DプリンタやxR領域で需要が高まっていますが、「3Dは難しそう」「どんなツールを使ったらいいかわからない」など、始めてみるまでの敷居が少し高いですよね。
今回は初心者でも簡単に使い始めることができる無料ソフト「DesignSpark Mechanical」に注目!手軽に3D CADデータを作成でき、さまざまなデータ形式で保存して利用することができるので、「Unityでテーブルや建物などの背景セットを用意したい」「3DプリンタでIoTの部品を作りたい」といったときに活用できます。
最近はファブリケーションスペースなど3Dプリンタを利用できる施設も多いので、実物の作成がぐっと身近になりますよね。
本記事では、2/17(土)に開催された3Dモデリング入門者向けハンズオンをベースに、3D CADデータの作成方法をご紹介します。
これを機に、手軽な3Dモデリングを始めてみましょう!
宮原 裕人氏みやはら ゆうと
アールエスコンポーネンツ株式会社 イノベーション事業部 マネージャー
名刺サイズパソコン「ラズベリーパイ」の総代理店で国内プロモーション業務に貢献。現在、プロトタイピングエンジニア向けコミュニティーの「DesignSpark」のマネージャとして、プリント基板CAD「DesignSpark PCB」、3D CAD「DesignSpark Mechanical」の国内普及を担当。ラズパイコンテスト審査員。東北大学非常勤講師。
3Dモデリングの基本の「キ」
まず初めに、3Dモデリングには「3DCG」「3DCAD」の2種類があります。3DCGは、例えば3Dでデザインされたキャラクターの髪がなびいたり、関節が曲がったりと、主に動きを持たせるときに使われる方法です。
これに対して3DCADは成形することを目的にした方式で、全ての要素を数値化して正確な寸法を出すことができます。3Dプリンタ用データの作成や設計には3DCADが向いています。
今回紹介するDesignSpark Mechanicalは、3DCADのソフトです。
3DCADソフトにもいくつかの種類がありますが、建築やマシンの設計など実務向けのハイエンドなものから、3Dプリンタや外装デザインなどの一般向けなど、向いている使用シーンもそれぞれ違います。DesignSpark Mechanicalは利用が無料で、必要なPCスペックも低く、ミッドレンジの手軽に始められるソフトという位置付けです。
3Dモデリングを始めてみよう
画面の操作
実際にデータを作りながら、3DCADの基本を紹介していきます!なおDesignSpark Mechanicalをご自身のPCにインストールしてから試してみてください(Windowsマシンでのみ利用できます)。モデリングにはマウスの利用を前提としています。
DesignSpark Mechanicalを起動すると、デフォルトの3Dデータが表示されます。初めのうちは、画面の表示方法を「カーソル中心」にしておくと扱いやすくオススメです。
マウスのホイールで視点を移動し、Shift+ホイールで画面位置を移動します。
「Z(Zoom)」キーで選択部分を拡大、「H(Home)」キーで初期位置にリセットです。さまざまなショートカットがありますが、初めは簡単なものだけ覚えておきましょう。
「ファイル」=>「新規作成」=>「デザイン」から新しい描画を始めていきます!
モデリングの基本の手順
モデリングは基本的に「描画する面を選択する」「面に図形を描く」「図形を引き上げて立体にする」という流れで作成します。
まずツールから「矩形」を選択し、ベースとなる図形を描画します。描画した図形は「頂点」、「面」、「エッジ(辺)」から成っています。
また描画中にスペースを押すと寸法を数値で指定することができます。
「プル」を選択し、描画した図形の面を選択します。マウスで掴むと矢印が出るので、引き上げたい方向に持ち上げます。
長方体が出来ました!おさらいですが、このように「描画する面を選択する」「面に図形を描く」「図形を引き上げて立体にする」が3DCADの基本です。
描画した立体の面にさらに描画していくことができます。
手順が一つ終わったら、ファイルを保存しておきましょう。CADソフトは落ちやすいのでこまめな保存が大事です!
エッジの加工
プルでエッジを選択すると、いくつかの方法で加工することができます。
「フィレット」では丸く、「面取り」では平たく角を取ります。
「エッジの延長」、「エッジのコピー」や、
「ピボットエッジ(台形変形)」でエッジを移動して立体を変形させることもできます。
左側の「選択」ツールでは、長さや向きを指定してエッジを一括選択できるので活用しましょう。
移動ハンドル
「移動」ツールではさまざまな要素を移動させることができます。例えば下図のように2つのソリッド(作成した立体)がある場合を見てみます。
ソリッドを選択し、移動させたい方向の矢印を掴み上げることで移動します。
移動ハンドルの中心の玉の部分を選択して「〜まで」の機能を使うと、指定した面やエッジまで移動させることができます。
ピタッと密着する場所まで移動させることができました。
ソリッドだけでなく、面やエッジも移動することができます。下図のように1つのソリッドの例を見てみます。
中央の凸部分を移動させてみます。
向かい合う面と面を選択して、回転させてみました。
モードで「断面図」を選ぶと、さまざまな視点から確認できます。
回転を利用する
回転軸を描画することで、プルで「回転」させることができます。回転軸にしたい位置に直線を描画します。プルで面を選択後、左側のツールで「回転」を選び回転軸を選択して引き上げます。
左側のアイコンで「螺旋」を選択し、「ピッチ」を指定して螺旋の描画も可能です。
3Dモデルデータのダウンロード
DesignSpark Mechanicalの特筆すべき機能として、3Dモデルをダウンロードできる機能があります。
例えば、マイコンボードの「arduino」を検索してみます。
検索結果からモデルを選択し、ダウンロードします。
ローカル環境にモデルがダウンロードされました!
この実寸データを利用して、実物を再現する手間なくケースなどを作成することができます。他にもD-SUBやUSBなどのコネクタ、DINレール、リレーといった工業部品のモデルが数百万点以上用意されています。ぜひ探してみてください!
3DCADで個性的な作品いろいろ!
作品を見る
セミナー参加者による3D作品をご覧ください。たった1日のセミナーで初心者でもここまでの作品を作ることができます。これらの作品はPDF形式(3D PDF)で公開しており、Adobe Readerで3Dとしてご覧頂くことができます。
ナカシマ723さんの作品をダウンロードして見る
おおもりさんの作品をダウンロードして見る
菅原 拓さんの作品をダウンロードして見る
faslさんの作品をダウンロードして見る
3D PDFの開き方
PCの場合、Adobe Readerでのみ開けます。その他のPDFリーダーやブラウザでは表示できません。PCから見る手順はこちら(ファイルを開いた後に ①警告を承認 ②画面上をクリック という操作が必要となります)