海に映える「紫雲出山」の桜は必見!春満開の瀬戸内で花巡り
2018.03.17
高台から見晴らす眼下に広がるのは、薄紅色の桜のじゅうたんと、島々が点在する風光明媚な瀬戸内海。こんな絶景のお花見が楽しめるのが、香川県西部の三豊市にある「紫雲出山(しうでやま)」です。温暖なこの地域では、他にもマーガレットや藤などの、フォトジェニックなお花見ポイントが盛りだくさん。のどかな瀬戸内の地へ、春の花巡りに出かけてみませんか?
(写真提供:三豊市観光交流局)
四国屈指の桜の名所、「紫雲出山」の頂上へ!
香川県西部、通称「西讃(せいさん)」エリアにある三豊市は、温暖な気候に恵まれ、花の名所が豊富なところ。中でも、瀬戸内海に細長く突き出した荘内(しょうない)半島には、四国随一との呼び声も高いお花見スポットがあります。
▲薄紅色のソメイヨシノや、明るい赤紫色の陽光桜が咲き乱れる紫雲出山山頂(写真提供:三豊市観光交流局)
それが、標高352mの紫雲出山。優雅な響きの名前は、浦島伝説が息づく荘内半島ならでは。竜宮城から帰ってきた浦島太郎が玉手箱を開けた時に出た白煙が、紫の雲になってたなびいたことから名付けられたと言われているんです。
それが、標高352mの紫雲出山。優雅な響きの名前は、浦島伝説が息づく荘内半島ならでは。竜宮城から帰ってきた浦島太郎が玉手箱を開けた時に出た白煙が、紫の雲になってたなびいたことから名付けられたと言われているんです。
▲山頂駐車場にある案内図。ここから絶景が望める展望台までは徒歩で10分ほど
紫雲出山の最寄りの詫間(たくま)駅へは、高松からJR予讃(よさん)線の特急または快速で約40分。そこからはバスやタクシー利用となりますが、混雑する桜の見頃の時期は、麓の大浜漁港から山頂駐車場まで無料シャトルバスも運行。期間は3月下旬から4月上旬頃の予定ですが、桜の開花に合わせて前後するため、事前に確認してくださいね。
紫雲出山の最寄りの詫間(たくま)駅へは、高松からJR予讃(よさん)線の特急または快速で約40分。そこからはバスやタクシー利用となりますが、混雑する桜の見頃の時期は、麓の大浜漁港から山頂駐車場まで無料シャトルバスも運行。期間は3月下旬から4月上旬頃の予定ですが、桜の開花に合わせて前後するため、事前に確認してくださいね。
▲展望台への遊歩道は急な上り坂。登り口には竹の杖も用意されている
約1,000本もの桜が咲き誇る紫雲出山。ソメイヨシノを始め、山桜や陽光桜が山頂を彩り、彼方に瀬戸内海を望む風景は、近年、Yahoo! JAPANの「日本が誇る桜の絶景15選」にも選ばれたほどの、フォトジェニックな眺めとして知られます。
約1,000本もの桜が咲き誇る紫雲出山。ソメイヨシノを始め、山桜や陽光桜が山頂を彩り、彼方に瀬戸内海を望む風景は、近年、Yahoo! JAPANの「日本が誇る桜の絶景15選」にも選ばれたほどの、フォトジェニックな眺めとして知られます。
▲荘内半島の先端と瀬戸内海を見晴らす高台に立つ展望台。春には辺り一面が満開の桜となる
山頂駐車場から遊歩道を上って展望台に着くと、息を呑むようなパノラマが広がっています。瀬戸内海の風景は“多島美”と称えられますが、その美しいグラデーションは、まさに多くの島々が織り成す美しさの賜物。天候が良ければ、小豆島や中国地方まで見渡せるそう。
山頂駐車場から遊歩道を上って展望台に着くと、息を呑むようなパノラマが広がっています。瀬戸内海の風景は“多島美”と称えられますが、その美しいグラデーションは、まさに多くの島々が織り成す美しさの賜物。天候が良ければ、小豆島や中国地方まで見渡せるそう。
▲展望台から東方向を望む。いちばん手前が、海ほたるでも知られる粟島(あわしま)(写真提供:三豊市観光交流局)
桜は山頂の至る所に咲いていますが、とりわけ展望台正面から北方向の眺めは圧巻です。眼下に広がる桜の森と背景に望む多島美が絶妙に重なり、時折ゆったりと船が行き交う様は、見飽きることがありません。
桜は山頂の至る所に咲いていますが、とりわけ展望台正面から北方向の眺めは圧巻です。眼下に広がる桜の森と背景に望む多島美が絶妙に重なり、時折ゆったりと船が行き交う様は、見飽きることがありません。
▲桜と海の共演にうっとり。地平線付近が霞んでいる時も幻想的!いちばん手前に見えるのが六島(むしま)(写真提供:三豊市観光交流局)
「坂本龍馬ファンにも興味深い眺めだと思いますよ」と教えてくれたのは、三豊市観光交流局の榊原敏方(さかきはらとしみち)さん。
展望台正面から見える島々は、「いろは丸事件」の舞台となったところ。龍馬が率いる海援隊の乗り込んだ船「いろは丸」が、六島沖で紀州藩の船と衝突した後に宇治島沖で沈没し、大きな騒動となった事件です。幕末の歴史に思いを馳せつつのお花見も、感慨深いですね。
「坂本龍馬ファンにも興味深い眺めだと思いますよ」と教えてくれたのは、三豊市観光交流局の榊原敏方(さかきはらとしみち)さん。
展望台正面から見える島々は、「いろは丸事件」の舞台となったところ。龍馬が率いる海援隊の乗り込んだ船「いろは丸」が、六島沖で紀州藩の船と衝突した後に宇治島沖で沈没し、大きな騒動となった事件です。幕末の歴史に思いを馳せつつのお花見も、感慨深いですね。
▲山頂の東側から西南方向を望むと、伊予三島方面までアングルに入る(写真提供:三豊市観光交流局)
展望台のほかにも、風流な眺めは広場のあちこちに点在しています。気ままに散策しつつ、お気に入りスポットを見つけてのんびりしてください。
展望台のほかにも、風流な眺めは広場のあちこちに点在しています。気ままに散策しつつ、お気に入りスポットを見つけてのんびりしてください。
▲山の斜面を彩る桜も風情豊か(写真提供:三豊市観光交流局)
天候や時間によって、様々な表情を見せてくれるのも紫雲出山の桜の魅力です。
「見頃の時期は非常に混み合うため、車でいらっしゃるなら早朝が穴場ですね」と榊原さん。10時頃には山頂駐車場への道に長い行列ができてしまうそうなので、早朝以外は大浜漁港の無料駐車場に車を停めて、そこからシャトルバスを利用したほうがよさそうです。
天候や時間によって、様々な表情を見せてくれるのも紫雲出山の桜の魅力です。
「見頃の時期は非常に混み合うため、車でいらっしゃるなら早朝が穴場ですね」と榊原さん。10時頃には山頂駐車場への道に長い行列ができてしまうそうなので、早朝以外は大浜漁港の無料駐車場に車を停めて、そこからシャトルバスを利用したほうがよさそうです。
▲夜明けの時間帯には、朝霧が降りることもしばしば。桜をさらに美しく見せてくれる(写真提供:三豊市観光交流局)
「また、多島美の夕景は、“瀬戸の夕映え”と讃えられるほどの美しさ。天気がよければ、ぜひ見ていただきたいです」とのアドバイスも。
「また、多島美の夕景は、“瀬戸の夕映え”と讃えられるほどの美しさ。天気がよければ、ぜひ見ていただきたいです」とのアドバイスも。
▲空も海も桜も、夕陽に染め上げられた風景は、感動の一言!(写真提供:三豊市観光交流局)
▲限られた桜の見頃の期間でも、夕陽が美しい日は貴重(写真提供:三豊市観光交流局)
さらに榊原さんからは、意外な言葉が。「雨が降るとがっかりされるかもしれませんが、実はおすすめ。霧が降りることが多く、晴天の日では見られない幻想的な光景を見せてくれます」
さらに榊原さんからは、意外な言葉が。「雨が降るとがっかりされるかもしれませんが、実はおすすめ。霧が降りることが多く、晴天の日では見られない幻想的な光景を見せてくれます」
▲霧にけぶる桜は、まさに幽玄の美(写真提供:三豊市観光交流局)
山頂の一角には、「紫雲出山遺跡館」(9:00~17:00、12~2月は9:00~16:00、6~8月は9:00~18:00)という建物もあります。弥生時代に集落があったことを物語る出土品が展示されていて、海側は一面のガラス張り。カウンター席が設けられた喫茶コーナーがあり、パノラマビューを堪能できる特等席となっています。
山頂の一角には、「紫雲出山遺跡館」(9:00~17:00、12~2月は9:00~16:00、6~8月は9:00~18:00)という建物もあります。弥生時代に集落があったことを物語る出土品が展示されていて、海側は一面のガラス張り。カウンター席が設けられた喫茶コーナーがあり、パノラマビューを堪能できる特等席となっています。
▲粟島を始め、瀬戸内の多島美がパノラマで見渡せる喫茶コーナー(写真提供:三豊市観光交流局)
全国に桜の名所は数あれど、桜と海と島々を見晴らす光景には、そうそう出会えません。四国が誇るお花見スポットへ、ぜひ一度足を伸ばしてみてください。
紫雲出山山頂展望台
香川県三豊市詫間町乙451-1
入場自由
0875-56-5880(三豊市観光交流局)
乙女ごころをくすぐる、「フラワーパーク浦島」のマーガレット畑
荘内半島には、ほかにも見逃せない春の花の名所があります。その名も「フラワーパーク浦島」(以下、フラワーパーク)。最寄駅のJR詫間駅からは、タクシーで20分ほど。詫間湾を望む休耕田に作られた約1ヘクタールの花畑で、春はマーガレット、秋はコスモスが一面を彩ります。
実は、三豊市は日本一のマーガレットの産地なんです(香川県農政水産部調査)。平成28年度の出荷量は、なんと165万6000本。日照時間が長く冬も温暖で、土壌の排水性も良好といった栽培に適した条件が揃っていて、昭和30年頃から栽培が盛んになりました。現在はハウス栽培がほとんどですが、露地栽培のフラワーパークは、三豊の春の原風景なのだそうです。
実は、三豊市は日本一のマーガレットの産地なんです(香川県農政水産部調査)。平成28年度の出荷量は、なんと165万6000本。日照時間が長く冬も温暖で、土壌の排水性も良好といった栽培に適した条件が揃っていて、昭和30年頃から栽培が盛んになりました。現在はハウス栽培がほとんどですが、露地栽培のフラワーパークは、三豊の春の原風景なのだそうです。
▲粟島を背景にマーガレットが咲き誇る様は、絵に描いたようなお花畑!(写真提供:三豊市観光交流局)
このロマンチックな光景、思わず乙女ごころをくすぐられますよね。純白のマーガレット畑の向こうは、粟島が間近に見える瀬戸内海。4月中旬から5月下旬が開花時期で、ゴールデンウィーク頃がいちばんの見頃だそう。
このロマンチックな光景、思わず乙女ごころをくすぐられますよね。純白のマーガレット畑の向こうは、粟島が間近に見える瀬戸内海。4月中旬から5月下旬が開花時期で、ゴールデンウィーク頃がいちばんの見頃だそう。
▲畑の一部にはキンセンカも。開花時期は3月下旬から5月上旬(写真提供:三豊市観光交流局)
庄内半島の浦島太郎伝説にちなんで、市内の園児たちを対象としたイベントも開催。浦島太郎や乙姫様が、花摘みを案内してくれるそうです。
庄内半島の浦島太郎伝説にちなんで、市内の園児たちを対象としたイベントも開催。浦島太郎や乙姫様が、花摘みを案内してくれるそうです。
▲昔話から抜け出してきたような浦島太郎と園児たち(写真提供:三豊市観光交流局)
▲お花畑と乙姫様も、絵になる風景(写真提供:三豊市観光交流局)
また、一般の方対象の花摘みイベントも毎年行われています(税込300円/人)。2018年は5月13日(日)の10時から14時まで開催される予定。開花状況によって日程が変わる可能性があるので、事前の問い合わせがベターです。イベント時は混雑するため、無料の臨時駐車場が用意され、そこからフラワーパークへはシャトルバスを運行予定。参加する人は、花摘み用のハサミをお忘れなく!
また、一般の方対象の花摘みイベントも毎年行われています(税込300円/人)。2018年は5月13日(日)の10時から14時まで開催される予定。開花状況によって日程が変わる可能性があるので、事前の問い合わせがベターです。イベント時は混雑するため、無料の臨時駐車場が用意され、そこからフラワーパークへはシャトルバスを運行予定。参加する人は、花摘み用のハサミをお忘れなく!
▲大勢の来客で賑わう花摘みイベント。童心に返って楽しめそう(写真提供:三豊市観光交流局)
ここフラワーパークも、日中はもちろん、朝夕の時間帯が素晴らしい眺め。朝焼けに染まる空・海・島とマーガレットは、ため息ものの美しさです。
ここフラワーパークも、日中はもちろん、朝夕の時間帯が素晴らしい眺め。朝焼けに染まる空・海・島とマーガレットは、ため息ものの美しさです。
▲朝焼けの淡い紅色に染まるフラワーパーク(写真提供:三豊市観光交流局)
フラワーパーク浦島
香川県三豊市詫間町積528-1
[開園時間]日の出から日没まで
[料金]無料
[定休日]なし
0875-83-3639(花と浦島イベント実行委員会)
紫のシャワーのように降り注ぐ、「萬福寺」の藤の花
マーガレットと同じく、ゴールデンウィーク前後に見頃を迎えるのが藤の花。見事な藤棚で知られるのが、三豊市の内陸部、財田(さいた)川沿いに佇む「萬福寺」です。JRか琴電の琴平駅から、車で約20分。タクシーで向かうのが便利です。
▲お寺の入口近くには、「藤の花の寺」と書かれた石札が
大同3(808)年に開かれたといわれ、ご本尊は砥石観世音菩薩。さぬき三十三観音霊場第13番にあたる、由緒あるお寺です。
大同3(808)年に開かれたといわれ、ご本尊は砥石観世音菩薩。さぬき三十三観音霊場第13番にあたる、由緒あるお寺です。
▲山門をくぐると、正面に見えるのが本堂
山門から境内に入ると、右手に立派な藤棚が!幅約25m、奥行約4mもの大きさで、例年4月下旬から5月上旬にかけて、藤の花が満開となります。地面に向かって降り注ぐように咲く姿は、まるで紫のシャワーのような華やかさ。
山門から境内に入ると、右手に立派な藤棚が!幅約25m、奥行約4mもの大きさで、例年4月下旬から5月上旬にかけて、藤の花が満開となります。地面に向かって降り注ぐように咲く姿は、まるで紫のシャワーのような華やかさ。
▲大きな藤棚の下には所々ベンチが置かれており、ゆっくり鑑賞できる(写真提供:三豊市観光交流局)
「昭和39(1964)年頃に藤愛好家の方から寄進されたもので、数種類の木がひとつの藤棚を形づくっています」と語るのは、住職の金山(かなやま)俊弘さん。見れば、根元から何本もの幹が絡み合って、藤棚へと枝を伸ばしています。
迫力たっぷりなのは、花房が1m近くも伸びる「長藤(ながふじ)」。風に揺れる様は、紫のカーテンのようでもあります。
「昭和39(1964)年頃に藤愛好家の方から寄進されたもので、数種類の木がひとつの藤棚を形づくっています」と語るのは、住職の金山(かなやま)俊弘さん。見れば、根元から何本もの幹が絡み合って、藤棚へと枝を伸ばしています。
迫力たっぷりなのは、花房が1m近くも伸びる「長藤(ながふじ)」。風に揺れる様は、紫のカーテンのようでもあります。
▲藤棚の下から見上げると、長藤の迫力はひとしお(写真提供:三豊市観光交流局)
コロンとした房が愛らしい「八重黒龍(やえこくりゅう)」は、どことなくブドウを連想させます。
コロンとした房が愛らしい「八重黒龍(やえこくりゅう)」は、どことなくブドウを連想させます。
▲濃い紫色が美しい八重黒龍(写真提供:三豊市観光交流局)
他にも、「花美短(かぴたん)」という短い房の種類もあり、そちらは白や桃色の花を咲かせるそう。お寺の境内というロケーションも相まって、しっとり落ち着いた雰囲気の中で、藤の観賞が楽しめます。
他にも、「花美短(かぴたん)」という短い房の種類もあり、そちらは白や桃色の花を咲かせるそう。お寺の境内というロケーションも相まって、しっとり落ち着いた雰囲気の中で、藤の観賞が楽しめます。
▲お堂を背景に咲く藤は、情緒たっぷり(写真提供:三豊市観光交流局)
▲近所の園児もお花見に(写真提供:三豊市観光交流局)
萬福寺
香川県三豊市財田町財田上3519
参拝自由
0875-67-2324
いかがでしたか?どこも絶好のロケーションなので、きっと忘れられないお花見になるはず。花に包まれた三豊の春を、存分に満喫しに来てください!
puffin
東京でのライター生活を経て、現在は縁あって香川県在住。四国のおおらかな魅力と豊かな食文化に触発される日々。取材で出会うモノ・コトの根幹に流れる、人々の思いを伝えたいと願っている。
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