(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年3月16日付)

英米仏独がロシア非難 元スパイ襲撃で異例の共同声明

英イングランド南西部ソールズベリーで発生したロシア人元スパイ襲撃事件の現場近くを視察するテリーザ・メイ首相(右、2018年3月15日撮影)。(c)AFP PHOTO / Daniel LEAL-OLIVAS〔AFPBB News

 イングランドの小都市ソールズベリーで起きたロシアの元スパイ暗殺未遂と、ロシア政府とは何の関係もなかった。

 同様に、クリミアの侵攻と併合におけるいかなる役割についても、ロシア政府は無罪だと見なさなければならない。ウクライナ東部で戦闘行為を行っている重武装したロシア人兵士は、志願してそこにいる文民でしかない。

 バルト諸国とスカンジナビア諸国へのサイバー攻撃は、ロシアに敵対する国々による捏造だ。シリアで民間人が日々殺害されていることについても、ロシアは何の役割も担っていない。米国大統領選挙への介入疑惑も、全くのでっち上げだ――。

 このような話を我々が知っているのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がそう主張しているからだ。

 クリミアにいる部隊のテレビ映像、ソールズベリーで見つかったロシアの軍用神経ガスの痕跡、米国のロバート・モラー特別検察官が収集・分析している文書類という確かな証拠などは、すべて偽ニュースだというわけだ。

 我々はまた、プーチン氏は自分の嘘がばれていても気にしないということを理解しておかねばならない。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相が学んだように、プーチン氏は私的な場での議論においても、公的の場で意見を表明するときと同じくらい厚かましい。同氏にとっては、ルールを破ることこそがロシアの力を印象づける方法なのだ。

 元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏とその娘のユリア・スクリパリ氏に毒を盛るとは、ずいぶん恐ろしい話だが――ロシアのものだとはっきり分かる化学薬品が使用されているとなれば、特にそうだ――、ロシアの現体制の基準に照らせば、衝撃的だとはとても言えない。