うーん…、フィンジア。この育毛剤は語るのが非常に難しい。
「宇宙の果てには何があるのか?」という質問と
「フィンジアには効果があるのか?」という質問はとてもよく似ている。
なぜなら、どちらも現段階で判明している情報だけでは、はっきり答えが出せないからだ。
ただ、少なくともそのほかの医薬部外品の育毛剤より、フィンジアの方がマシな可能性がある。もちろん「可能性がある」というだけで、実際まったく効果がない可能性だってある。だから、語るのが非常に難しいのである。
今回は「フィンジア 口コミ」というキーワードでgoogle検索をかけた結果表示された上位のページを紹介していく形で、フィンジアという育毛剤の効果を検証していこうと思う。そして、調べた口コミから「コレたぶん嘘じゃないな」と部分的に感じた口コミもあるので解説していく。
最近よく見る育毛剤フィンジアとは
こんにちは、育毛ライター、毛髪診断士のサトルです。
こんな仕事をしているからか、僕が自分のパソコンでネットを見ると、表示される広告は育毛剤だらけである。ターゲットに合わせて表示される広告を変える「グーグルアドセンス広告」がすべて育毛剤なのだ。おそらくgoogle先生の僕に対する評価は「毎日薄毛や育毛剤の情報を調べているコンプレックスの塊」だろう。
広告に金かけまくってるフィンジア
一昔前までは、チャップアップなどの医薬部外品関係の育毛剤の広告が目立っていたが、ここ最近やたらとフィンジアの広告が目立つ。スマホに出てくる広告も同じで、電車の乗り換え検索をしていたら、やたらとK-1ワールドマックス元チャンピオンの魔裟斗(フィンジアの広告イメージキャラ)が出てきて、間違えてタップしてしまう。これらの事から、フィンジアは「宣伝広告費に相当な額を突っ込んでいる育毛剤」ということが分かるだろう。これはつまり「アフィリエイトの報酬額も高い」ということである。フィンジアの報酬額が高いということは、アフィリエイターは必死にフィンジアを売ろうとするから、フィンジアに関する口コミに本当のものがほとんどなくなるのは当然だろう。この仕組みの詳細はこちらの記事を参考にしてもらいたい。
化粧品育毛剤の可能性
とはいえ、上記の記事で批判している育毛剤は主に「医薬部外品」に該当する商品である。
フィンジアは医薬部外品ではなく「化粧品」という商品ジャンルで販売されている。
詳しい事は省くが、医薬部外品として販売するためには厚生労働省に認可申請をしなければならず、そのためには決められた成分を決められた量より少なく配合しなければならない。だから医薬部外品ジャンルの育毛剤の配合成分は似たり寄ったりになるのだ。
化粧品の場合はそのような成分規制はないので、厚生労働省が認可していない最新の育毛成分も配合することができる。フィンジアでいえばキャピキシルやピディオキシジルがそれにあたる。フィンジアがよく売れているのはその2種類の成分に可能性を感じた購入者がリピート購入しているからだろう。成分の開発メーカーの自前実験ではあるが、効果も証明されている。僕が他の育毛剤同様に「効果がないクソ育毛剤だ」と斬って捨てられないのも実はそこに理由がある。
ただし、「本当に効くなら臨床実験やれよ」という声もある。確かに、「ミノキシジルとフィンジアの比較臨床実験」などを行い、フィンジアの優位性がはっきりと証明されれば、育毛業界はひっくり返るだろう。リアップの持つ巨大な売り上げをそのままもらえるかもしれないのだ。それをしないということは、まあ、ねえ、そういうことでしょう。
ゲートアクセス理論は全然理論的ではないトンデモ理論
フィンジアで一番のツッコミどころは、このゲートアクセス理論だ。名前はかっこいいが、それだけである。
カプサイシンの力で汗を出し、毛穴を広げ、そこから成分を浸透させるという成分設計のようだが、これは「空想科学読本」に書かれていてもおかしくないほどのトンデモ理論である。たぶんこのアイデアを考案した人は、科学や生物学の知識などはカケラもなく、キムチ鍋でも食べて汗をかいている時に「これだ!」と思いついたのだろう。
まず、第一におかしな部分は「カプサイシンを塗っても汗は出ない」ということ。辛いものを食べて汗が出るのは、「味覚性発汗」といって、舌が辛さを感じることが原因である。カプサイシンじゃなくても、辛いものや酸っぱいものを食べれば汗は出る。舌への刺激と発汗が関係しているということだ。ゲートアクセス理論を使うなら、「育毛剤を塗る直前に激辛ラーメンを食べましょう」と、1ヵ月分のラーメンとセットで販売したほうがまだ理論的である。
第二におかしな部分は、「汗が出ても育毛剤は浸透しない」ということである。汗をかいた時に広がるのは汗腺である。育毛剤が毛根に浸透する仕組みは、汗腺からの吸収ではなく毛穴から吸収である。もし大量に汗をかいた後に育毛剤をつけたとしても、毛穴は別に開いていない。ただ意味もなく汗腺が開いているだけの状態になる。むしろ、汗が育毛剤の成分を弾いてしまうのではないだろうか?
ゲートアクセス理論にもとづいた「頭皮にカプサイシンを塗りつける」という行為は、まったく意味の分からない馬鹿げた行為である。
販売会社ユーピーエスが信用できない
フィンジアを販売しているのは、九州の福岡にある「株式会社ユーピーエス」という会社だ。
この会社、育毛剤としてフィンジアだけではなく「薬用プランテル」という商品も販売している。このプランテルという商品、「M字ハゲ専用育毛剤」を謳って販売されているが、なかなかのクセモノである。まったく同じ成分の「頭頂部ハゲ専用育毛剤」が過去に販売されていたのだ。「専用」ってなんだ!?
詳しくはこちらの記事を参考にして欲しい。
全く同じ商品に対して全く別の効果を謳って売るというのは、正直どうなんだろうと感じる。「それでも売れればいいじゃん」と株式会社ユーピーエスが考えているなら、フィンジアも信頼できない。
・フィンジアはアフィリエイトの報酬単価が高いので、口コミに嘘が多くなる
・化粧品ジャンルで新成分を配合しているので、医薬部外品よりは期待できる
・ゲートアクセス理論は完全に破綻している
・販売会社は実績を考えると金儲け主義であまり信頼できない
「フィンジア 口コミ」1位:育毛剤サイトのパラドックス
「フィンジア 口コミ」で1位に輝いたのは、育毛剤の総合情報サイト「HageNai」だ。育毛剤の情報を検索していると、「薄毛食堂」などと同様、よく見かけるサイトである。
記事のタイトルは
フィンジアの効果がハイリターンで笑う!2chの口コミ・評判も収集
というもの。
フィンジアの効果を褒めちぎる口コミ
とにかくこのサイトではフィンジアの効果の高さを冒頭から褒めまくっている。過去にチャプアップとフィンジアを併用していたサイトの管理人も、朝と夜両方フィンジアにしたほどだという。
先ほど無意味であると伝えたゲートアクセス理論だが、この管理人は「頭皮がやわらかくなった」という感想を持っている。
配合成分の有効性などについて解説した後、後半はライバルとなる様々な育毛剤との比較をしているが、すべての勝負でフィンジアの勝利。そんなにフィンジア売りたいか?
育毛剤サイトのパラドックス
この「HageNai」などの育毛剤サイトでよくある矛盾がある。僕はこれを「育毛剤サイトのパラドックス」と呼んでいる。
そもそも、健全な育毛サイトとはどのようものなのか考えて欲しい。100%嘘なく、真実だけを素直に書き、口コミも正直に書き、そしてしっかり結果が出る(管理人の髪の毛が生えている)というものだろう。しかし、考えて欲しい。もし、「この育毛剤に出会って髪の毛が生えた!」という商品があれば、後はただその商品を淡々と使い続けていけば、少なくともそのサイトの管理人はもう薄げで悩まずに済むのではないだろうか。そして、アフィリエイトだったとしても「私はこの育毛剤で薄毛を克服しました」と報告してくれれば、信じた人はその育毛剤を買うかもしれない。
しかし、複数の育毛剤を紹介しているサイトは、様々な育毛剤を口コミ付きで紹介し、新製品が発表されればすぐにその育毛剤を使用したレビュー記事を書く。
ヘアサイクルから考えて、そんな「使ってすぐに効果を実感!」なんて、ナイナイ。嘘である。どんなに短くても3ヶ月から半年は育毛剤の効果を実感するまでの期間が必要だ。しかし「2017年の10月~1018年の3月までの半年間はこの育毛剤しか使いません!」という育毛サイトは、全くと言っていいほどない。ガンガン色んな商品を使っては、レビュー・口コミを書き、「おすすめランキング」なるものも作ったりしている。
信じれるかそんなもん!
↑こんなに使ってそれぞれの効果が分かるわけない。
そのペースで複数の育毛剤を使っていたら、万が一髪の毛が生えたとしても「どれで生えたのかよく分からん」という状態になるはずである。それなのに「この育毛剤は効果が高かったのでオススメ!」「この育毛剤とこの育毛剤ならこっちの方がオススメ!」などと、平気で書く。書けるはずがないのに!これが育毛剤サイトのパラドックスである。
報酬によって口コミでプッシュする育毛剤を変えている?
不思議な事に、時期によっておすすめされる育毛剤は変わるのだが、その他の育毛剤サイトも、同じようにおすすめの育毛剤が変わっていく。その変わり方が、ほとんど一緒なのである。
昔はチャップアップを「この育毛剤最高だぜ!」と紹介していたサイトが、ある時期から「イクオスっていう超ヤバイ育毛剤があって、しかもリニューアルされたんだぜ!」とプッシュする商品を変更し、さらに最近になって「やっぱ色々試したけど、フィンジアの効果が一番スゲーよ!」ってなってる。みんな。
僕はアフィリエイトをしていないので、はっきりとした事は分からないが、このチャプアップ→イクオス→フィンジアという流れは、おそらくアフィリエイトの報酬単価の変動が影響しているはずだ。そうでなければこのような分かりやすい全体の動きは説明がつかない。ほとんどの育毛剤サイトは「稼げる商品で稼いどけ!」という考え方で育毛剤をおすすめしているのだろう。まあここに真実が書かれていることはほぼ無いだろう。
・「フィンジア 口コミ」1位のサイトはアフィリサイトなので信じてはいけない
・育毛剤サイト特有のパラドックスが発生している
「フィンジア 口コミ」2位:こいつは本物かもしれない口コミだが…。
「フィンジア 口コミ」で2位に来たサイトは「フィンジアに裏切られた…【辛口】育毛効果を徹底レビュー!!」である。このタイトルを見たときに、この口コミは本物かもしれない、と感じたが、どうもおかしい。
記事のタイトルは
フィンジアで本当に毛は生えるのか?徹底的に検証してみた
である。
逆の意味で裏切られたという事だった
このサイトはフィンジアを販売するためだけに作られたサイトである。この目的とサイトタイトルを見比べると「売りたいのに裏切られたって、どういうこと?」と感じるだろう。これは簡単なカラクリだ。元々この人はフィンジアに期待をしていなかったのである。「どうせ効果がないだろうと思って使ってみたら、良い意味で裏切られて効果があった」ということなのである。考えたな。
本当の口コミも少しは混じっているかも?
ただし、このサイトに書かれていることはちょくちょくリアルな感じがする。というのも、一般的な育毛剤紹介サイトのように「フィンジア様万歳!フィンジア様万歳!」「フィンジア様が救いの手を差し伸べてくれたのです!」という盲信的な感じではなく、冒頭からフィンジアに対してけっこうシビアな評価をしているからだ。
30日間の返金保証についても、「意味が無い」「髪が生える証拠にはならない」と書いている。
そして販売元のユーピーエスに電話して、ちょっとメーカー側からすると痛い部分の質問をしたりしている。また、ボトルの残量が少なくなってきた時の使いにくさという、「本当に使ってる人ならではの指摘」もある。
さらに、最もこの口コミの信憑性が高いと感じたのは「プロペシアと併用している」と書かれていた部分だ。もともと「プロペシアとミノキシジル」という黄金コンビで薄毛治療をしていたところを、ミノキ(カークランド)をフィンジアと入れ替えてみたらしい。置き換えダイエットならぬ置き換えスカルプケアである。正直、プロペシアと併用してしまうと、その他の育毛剤に何を使用したかはあまり関係なく、プロペシアの効果で生えただけじゃないの?という気もしなくもないが、その分信頼できる気がしなくもない。
「髪の量がキープできればいい」程度に考えていたら、良い意味で裏切られて、髪にコシやボリュームが出て、抜け毛の量が減ったというのである。
そういった意味では「この口コミが100%ニセモノだ!」と言い切るのは難しい。しかし、いくつか矛盾もある。
なぜカークランド(ミノキシジル)をやめたのか?
このサイトの管理人は、もともとプロペシアとカークランドというセットで治療をしていた。しかし、知り合いに無料でフィンジアをもらったから試しに使ってみた、という設定である。使い始めた段階ではフィンジアに効果があると、本人も思っていない。ここに矛盾がある。カークランドで髪の毛が生えてるなら、変えなくていいじゃん!ということだ。変に変えて、薄毛が進行してしまったら元も子もない。しかも、最初の1本が無料だったとしても、2本目以降はお金がかかるわけだ。しかもカークランドの4倍近い金額である。これだけコストパフォーマンスを悪くしてまでフィンジアを使い続けなければならなかった理由は、アフィリエイト以外にあるのだろうか。いや、ない。つまり、この口コミも、部分的に信頼する事はできるかもしれないが、結局は売ろうとするサイトなので、あまり信頼しすぎないほうがよさそうだ。
どんな方法で抜け毛の本数を数えたのか?
この記事の中で、1日の抜け毛の本数に言及しているパートがある。ここはきっと誰が読んでもおかしいと思うだろう。簡単に言うと
・カークランド使用時は、1日に平均120本、多い日で200本程度の抜け毛があった
・フィンジアを使用してからは1日に多い日でも90本程度の抜け毛になった
ということらしい。
健康な人の頭皮の状態であれば1日あたりの抜け毛の本数は70本~100本なので、正常な範囲に戻ったといえるかもしれない。…などと騙されてはいけない。
1日あたりの抜け毛の量を、どのようにして計測するというのだろう。人は普段生活している中でもどんどん髪の毛が抜けていく。シャンプーの後の排水溝を見れば済むという話ではない。実際、具体的な抜け毛を数える方法について、一切の記述がないことからも、この部分はフィンジアを売るために作った嘘なのだなという予測が立つ。「フィンジアを使い出して3ヶ月目の抜け毛の本数は76本」とか、ウソウソ。
・「フィンジア 口コミ」2位は部分的に信頼できそうな口コミ
・しかし結局アフィリエイト目的なので、どこまでが本当の口コミかは分からない
・少なくとも「ここは嘘だろう」というポイントはある
「フィンジア 口コミ」3位:フィンジアを一切褒めないリアル口コミサイト
このサイトのフィンジアの口コミはリアルだ。サイトタイトルは「フィンジアは効果なし!?誰も語らない口コミと効果の事実」そして記事のタイトルもページタイトルと同じものである。
けなしまくって売る?
このサイトは、2位のサイトよりもさらに激しくフィンジアを叩いている。一切褒めない。どこを切り取ってもフィンジアの悪い部分しか書いていない。なのになぜかフィンジアの公式サイトに通じるアフィリエイトリンクが貼ってある。
最近は「商品をけなしまくることで上位表示させる」というテクニックがあるという話を聞いた事がある。不思議な事に、商品をけなしているのに、そのリンクをクリックして購入する人がけっこういるらしいのである。
多くの人が検索するキーワードで上位に表示され、アクセスを集めさえすれば、記事の内容がどんなものだろうと一定の割合で報酬は発生するという奇妙な現象である。このサイトもそれを狙っている。
導入文から「フィンジアは効果がないので買わないほうがいいです」というコメント。いっそ気持ちいい。
ただ、文章の流れに若干の胡散臭さを感じてしまう。というのも、「フィンジアの口コミの評判がいいから買ってみた」→「全然効果がなかった」という流れの記事なのだが、購入した段階のセンテンスの最後に書かれていたフレーズが「この時、私は知る由もなかったのです」である。昭和のドラマの独白か!
フィンジアをけなしすぎでは?
このページで、フィンジアはとにかく叩かれまくっている。「そんなにひどかったっけ?」と思うほどだ。僕は育毛剤ライターをしているので、よくクライアントからサンプル商品として育毛剤をもらう。その中にフィンジアがあるケースも多く、実際に何度か使用したことがあるが、サラサラだったと思う。しかし、このサイトでは「頭皮も手もベタベタになって使い心地が悪い」と書かれている。まあこのへんは人によって基準が違うから分からない、と考えて続きを読んでいると、「鼻にツンとくる匂い」「10ヶ月使用して効果が得られなかった」という結論じみた口コミまであった。僕の記憶ではそんなにツンとするような匂いではなかったような気がする。なんだか「フィンジアをけなすポイントを無理矢理作って書いた」という感じがしないことも無い。
ただし、後半の「フィンジア使うぐらいなら医薬品のリアップ使っとけ」という結論は僕も賛成である。これは単にアフィリエイトではなく、ある程度育毛の知識を持った人が、真実を書いていると考えていいだろう。その意味では、この記事も部分的には真実が書いてあるといえるだろう。
・「フィンジア 口コミ」3位はフィンジアをけなしまくっている
・けなしてクリックさせ、順位を上げるSEO対策か?
・ミノキシジル使ったほうがいいという結論は正論
フィンジアの育毛効果は藪の中
ステマ、自演、などのいくつもの要素があるため、フィンジアの口コミもなかなか正しそうなものが見つからない。しかし、「フィンジア 口コミ」という検索ワードで調べて出てきた上位サイトのうちのいくつかは、部分的に信頼できるような情報も含まれていた。これは、フィンジアの発売が後発であり、通常のSEO対策では効果が出にくいので、やり方が変わったというだけのことなのかもしれない。100%信頼できる情報がない以上、フィンジアの効果についても口コミから判断することは非常に難しい。
ただ、確実にいえるのは、高いお金かけて「生えるかもしれない」フィンジア買うなら、4分の1の金額で「確実に生える」カークランド買ったほうが効果は期待できるということである。