「健康になりたい。」「キレイになりたい。」「長生きしたい。」
多くの方が望まれているのが、健康な身体での生活だと思います。
「腸活」や「菌活」といった言葉がメディアで取り上げられる機会が増えて、「腸」が健康な生活に重要な役割をはたしていることが知られるようになりました。
腸には、人間の免疫機能の約70%が集中していると言われています。
腸が健康だと老廃物がスムーズに排出されたり、免疫力が高まってウィルスに感染しにくくなったり、炎症なども抑えられて身体が健康で良い状態になります。
逆に、腸が不健康になると老廃物が溜まってるなどから、免疫力が下がって病気にかかりやすい不健康体になってしまいます。
また、脳と腸がお互いに密接に影響している「脳腸相関」という言葉があるように、腸内環境が悪化すると脳でのホルモンの分泌が悪くなり、心の状態、メンタルにも悪影響が出ることが研究で分かっています。
つまり、「腸」は人の身体の健康の鍵を握っていて、心と身体の健康に保つに為には、「腸内環境を正常に保つこと」が大切ということなのです。
「腸バイブル」では、一人ひとりで違う「腸内環境」を、それぞれの生活スタイルや状況に応じて「最適化」できるような内容を紹介しています。
「腸内環境を最適化」することで、あなたの健康的な生活のお役立てたら幸いです。
腸内環境とは?
近年、腸に関する研究が進んだことにより、さまざまな病気が腸と因果関係があることが明らかになっています。
腸を健康に保つことが、身体の健康にもつながっているのです。
「腸内環境」とは、腸の活動を左右している「腸内フローラ」とそれを構成している「腸内細菌」、そして、小腸や大腸などの消化器系の臓器を表している言葉です。
腸内環境を良くするということは、腸内細菌のうちで善玉菌と呼ばれる良い菌を活躍させて、腸内フローラを自分の体に合うようなバランスを保ち、大腸などの活動を正常に保つこと意味します。
逆に腸内環境が悪くなるということは、悪玉菌と呼ばれる菌が腸内で活発になり、腸内フローラでは有害物質などが発生し、大腸などの活動が低下してしまうことを意味します。
腸内環境は、食事やストレスなど身体の内と外から、さまざまな影響を受けています。自分に合う方法を少しずつ試しながら、自分の「腸内環境の最適化」を行ってみましょう。
腸の役割について
腸は食べ物の栄養分を消化して吸収するための消化器系の臓器で、大きくは小腸と大腸に分かれます。
小腸は、胃で消化された食べ物をブドウ糖やアミノ酸などに分解して、それらを水分とともに消化と吸収を行い、栄養分の多くや水分の90%以上が小腸で吸収されます。
吸収しきれずに残った食べ物のカスが大腸へと送られ、大腸でさらに水分を吸収され、残りカスが便として排泄されます。
大腸に異常が起こっていて腸内環境が悪化してしまい、水分が十分に吸収されなかった場合には、いわゆる下痢の状態です。逆に、水分が吸収されすぎて便がカチカチに固まってしまって排泄されない状態が便秘になります。
便秘が続いたままの場合、腸内環境はどんどん悪化してしまい、身体の不調にもつながり、なんらかの病気の原因になる可能性があるのです。
腸が快適に働いていることが、健康への第一歩につながります。
腸が免疫を管理している
腸は食べ物を消化と吸収して排泄するが大きな仕事です。
そして、もう一つ大きな仕事として身体の「免疫機能」の調整を行っています。
免疫力は、ウィルスや病気から身体を守るための防衛力です。免疫力が高くなると細菌やウィルスの感染から身体が守られて病気などにかかりにくくなります。逆に免疫力が低くなると、細菌やウィルスが身体に侵入しやすくなり、病気などに感染してしまうことになります。
ウィルスを退治してくれるナチュラルキラー細胞
免疫力として分かりやすいのが、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)でしょう。
ウィルスの感染、細胞の悪性化やガン化などの異常が発生した場合、すぐにその異常な部分を攻撃する免疫細胞がNK細胞です。冬など寒い季節になると流行する特徴を持ったインフルエンザ。インフルエンザウィルスが体内に入り込んだ際、体内を見回っているNK細胞がウィルスを発見次第、即座にやっつけてくれます。
免疫細胞であるNK細胞を活性化させておくことで、インフルエンザの予防にもつながるのです。
この免疫細胞の約70%が小腸と大腸に集中しています。腸内環境を正常に保ち、免疫細胞にしっかりと働いてもらうことでウィルスや細菌から身を守ることができるのです。
腸は体の外とつながっている
腸は「内なる外」という特殊な環境にあります。
腸などの消化器官は、口から肛門まで全てがつながっていて、一本のトンネルのような構造になっています。腸は身体の中にありながら、皮膚や腸壁などがひとつにつながっているので、外の世界と直接接点がある内臓器官になります。
私たちは食事をする際に口から食べ物だけではなく、ウィルスや細菌などの病原菌も一緒に取り込んでしまいます。もしも、腸に免疫である身体を守る力がなかった場合、取り込んでしまった病原菌は消化器官からどんどんと吸収されてしまい、あっという間に病気にかかってしまうのです。なので、外から侵入してきたウィルスなどの病原菌を身体に取り込まないために、免疫細胞の約70%もの数が腸に集中しているのです。
腸が関係している身体の症状
腸の働きは、消化・吸収・排泄だけではありません。
腸は身体のあらゆる健康と関係があるといわれています。また、脳と腸がお互いに影響を受けあっていることも分かっています。
腸が不調になることで起こりうる身体の不調は、以下のようなものがあります。
過敏性腸症候群(IBS)、大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎
アトピー、食物アレルギー、花粉症などのアレルギー関連
肌あれ、歯周病、うつ病や自閉症などの精神疾患
メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病
その他にも、多くの身体の症状が、腸内環境の状態によって左右されています。
あなたの身体で気になる悩みや症状がある方は、こちらのページをごらんください。
腸内の「今」は「うんち」で分かる
自分の腸内環境が良いのか悪いのか。それを知ることは健康を管理する上でとても大切なことです。
腸は身体の中にあって目で見えませんし、腸の粘膜には知覚神経がないので、何か不具合があってもすぐには分かりません。
自分で腸内環境を確認できる方法は「便」を確認することです。
いわゆる「うんち」を自分の目と鼻で確認することで簡単に見分けることができます。
チェックポイントは下記になります。
・色
・ニオイ
・形と量
毎日の「便の状態」を記録するスマホアプリもありますので、腸内環境を日々チェックして、身体の健康管理に役立てましょう。
腸内フローラの違い
最新の解析技術によって、腸内フローラの分析が行われた所、人の腸内フローラは大きく分けて3つのタイプに分類できることがわかりました。
長期的な食習慣によって違いがあり、この分類を「腸内細菌エントロタイプ」と呼びます。
1.バクテロイデスタイプ
炭水化物が少なめで、タンパク質や脂質を多い食生活。
アメリカ人や中国人に多いタイプ。
2.プレボテラタイプ
食物繊維や炭水化物の摂取量が多め。
中南米やアフリカ、アジアの人に多いタイプ。
3.ルミノコッカスタイプ
動物性タンパク質や脂肪が多い食生活。
日本人やスウェーデン人に多いタイプ。
食事と腸内フローラは密接な関係があることが分かります。
米国ピッツバーグ大学医学部を中心としたの国際共同研究グループの実験では、食事を変更して2週間で腸内フローラが変化するという報告もあります。つまり、元々持っている腸内フローラも、自分が食べる食事の内容によって、良くも悪くもなるという事なのです。
腸に住んでいる腸内細菌
腸内フローラを構成する腸内細菌は、大きく分けると3種類が確認されています。
それが、「善玉菌・日和見菌・悪玉菌」です。
– |
善玉菌 |
日和見菌 |
悪玉菌 |
理想バランス |
20% |
70% |
10% |
主な菌 |
・乳酸菌 ・ビフィズス菌 |
・バクテロイデス ・連鎖球菌 ・大腸菌(無毒株) |
・ウェルシュ菌 ・ブドウ球菌 ・大腸菌(有毒株) |
主な働き |
・免疫力アップ ・整腸作用 ・腸内の食物を発酵させる ・ビタミンの合成 |
・善玉菌、悪玉菌の勢力が強い方の味方をする |
・腸内の食物を腐敗させる ・有害物質を産生 ・免疫力を弱める |
身体への影響 |
・免疫強化 ・健康の促進 ・生活習慣病の予防 ・老化防止 |
– |
・免疫力の低下 ・便秘や下痢 ・炎症の発生 ・口臭や体臭 |
先程の記事ではエンテロタイプというものがあり、腸内フローラは人それぞれで全く異なっていることを説明しました。
人それぞれ最適なバランスは異なっていますが、一般的には腸内細菌は、
【善玉菌 20% : 日和見菌 70% : 悪玉菌 10%】 が、最適に近い構成パターンとされています。
このバランスを維持できるように、腸内環境を整えることが大切です。
食生活の乱れやストレスなど、いろいろな要因でこの腸内細菌のバランスが崩れてしまうことがあります。
悪玉菌が善玉菌よりも勢力を拡大した場合、腸内細菌の70%を占めている日和見菌も悪玉菌の味方になってしまい、腸内が一気に悪い状態になってしまいます。
腸内環境が悪化してしまった場合、便秘や下痢になったり、体内でさまざまな疾患をひきおこしたりする原因となる可能性があります。
健康を維持するためには、腸内環境で善玉菌が優位な状態を作り、さらに日和見菌も味方につけて、良い環境を作っていく事が大切です。
良い腸内環境を作るためのポイントは3つあります。
・食事(栄養)
・運動
・ストレス対策
プロバイオティクスとは?
腸内環境を整える栄養として必要なものに、プロバイオティクスがあります。
プロバイオティクスとは「生きたまま腸に届いて、腸内環境を整えるなどの良い働きをする微生物やそれを含む食品」のことです。身近なものでは、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を含んだヨーグルトや発酵飲料、味噌や納豆などの微生物を活用した食品があります。
腸内に届いた微生物たちは、腸の中に定着することが少なく、数日から一週間ほど体内に留まります。その間に乳酸や酢酸などの酸性物質を作り、腸内を酸性に傾けて悪玉菌を抑えます。また、腸壁を適度に刺激して排便を促す効果もあります。
プロバイオティクス-乳酸菌やビフィズス菌の力
腸内環境をよくする食べ物と言われて、真っ先に思いつくのが乳酸菌やビフィズス菌を含んだヨーグルトではないでしょうか?では、実際に乳酸菌は腸内でどのような活動を行っているのか。乳酸菌がどのような作用をもたらすのか、ご紹介します。
食べ物などで摂取した乳酸菌は、そのまま腸の中に定着することはありませんし、ずっと増殖し続ける訳ではありません。なぜ、乳酸菌が腸内環境を整えて、健康につながるのか。それは、乳酸菌やビフィズス菌が腸の中で代謝を行うことによって、乳酸や酢酸などの有機酸や揮発性脂肪酸を産生するからなのです。産生された乳酸や酢酸は、腸壁を刺激してぜん動運動を活発にします。すると、便がスムーズに排出されることで便秘を解消させ、腸内環境を良い状態に導くのです。さらに、有機酸の効果で腸内が酸性になることで、アルカリ性が得意な悪玉菌の増殖や活動を抑えて、有害物質の産生を押さえ込むことができます。
摂取した乳酸菌やビフィズス菌は、約1週間で役目を終えて体外に便と一緒に排出されます。腸内環境を良い状態で維持するためには、継続的に良い菌を取り入れることが大切です。
乳酸菌は、人体に良い影響を与える微生物であるプロバイオティクスです。
プレバイオティクスとは?
プレバイオティクスは、小腸などで吸収されずに大腸まで届いて、元から生息しているビフィズス菌などの栄養源となって腸内環境を改善させ、健康促進に役立つものです。プレバイオティクスにはオリゴ糖や食物繊維などがあります。
プロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に摂ることを「シンバイオティクス」と呼びます。
腸に良い乳酸菌などの微生物と、その微生物の栄養となるエサを同時に摂ることで、相乗効果を生み出すことが期待できます。
プレバイオティクス-食物繊維
便秘の改善には野菜や食物繊維を多く摂りましょう、といったよくアドバイスを目にします。便秘の便を出すために必要という意味もありますが、最近の研究では、人の身体に重要な働きをすることが分かってきました。
食物繊維は、人の消化酵素によって消化されない食物に含まれている難消化性成分の総称です。タンパク質や脂質などと違って、消化液の酵素では分解されずに小腸を通りすぎて大腸に到達します。
大腸に届いた食物繊維は、腸内細菌達の力によって分解されます。そして、食物繊維が腸内細菌のエサとなっているのです。この食物繊維が分解される作用を「発酵」といいます。
腸内細菌の力で食物繊維が発酵されると、身体に良い影響を与える「短鎖脂肪酸」などが産生されます。短鎖脂肪酸は大腸粘膜上皮の栄養源になったり、腸内環境を酸性に保って悪玉菌の活動を抑えたりする効果があります。
腸内フローラを良い状態に保つには、腸内細菌のエサとなる食物繊維も重要な要素になります。
プレバイオティクス-オリゴ糖
オリゴ糖は厚生労働省から「特定保健用食品(トクホ)」として「お腹の調子を整える栄養素」として認定されています。
オリゴとは少ないという意味で、ブドウ糖や果糖などの単糖が2個または複数個つながった糖類です。代表的なものに、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖などがあります。
オリゴ糖は小腸で吸収されずに大腸に届き、善玉菌であるビフィズス菌の栄養源となって善玉菌を増やす働きがあります。
また、オリゴ糖は難消化性なので、食べても血糖値を上昇させずに血中のインスリン濃度も変えません。なので、オリゴ糖を摂っても肥満になる心配がない甘味料なのです。
善玉菌が増える過程でオリゴ糖が分解・発酵されると、酢酸などの有機酸が作られて腸の中が酸性に傾きます。それによって悪玉菌が生息しにくくなり、腸内環境が良くなっていきます。さらに、オリゴ糖はタンパク質の消化や吸収を助けたり、ミネラルの吸収を促進したり、脂質の代謝改善などの作用もあります。
健康食品での栄養補給
プロバイオティクスであるヨーグルトや、プレバイオティクスである食物繊維やオリゴ糖などの栄養を含んだ食品を、一般的に「健康食品」と呼ばれています。
病気にかからない身体づくり
食生活の変化や社会からのストレスによって、日本人の腸内環境は良くない状態に進んでしまっているかも知れません。
免疫のバランスが悪いせいでアレルギーの人が増えたり、部位別がんの死亡者数も大腸がんが増えたりしているデータがあります。
腸内環境は体重や血圧などのように数字でデータ化しにくいので良し悪しの判断がつきにくいものです。判断できるのは、日々の便の状態やおならのニオイなどで、状態が悪くなっている場合は、腸内環境のバランスが崩れていると考えたほうがよいでしょう。
日本は世界有数の長寿国で、平均寿命も年々伸びていっています。しかし、寿命が伸びてもベッドで寝たきりのままというのはあまり考えたくない姿です。長生きして、日常生活を快適にいきいきとした生活を送りたいものです。
腸内環境は気をつけているけど効果が感じられない方へ
便秘などお腹の調子が悪い方で、すでにヨーグルトや乳製品を日常的に摂取している方も多いと思います。でも、思ったよりも効果が感じられなかったり、症状が改善されない方もいらっしゃるでしょう。
もしかすると、腸内環境を良くする為に摂取している乳酸菌やビフィズス菌が効果的に効いていない可能性があります。
乳酸菌には数百類があり、商品に使われているだけでも数十種類あります。その乳酸菌の一つ一つに個性があり、身体にもたらす効果が違うのです。
あなたの改善したい身体の悩みや症状に合った乳酸菌を摂るようにしましょう。
こんな症状に悩んでいませんか?
便秘
慢性的にお腹が張っていて便秘気味。
コロコロなうんちが週に何回かしか出ない。
風邪やインフルエンザ
年に何回も風邪にかかってしまう。
インフルエンザは注意しているけど不安。
アレルギー
食べ物などで皮膚がかゆくなる。
花粉症で鼻がムズムズ、目もかゆい。
肥満改善・ダイエット
お腹周りに余計な肉がついた気がする。
食事も注意しているけど痩せない。