まさかの鳥取で、憧れのうどん生地踏みロボットふみちゃんに逢えました。
鉄腕アトムの誕生以降、これまでに様々な人型ロボットが作られてきたが、私が憧れているロボットといえば、うどんの生地を踏むために生まれてきたアンドロイドのふみちゃんである。
何十年か前にうどんの本場である香川県で誕生したものの、今や現存するものは香川にも一体だけという話を聞いていたのだが、なんと鳥取でも一体、いや一人が現役で生地を踏んでいたのだ。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
前の記事:「ジュンサイみたいな雑草、オカジュンサイを試す」 人気記事:「一番安い寝台車のシート、ノビノビ座席で寝てきた」 > 個人サイト 私的標本 趣味の製麺 ふみちゃんと私私がふみちゃんの存在を知ったのは2年前。「手打ちもいいけど!楽しい機械のうどん屋さん」という記事の取材である。
うどん作りに関する機械が大好きな所長から、今一番気になっているうどんガジェットとして教えてもらったのが、ふみちゃんだったのだ。 所長にみせてもらったふみちゃんの画像。きれい。
画像で見たふみちゃんは、想像以上に人型ロボットだった。まるでマネキンのような顔立ちのふみちゃんが、一体どんなふうに生地を踏んでくれるのだろう。そもそも人型である意味はあるのか。
所長の話では、ふみちゃんが残っているのは香川県のうどん屋に一体だけらしい。いつか逢いにいこうとか思っているうちに、こういうものは無くなってしまうんだよなと、行動力の足りない自分に悲しくなった。 ふみちゃんは鳥取にいたそして昨年である。鳥取県大山町を旅行中、地元の方に教わった美味しいうどん屋さんに、ふみちゃんらしきロボットがいるという情報を得たのだ。
「うどんの生地を踏むロボットがあるのよ。動いてるのはみたことないけど」 それはふみちゃんに違いない。別のロボでもそれはそれで大発見だが。動いているのはみていないとのことだが、ふみちゃんはまだ現役なのだろうか。 この醍醐という店で、ふみちゃんは働いているらしい。
店の向こう側はすぐ海という気持ちの良い立地だが、潮風がふみちゃんを錆びさせないかと不安になった。
これは違うな。
店の扉を開けると、すぐにふみちゃんの姿が目に飛び込んできた。
ふみちゃん! 「……」
無口なふみちゃんの代わりに、お店の方がいらっしゃいませと声を掛けてくれた。
ふみちゃん、どうやらしゃべる機能は付いていないらしい。 このふみちゃんは昭和56年生まれ席を案内していただく前に、ちょっと写真を撮らせていただいた。
これは本当にふみちゃんなのだろうか。それにしても、なぜ鳥取にふみちゃんがいるのだろう。 きりっとした表情が眩しい(窓の外が海で思いっきり逆光)。
お店の方の話だと、さぬきを意識したうどんの生地作りをサポートするため、昭和56年にこの店へ香川県から嫁いできたそうで、「ふみちゃん」や「ふみこさん」と呼ばれて、長らく看板娘として働いてきたそうだ。そうか、やっぱりあのふみちゃんだ。
昭和56年ということは、このふみちゃんは36歳(2017年当時)なのか。この店でどれだけ大切に扱われてきたのかは、その顔を見ればわかるだろう。 パッチリ二重にしっかりとしたまつ毛。そして赤い口紅。美人だ。
36歳とは思えない肌艶。そしてマネキンのような端正な顔立ち。
マネキンのような顔というか、おそらく上半身はマネキン人形なのだろう。
マネキン学校を卒業するとき、多くの同級生はデパートやブディックといった華々しい売り場へと就職したが、この娘は香川県でふみちゃんとなり、生地を踏み続ける道を選んだのだ。 そんな青春物語をねつ造したくなる魅力的なロボットなのである。 腰の拳銃を素早く抜くかのような左手。
ふみちゃんは今も現役だったこうなると気になるのは、ふみちゃんが今でも現役として使われているかである。
お店の方に確認すると、なんと毎朝お店の開店前に、ここで生地を踏んでいるそうだ。この店のうどんは、36年間ずっとふみちゃんが踏んだ生地なのだ。 設計段階で人間らしさと作業効率の狭間で揺れたであろう白い足。膝に注油と書かれている。
ふみちゃんがふみちゃんである所以は、その下半身にある。上半身は微動だにしないマネキンだが、下半身は脚が力強く上下に動き、生地を踏むようにできている。
少し内股に構えたこの両脚で、毎日生地をふんでいるのだ。そしてよく見ると、ふみちゃんは浮いていた。 ここに(おそらくビニール袋などに入れた状態で)生地を置いて、ふみちゃんが踏むことで鍛えている。
ふみちゃん、やはり香川県出身のようだ。
貴重なふみちゃんのバックショット。
ものすごく野暮だし、失礼だし、恥ずかしいことなのだが、どういう仕組みなのかが気になって、ちょっと裾をめくらせていただいた。
ふみちゃん、ごめん! チラッ。
なるほど、思っていた以上に機械だ。
メーテル、いや、ふみちゃんは太もものあたりで後ろの機械と連結しており、そこから動力をもらって足を上下させるようだ。
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