ロシアは神経剤「ノビチョク」を備蓄=英ジョンソン外相

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今月4日に英南西部ソールズベリーで、ロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と娘を殺害しようと神経剤「ノビチョク」が使われたとされる事件をめぐり、英国のボリス・ジョンソン外相は18日、ロシアは過去10年間にノビチョクを製造、備蓄してきたと語った。

BBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演したジョンソン外相は、「過去10年のうちにロシアが暗殺のために神経剤を使う方法を調べてきただけでなく、ノビチョクを製造、備蓄してきた証拠を我々はつかんでいる」と語った。

ジョンソン外相は、ロシアの事件への反応は、「無実だと考える国がするような反応ではない」と非難。さらに、ウィルトシャー州の事件現場に近い秘密兵器研究所ポートン・ダウンにあった神経剤が使われたのではないかというロシアのウラジーミル・チジョフ駐欧州連合(EU)大使の見方を否定した。

スクリパリ氏と娘のユリアさんは、ソールズベリー中心部にあるベンチで意識不明となっている状態で発見された。今も病院で手当てを受ける2人の容態は、依然として重篤だという。

テリーザ・メイ英首相は、殺人未遂事件の犯人はロシアだと述べている

18日に大統領選が実施されたロシアでは、ウラジーミル・プーチン大統領が、ロシアが事件の黒幕だとする意見を否定した一方で、英国と協力する準備があると述べている。

プーチン氏は記者団に対し、「選挙と(サッカーの)ワールドカップを控えた時期に、あのような攻撃をすることが、ロシアの誰にとっても完全にばかげたことで、妄言でナンセンスだということは、理性のある人物だったら誰でも分かるだろう」と語った。

19日にロンドンに到着する予定の化学兵器禁止機関(OPCW)の専門家らは、神経剤サンプルの調査を行う予定となっている。英外務省は、サンプルの分析結果が出るまでには少なくとも2週間かかると述べた。

チジョフ大使
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チジョフEU大使も「アンドリュー・マー・ショー」のインタビューを受け、スクリパリ氏らの殺人未遂にロシアは全くかかわっていないと語った。

同大使は、ロシアはノビチョクを備蓄していないとし、秘密兵器研究所のポートン・ダウンがソールズベリーから約12キロしか離れていないと指摘した。

ソールズベリーでノビチョクが使用された理由を問われたチジョフ大使は、「神経剤か何かを保有しているのなら、あなた方の研究所で持っている一部のサンプルで試験するだろう。そして今は、ポートン・ダウンが英国で最も大きな軍事施設で、化学兵器の研究をしてきたと、私たちは皆知っている」と語った。

攻撃に使われた神経剤がポートン・ダウンのものだと主張しているのかと、さらに問われると同大使は、「分からない。何が使われたのかを示す証拠は私の手元に全くない」と答えた。

チジョフ大使は、神経剤を開発したと主張する多くの科学者は「ロシアから追い出され、今は英国に住んでいる」と述べたが、ソビエト連邦の崩壊後に神経剤の備蓄が国外に流失したことはないとした。さらに、「神経剤の備蓄はどんなものにしろロシアから出ていない」と付け加えた。

(英語記事 Spy poisoning: Russia stockpiling nerve agent, says Johnson

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