この記事は日経 xTECH登録会員限定ですが、2018年3月20日22時まではどなたでもご覧いただけます。

 日本年金機構が発注した年金関連書類の入力業務委託先業者で複数の問題が発生していることが2018年3月19日までに分かった。一部報道機関は同日、この業者が契約に違反して約500万人分の入力業務を中国の業者に再委託していたと報じた。

 年金機構の広報は報道について「内容はまだ精査中で現時点では何とも言えない。ただし、この委託先業者で問題が発生し、調査を進めているところ。20日にも詳細を発表する」とコメントした。

 年金機構の説明によると、問題になっているのは2017年8月に一般競争入札で調達・委託した「扶養親族等申告書・個人番号申出書 データ入力及び画像化業務 一式」という業務。東京・豊島区の情報処理業者と見込み総額約1億8000万円で契約した。

 ところがこの委託業者の入力内容に誤りが目立ち、年金機構の業務に支障が出た。該当する申告書の内容が正しく情報システムに反映されないために、2018年2月支払い分の年金(老齢年金)にかかる所得税の源泉徴収税額に誤りが生じる自体になった。

 年金機構は2018年2月13日付で「平成30年2月の老齢年金定時支払における源泉徴収税額について」という文書を発表。一部の年金受給者の源泉徴収税額に誤りがあったことを認め、後日調整することを説明したうえで謝罪した。この委託業者の入力内容については全件を点検・精査するとしていた。

 日経コンピュータはこの情報処理業者に19日21時30分、電話で問い合わせたが応答はなかった。