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風情たっぷり、瀬戸内海の港町「鞆の浦」で絶景と癒しが人気の宿を満喫してきた!

2018.03.19

数多くの映画やドラマ、アニメの舞台として取り上げられる広島県の「鞆の浦(とものうら)」。江戸時代からの伝統的な町並みや港湾施設、瀬戸内海特有の島景色など、見どころいっぱいの港町です。オーシャンビューの絶景宿では心も体もとろとろに癒されて、美味しい瀬戸内海の幸も堪能させてもらいました。

▲高台から望む鞆の浦の町並みと仙酔島(せんすいじま)

一度行けば必ずもう一度行きたくなる港町

広島県の東部、福山市の中心部から南に15kmの海岸沿いに位置する鞆の浦。万葉の時代から“潮待ちの港”として栄え、今も白壁土蔵や町家が残る江戸時代の古い町並み、それに景勝地の仙酔島など、見どころいっぱいの人気観光地です。
▲2017年11月に鞆町中心部が重要伝統建造物群保存地区に選定された

瀬戸内海航路の要所として発展した鞆の浦は、豪商の屋敷や船番所、古刹などが半径約200mほどの狭い範囲に立ち並び、短時間でも密度の濃い散策が楽しめます。
▲常夜燈は鞆の浦のシンボル的存在

鞆港(ともこう)西側の先端に立つ常夜燈は、鞆の浦のシンボルとして記念撮影などに人気のスポット。高さは5m以上あり、真下から見上げるとその大きさに圧倒されます。1859(安政6)年に建てられたもので、石造りの常夜燈としては日本一の大きさとされています。
▲江戸時代の雁木(がんぎ)もそのまま残る

石階段の雁木は船荷の積み降ろしに使用された港湾施設で、常夜燈のすぐ横にあります。約200年前につくられたもので、全国にもこれほどの大規模な雁木が残っている場所はないのだとか。中央に見える白壁の建物は1867(慶応3)年に坂本龍馬が乗る船が鞆沖で沈んだ「いろは丸事件」の資料を展示する「いろは丸展示館」です。
▲いろは丸展示館の内部

蔵を改装した館内には船体調査で引き上げられた品や調査風景の写真などが展示され、沈没状況のジオラマもあります。龍馬が鞆に滞在した際の「隠れ部屋」も再現され、龍馬人形とのツーショット写真も撮れますよ。
▲風情が増す夜の鞆港。中央に見えるのが常夜燈

夕方には観光客の姿もほとんど見られなくなる鞆の浦ですが、夕景や夜景も風情たっぷりです。常夜燈には灯りが毎日ともり、沖を行く船の安全を見守っていた往時を彷彿とさせてくれます。

心地よい「音」に包まれる海辺の絶景宿【汀邸 遠音近音】

▲木造本べんがら塗りの玄関は隠れ家的な雰囲気もたっぷりです

鞆の浦や仙酔島には大型の観光ホテルや国民宿舎など数軒の宿泊施設がありますが、今回の旅で予約したのは鞆港のすぐ横にある「汀邸 遠音近音(みぎわてい をちこち)」。非日常の癒しとオーシャンビューが魅力の隠れ家的ホテルです。
▲約200年前の宿を改装した天井の高い玄関

前身は江戸時代に開業された宿で、何と蘭学者のシーボルトや戯作者の十返舎一九、昭和の大作家・井伏鱒二なども定宿としていたそうです。
▲気になる「遠音近音」の由来は……

ところで「汀邸 遠音近音」って、なかなか読めませんよね。そもそも、何故こんな難解な名前になったのかも疑問ですが、その謎を解く鍵になるのが玄関に掛けてあったこの一枚の書。
▲女将の村上康恵さん

「この建物を改修しているときに、押入れから偶然に見つけたのがこの書なんです」と女将の村上康恵さん。帆聲(はんせい)という古い中国の書家がここに滞在したときに残したもので、そこに書かれていたのが「遠音近音」の文字。波や風の音が遠くや近くから聞こえ、心を解きほぐしたと記しているそうです。
▲日常の中では意識することのない音を愉しんでほしいという意味

「鞆の浦の音に包まれ、非日常を愉しんでいただきたいと思い、当館の名前とさせていただきました」と、謎も判明。これからの滞在に期待も膨らみます。ちなみに「汀」は波打ち際のことで「なぎさ」とも読みます。
▲玄関からロビーまでは渡り廊下で

玄関の先にはきれいに手入れされた中庭を通る渡り廊下があります。ここまではホテルというよりも老舗の旅館といった印象ですが、ここからは洗練された空間が次々と出迎えてくれました。
▲ロビーから見る瀬戸内海の景色

こじんまりとしたロビーはヒーリングミュージックが流れる落ち着いたスペースになっています。窓からは鞆の浦の名勝・仙酔島とその手前にある弁天島を正面に見ることができます。
▲クッキーとお茶でおもてなし

チェックインを済ませるとクッキーとお茶を出してもらいました。窓際の席でゆっくりと景色を楽しみ、部屋へと案内してもらいます。
▲窓の大きな「ワイドビューツイン」の客室

客室は2~5階で全17室。すべてオーシャンビューの露天風呂付きといった贅沢仕様になっています。今回利用するのは4階に3室あるワイドビューツイン(税込サ別32,000円~)で、壁一面の大きな窓が特徴の部屋です。
▲オリジナルローストのコーヒー

部屋にはコーヒー豆とミルが用意されていました。挽きたてのコーヒーを自分で淹れて飲めるサービスで、豆は宿のオリジナル「潮待ちの港ブレンド」。香りも味も好みだったのでお土産にしようかと思いましたが、市販はしていないとのこと。こんなに美味しいのに、もったいないなぁ。
▲部屋の露天風呂からも景色が楽しめる

露天風呂は海側のウッドデッキにせり出すようにつくられています。二人で入るにはちょっと窮屈なサイズですが、眺めは抜群。さっそくお湯に浸かってみるとラジウムを豊富に含む湯(単純弱放射能冷鉱泉)は体が芯から温まり、潮騒のBGMも旅の疲れを癒してくれました。
▲貸切露天風呂の利用は15:00~22:45、翌朝6:00~9:45

部屋のお風呂は二人では窮屈、と言ってしまいましたが、ご安心ください。5階には水入らずの湯浴みを満喫できる貸切露天風呂が2室あり、当日の予約制で45分間無料で利用できます。どちらも間接照明の落ち着いた雰囲気で、もちろんオーシャンビュー。
▲最上級の「アッパースイート」。大きな窓やテラスから瀬戸内海の絶景を一望できる

今回は特別に他の部屋も見せてもらいました。こちらは2階に3室、5階に1室あるアッパースイート。シーサイドデッキを含めると77.3~95平方メートルもある広々空間です。
▲シックにまとめられたアッパースイートの寝室

1泊46,000円~(税込サ別)と値段もそれなりですが、その価値は充分にありそう。次に利用するときは、思い切ってここで贅沢な時間を過ごしてみたいなぁ。
▲瀬戸内の海の幸を堪能できる夕食(一例)

食事は1階のダイニングでいただきます。夕食に並んだのは料理長が自ら吟味した旬を味わえるものばかり。魚介は瀬戸内海、野菜も県内産にこだわり、米も有機肥料100%で育てる契約農家から仕入れた希少な「ミルキークイーン」。丁寧な盛り付けは目でも愉しめます。
▲オプションで鯛のかぶと焼きなどが追加でき、さらに豪華な夕食に(価格は要問合せ)

基本の料理だけでも充分に満足できますが、鯛のかぶと焼きや茹でワタリガニ、アワビなど瀬戸内の味覚をオプションで追加することもできます。
▲料理長の菅貴史(かん たかふみ)さん

料理長は東京銀座にある広島ブランドショップ「TAU(タウ)」に併設される瀬戸内料理店でも総料理長を務める和食の達人。繊細な味付けやアートのような盛り付けで、匠の技を存分に魅せてくれます。
▲リゾート感漂う開放的なデッキテラス

ダイニングの前にはパノラマの海景色が楽しめるデッキテラス「海の桟敷」があります。仙酔島や行き交う船を眺め、遠音近音や潮風に包まれて過ごす時間は、まさに贅沢の極み。
▲寝落ちしそうなリラクゼーションルーム

夕食後は、玄関の一角にある中庭を望むリラクゼーションルーム「坐忘(ざぼう)」に。備え付けの本を読んでのんびり過ごすのもいいのですが、奥に見える「ヒーリングストーンカウチ」が、これまた最高。低反発マットレスが体を包み込み、岩盤浴機能も備えているので、横になったとたんにリラックス。そのまま眠ってしまいそうでした。
▲夜の海と島も見逃せない

部屋から見える弁天島には朱塗りの堂が建ち、夜はライトアップされて幻想的な雰囲気になります。例年5月の最終土曜日には「福山鞆の浦弁天島花火大会」も行われ、この宿も特等席に早変わり。当日の予約は抽選になるそうです。

景色を切り取りたくなる絶景の座敷【福禅寺 對潮楼】

▲高台の上に悠然と立つ「福禅寺 對潮楼(たいちょうろう)」

チェックアウト後も、まだまだ鞆の浦観光を楽しみます。まず向かったのは宿の玄関を出るとほぼ正面にある「福禅寺 對潮楼」。
▲平安時代の創建と伝えられる福禅寺の本堂

福禅寺は平安、鎌倉、室町など各時代の仏像が祀られる観音信仰を集めた霊験あらたかな寺院です。本堂に隣接する對潮楼は江戸時代に創建された客殿で、福山藩の迎賓館として守られてきました。
▲絶景が広がる對潮楼

對潮楼からは目の前に仙酔島と弁天島、他にも瀬戸内海の島々を見渡すことができます。柱は敢えて等間隔に並べず、夏至と冬至の日の出のときには柱の影が対角線の柱に重なるように工夫されています。
▲名画を観るような感動の景色

「仙人が酔うほど美しい」と言われる仙酔島は、ここからの眺めが由来かも、と思わせる抜群のロケーション。窓枠を額に見立てたこの景色は「サザエさん」のオープニングにも使われました。
▲「ユネスコ記憶遺産」の書を写した扁額

對潮楼は外交使節団として日本を訪れた朝鮮通信使の宿舎にもなり、その際、高官がこの景色を「日東第一形勝」と賞賛し、客殿を對潮楼と命名したそうです。その際の紙本墨書など朝鮮通信使に関する記録は、2017年10月に「ユネスコ記憶遺産」に登録されています。
▲仙酔島を往復する「平成いろは丸」

坂本龍馬も「いろは丸事件」の談判をここで行っています。對潮楼からはいろは丸をモチーフに建造された小型フェリー「平成いろは丸」を眺めることもできます。

生薬を漬け込んだとろりと甘い保命酒【鞆酒造】

▲常夜灯まで徒歩1分ほどの「鞆酒造」

常夜灯へと続く古い町並みの中に「保命酒(ほうめいしゅ)屋」の看板を出した造り酒屋があります。
▲保命酒は鞆の浦のお土産でダントツの人気

造り酒屋といっても、銘柄はこの保命酒だけ。遡れば350年以上の歴史がある鞆の浦の名物で、朝鮮通信使や幕末に来航した米国のペリー提督にも供されたとのこと。
▲レトロなガラス瓶に入った保命酒。左から180ml、300ml、500ml、900mlの瓶入りで、それぞれ税込550円、1,000円、1,300円、2,000円
▲保命酒は試飲もできる

焼酎、もち米、麹に13種の生薬を漬け込むことから「十六味地黄(じゅうろくみじおう)保命酒」とも呼ばれ、冷えや夏バテ、疲労回復などに効果があるとのこと。甘いリキュールのような味わいで、牛乳で割って温めても美味しいそうです。
▲鞆酒造七代目の岡本純夫(すみお)さん

鞆酒造は1879(明治12)年から続く老舗。「保命酒は福山藩の専売品として保護を受け、製法は門外不出でした。明治になって専売が解け、既に全国的な名声もあったことから複数の業者が保命酒をつくるようになりました」と岡本さん。鞆酒造もそのひとつで、現在は4軒で醸造されています。
▲保命酒の酒粕(250g税込300円)

生薬の成分を含んだ保命酒の酒粕も販売されていました。粕汁や粕漬けなどさまざまな料理に使え、美容や健康にもよさそうです。
鞆の浦は“日本でいちばん癒される港町”とも呼ばれています。いい景色を観て、美味しいものを食べて、ゆっくり過ごす。そんなプチ贅沢を愉しむにはピッタリの場所でした。町の人もみんなやさしくて、行けば必ずもう一度行きたくなると思います。皆さんもぜひ足を運んでみてください。
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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