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“米軍基地の町”青森県・三沢で暮らす人々と沖縄の温度差──「北朝鮮は攻撃したら最後だ」

[2018年03月18日]

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「基地の町」として語られる青森県の三沢

「在日米軍基地の町」として語られるのはほとんどが沖縄だが、近くの空を北朝鮮のミサイルが平然と通過している「基地の町」がある。三沢だ。

地元の人に危機感は高まっていないのか。三沢を訪ね、話を聞いた。

■同じ滑走路を米軍と自衛隊とJALが使う

青森県の太平洋に面する人口約4万の町、三沢。2月某日の正午頃、エレベーターで3階に昇ると視界が開けた。ここは、1㎞ほど先に滑走路が見渡せる三沢航空科学館の展望デッキである。

青空の下に除雪が施された滑走路があり、奥にはジャンボジェットをずんぐりさせたアメリカ空軍の大型輸送ジェット機(C-17グローブマスターⅢ)、円盤型のレーダーがついた航空自衛隊の早期警戒用のプロペラ機(E-2C)。その背後にはかまぼこ形の格納庫が連なっていた。ここは軍民混在、つまり、アメリカ空軍、航空自衛隊、そしてJALが共同で使用する滑走路なのだ。

手前の誘導路を迷彩柄のジェット戦闘機が4機、ゆっくり動いている。航空自衛隊のF-2だ。数十mの間隔で、木々で覆われた滑走路の端へと向かう。1機が端まで到達すると、滑走路にコースを変え折り返して急加速する。

グォ~~オオオオ~~。

隣の人の話し声さえ聞こえにくくなるほどの爆音とともに、3kmに及ぶ滑走路を一気に駆け抜け、離陸。さらには後続の3機も次から次へと離陸していった。

しばらくすると、その4機が滑走路に連続で戻ってきて、誘導路を移動し、再び30秒ほどの間隔をあけて連続で離陸したりする。

すると今度は「J-AIR」とボディにペイントされた日本航空グループの小型旅客機が、自衛隊の訓練の隙間を縫って着陸してきた。

* * *

昨年、北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返した。

8月29日午前6時2分に12道県でJアラートが発令され、北海道・襟裳(えりも)岬の東約1180km付近の太平洋上に着水。続く9月15日の発射では、襟裳岬の東約2200kmの太平洋上に着水した。

政府はどちらも「北海道・襟裳岬の上空を通過」と発表したが、つまりは「津軽海峡を通過」ということだ。「日本への刺激を抑えるために、陸上を避け海峡の上空を飛ばした」との見方もされているが、その津軽海峡の南側には、アメリカ空軍と航空自衛隊の部隊が常駐する、青森県・三沢基地がある。

北朝鮮からも比較的近い、この米軍基地を北朝鮮は狙うつもりなのか。そして、相次ぐ北の実験を、三沢に暮らす人々はどう感じているのか。やはり緊迫感は増しているのか?

そんな素朴な疑問を持って、三沢に暮らすさまざまな職業の人に話を聞いてみた。しかし、返ってきたのはこちらが拍子抜けするような答えばかりだった。

「特に何も気にしてねえ。トランプ政権に代わったからって基地の様子が変わった様子もねえし」(30代男性・板前)

「最初にJアラートの音を聞いたときはビクッとした。だけどどうしろっていうのよ。気にしないようにするしかない」(50代・スナックママ)

では自治体としては、ミサイル発射を受けて、なんらかの準備をしているのか。

「国からの情報を受けて、情報収集を行ないます。そして防災無線やホームページ、市の広報紙で伝えます。市内の学校では避難訓練を行なっていますが、市民の避難訓練は特にやっていません」(三沢市役所総務部防災管理課)

語弊はあるが、意外とのんきに思えた。確かに、先のスナックママの言うように、心配しても市民がやれることは限られているが…。

三沢基地のゲート前。

三沢基地のゲート前。


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