こんにちは。にゃんべえです。
今回は今流行のマスク「花粉を水に変えるマスク」の原理について解説します。
本職の化学の知識を活かして調べてみました。
花粉を水に変えるマスクとは…
今は花粉症の真っ最中ですね。街を見渡してもみんなマスクをしています。
そんな中DR.C医薬株式会社様が開発されたのがこのマスクです。
【DR.C医薬】+6花粉を水に変えるマスク ふつうサイズ【花粉ピーク対策 分散力ストロング(+6)】[ハイドロ銀チタン 日本製 くもり止め ウイルス 細菌 PM2.5 黄砂]
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花粉を水に変えるマスクです。テレビなどでCMしていますよね。
「花粉を水に変えるマスク」について
まずはこのマスクの広告で書れていたことについて書きます。
①花粉やウイルスを自動で分解するため、繰り返し使えます。
②通常のマスクよりも花粉症の症状を抑えることが出来ます。
どうですか?たこれだけ聞くと良さそうでしょ?ただ高いだけじゃないんです。
花粉を水に変えるマスクの原理 ①マスクの機能
花粉を水に分解するとか嘘でしょう?と思っているあなた、いますよね?
僕もそう思っていました。なので、本職のスキルを使ってキチンと調べました。どうやら特許があるようです。
特許3697608に光触媒チタンアパタイトという物質について特許がありましたので読みました。(ちなみに2001年の特許です。)
その30ページあった特許の内容を要約していきます。
その前にまずはマスクの機能についての説明です。
通常のマスクは「花粉をフィルターとしてブロック」します。つまりは下の図のような状態です。
左から来た花粉をマスクが遮断をします。まあ当たり前の原理ですよね。
また、通常のマスクでも呼吸をしているため、マスクの上下部分のフィットしていない隙間からは体の中に多少花粉が吸い込ます。(これは防ぎようがないです。)
しかし、外に出てマスクを使っているいると時間がたつにつれて、マスクの表面に花粉が付着して増えていきます。
そして、付着している部分の花粉も上下の部分等から吸い込んでしまうため花粉を完全に除去することができず、体内に入っていく花粉の量が増えてしまうのです。
逆をいえば、マスクに付着していく花粉さえなくしてしまえば、体内に入る花粉の量は大幅に減らせるわけです。
ちなみにスギ花粉の大きさは直径が20μmなのです。目に見えないほど小さいので花粉がマスクにどれくらい付着しているのかは目では判別できません。
(20μmは、1cmの500分1の大きさで目では見えません。ちなみに花粉はピンポン玉の2,000分1の大きさになります。非常に小さいですね。)
外に出てマスクを使っていると、目では見えませんが、マスクの表面に花粉が増えていくということになります。
花粉を吸い込むことで、身体の中でのアレルギー反応を起こします。そのため、花粉を取り込む量が多ければ多いほど花粉症の症状が強く出ます。
昼間は花粉を多く吸い込んでもそれほど影響がでません。それは日中は体が活発的に動く時間だからです。
しかし、身体の活性が落ちてくる寝る前などは、昼間に吸い込んだ花粉の量によって大きく花粉症の症状がでるため、のどが痛くなったり、目がかゆくて寝れないということになります。
しかし、分解する機能を持ったマスクでは吸着した花粉を分解するため身体の中に花粉が取り込まれる量が大幅に減ります。
そのため花粉症の症状が出にくくなります。
※ここからは先に出てくる難しい化学の話は青字で書きますので、興味がなければ青字は読み飛ばしてください。
花粉を水に変えるマスクの原理 ②カルシウムヒドロキシアパタイトの機能
花粉を分解する成分は主に下の二種類で構成されています。
〇カルシウムヒドロキシアパタイト【化学構造は(Ca10(PO4)6(OH)2】
○酸化チタン【化学構造はTi2】
この2種類の成分によって花粉を水と二酸化炭素に分解しているようです。
水ってどこから出てくるんだ?って思うかもしれません。その水は花粉の分子が分解すると水や二酸化炭素になると考えられています。(詳細は後述)
マスク表面に付着した花粉は、繊維中に含まれるカルシウムヒドロキシアパタイトに付着します。カルシウムアパタイトには花粉を吸着できる特性があるのです。
(カルシウムヒドロキシアパタイトは化学的な粘土ど呼ばれる材料です。この粘土の表面は負または正の電気的エネルギーを持っているので、反対符号の持つ陽イオンと陰イオンを吸着します。そのため花粉を吸着する性能があるようです。)
花粉を水に変えるマスクの原理 ③酸化チタンの原理
おそらくAg(銀)は酸化チタンの補助的な役割だと考えられます。銀って書いてあるとカッコいいけど、メインの役割は酸化チタンにあります。
非常に簡単に説明すると、酸化チタンが太陽光などの光を吸収してエネルギーを蓄えます。そのエネルギーによって花粉などのウイルスを破壊してくれるのです。
<詳しい原理>
要約すると酸化チタンの光触媒反応の説明です。
酸化チタンが光を吸収するとエネルギーを蓄えます。そのエネルギーの高まりによって、「活性酸素」や「ヒドロキシラジカル」といった物質ができます。それが花粉などのタンパク質分子と反応して、酸化還元反応を起こし、タンパク質を分解していきます。
マスクでの吸着と分解について考えてみましたが、自然光の光の強さから考えておそらく全ての花粉を水に変えている訳ではないです。分解速度から考えても花粉がマスクを通る瞬間に分解しているということは絶対にないです。そんなにはやく化学反応は進みません。
そのためマスクに吸着している花粉の一部を分解しているはずです。また、カルシウムヒドロキシアパタイトで吸着しているとはいえ、全ての花粉が繊維中に含まれる酸化チタンと接触している訳ではないと考えられます。繊維中に含まれる酸化チタンと接触をしていない部分の花粉は分解できません。
なので花粉の一部(もしくは大部分)を分解し、人体に影響のない程度まで抑制している技術と考えた方がよさそうです。(ただし、実際にどの程度花粉を分解しているかは不明)
また、酸化チタンを使った製品は昔からあります。化学業界の中では光触媒といえば酸化チタンと言われるほど有名なのです。
同じ酸化チタンの技術として実用化しているものは、空気清浄機や塗料などです。どちらも空気中の悪臭などのいらないのものを分解してくれます。ここは信頼しても良い技術です。
なので酸化チタンに関してはキチンと効果のあるのです。ですが、銀を加えることで急激に酸化チタンの効果が上がるというのは初めて聞きました。
そこは謎ですし、もしそれが証明されているならば学術論文が出ていても良いと思うのですがそれは見当たりませんでした。効果の検証の実験結果を見ていないので銀の効果がどれほどなのかはわからないので議論するのは控えておきます。
もし文献があればだれか教えてください。あとは繊維に含有されている酸化チタンと銀の含有量と分解速度に関するデータを見れればどのくらい実用性があるか解説できるんですが、どこを調べてもそこまで詳しく書いてないんですよねー。
つまり今まであった技術の応用技術の製品なのです。
でも、銀の効果をキチンと証明している訳ではないので、酸化チタン入りマスクだったら他のでも大丈夫だよね。
まとめ
難しそうな説明をしてしまいましたが、酸化チタンはキチンとした技術で凄いんだよってことを言いたいわけです。
また、このマスクに効果があったとしても、キチンとマスクを装着しないで空気中から直接吸い込んでしまっている花粉に関しては防げません。
また、この記事を作成するにあたって下の記事を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。
この記事が何かの参考になっていれば嬉しいです。
ではまたー。
<加筆修正>
ご指摘を頂いたので加筆修正を行いました。
〇花粉を分解する論文もエビデンスもないとの指摘を頂いたので、参考にした特許文献を見直しました。
参考にしたのは「DR.C医薬株式会社様」ではなく、「富士通様」の特許になります。(特許3697608)
この文献ではチタンを使って、有機物の分解の検討を行っていましたが、対象は花粉ではありませんでした。アセトアルデヒドとよばれる物質でした。失礼しました。
(ちなみにアセトアルデヒドは分解されていました。)
また酸化チタンがタンパク質などの有機物を分解するには強い光が必要となります。そのため、通常の自然光で、分解速度がどの程度の速度なのかはやはり疑問が残ります。
なので、実際に花粉が分解されるのか、分解されるとしたらそれはどの程度の量なのか(花粉を50%分解できるのか、それとも0.001%程度しか分解できないのか)、また分解できるとすればどの程度の時間で分解できるのかは不明です。
実験して検証すればわかると思うんですが、ここに関してはデータが見つかりませんでした。
また銀の効果については、やはり現時点では不明なままです。
〇花粉を分解しているのならば、顏も溶けるのではないか。
酸化チタンによる分解は、酸化チタンに光を当てたると出てくる「スーパーオキシドアニオン」と「ヒドロキシルラジカル」が有機物と反応していると考えられています。
これらの物質によって、エネルギー効率は悪いですが、酸化還元作用によってタンパク質の分解を行うことは理論上だと考えられます。しかし、実際に行うには大量の強い光や時間が必要だと考えられるのは上に述べた通りです。
ご指摘の頂いた通り、タンパク質を分解できるなら顔を溶かせるというのは、その通りだと思います。
顏の皮膚が分解されていないと考えると、実際のところは反応速度は遅くほとんど花粉は分解されていないと思います。
(この問題自体は、マスク自体を「花粉が吸着されて分解されている層」と「ただの布層」の複数の層構造にしておけば解決できると思いますが)
〇また「花粉を水に変える」というのは商品名で効能でないそうです。
以上です。
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