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瀕死だった「国産ウイスキー」が一転、世界に絶賛された理由

冬の時代を越えて

メダルラッシュに湧く日本産のウイスキー

「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、いま日本の食文化は世界の人々から支持されるようになってきているが、日本産のウイスキーも近年、国際的にきわめて高い評価を得ていることをご存じだろうか。

実は世界でもウイスキーの産地はそう多くはなく、スコットランドで造られるスコッチ、アイルランドで造られるアイリッシュ、米国産のアメリカン、カナダ産のカナディアン、そして日本で造られているジャパニーズが、世界の5大ウイスキーと呼ばれている。

なかでもジャパニーズは近年、世界の権威あるコンペティションで次々に栄誉ある賞を獲得し、いわば「メダルラッシュ」に湧いているのだ。

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ジャパニーズの国際的評価の高まりは15年ほど前から始まっているが、2010年以降にしぼって、その活躍ぶりを眺めてみよう。

たとえば、WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)での評価。これは英国のウイスキー専門誌『ウイスキー・マガジン』の発行元パラグラフ・パブリッシング社が主催する、ウイスキーのみを対象とした、ほかに類を見ない国際的コンペティションだ。テイスト審査のほかデザイン審査もあり、2017年には世界各国から550銘柄のエントリーがあったという。

このWWAにおいて2010年から2017年までの間に、以下のジャパニーズが各部門での最優秀賞、いわば“金メダル”に輝いている。

【響21年】
2010、2011、2013、2016、2017の“World Best Blended Whisky”
【竹鶴17年】
 2012、2014、2015の“World Best Blended Malt Whisky”
【竹鶴21年】
 2010、2011の“World Best Blended Malt Whisky”
【山崎1984】
 2010の“World Best Single Malt Whisky”
【山崎25年】
 2012の“World Best Single Malt Whisky”
【マルス・モルテージ3プラス25 28年】
 2013の“World Best Blended Malt Whisky”
【シングル・グレーン・ウイスキーAGED 25 YEARS SMALL BATCH】
 2016の“World Best Grain Whisky”
【秩父ウイスキー祭】
 2017の“World Best Single Cask Single Malt”

また、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)という、やはり英国の酒類専門出版社ウィリアム・リードが主催し、ウイスキー、ブランデー、ラム、ホワイトスピリッツ、リキュールの各部門で審査するコンペティションもある。

ウイスキー部門の審査は世界のトップブレンダ―10名によるブラインド(目隠し)テイスティングによって行われ、金賞・銀賞・銅賞が授与されるほか、金賞のうちとくにすぐれた製品にはトロフィーが贈られる。

では、このISCでのジャパニーズの2010~2017年の評価はどうか。

【響21年】 2013、2014、2015、2016、2017のトロフィー(2017はISC全体での最高賞も)
【山崎1984】 2010のISC全体での最高賞
【白州25年】 2012のトロフィー
【山崎18年】 2012のトロフィー
【ニッカ フロム・ザ・バレル】 2015のトロフィー
【ニッカ カフェモルト】 2017のトロフィー

ISCではこのほか、金賞を受賞したジャパニーズも多数あるのだが、残念ながらスペースの都合で書ききれない。

いかがだろう。ジャパニーズウイスキーが世界でここまで高く評価されていることに、みなさんも驚かれたのではないだろうか。

 

しかし、日本のウイスキーが今日、このような隆盛を迎えるまでには、“激動”ともいえる時代の波にさらされてきた歴史がある。

旨いウイスキーを造る3大要素

国産ウイスキー第1号「サントリーウイスキー白札」が誕生したのは1929年のことだった。最初の製品はスコッチの技術をそのまま踏襲していたが、焦げ臭さが強すぎて日本人にはあまり受けなかった。

以後、スコッチの伝統は生かしながらも独自の工夫を加えるジャパニーズの製法が追究されていく。第二次世界大戦が終わると、高度経済成長の波にも乗って、日本のウイスキー市場は拡大の一途をたどっていった。

だが、酒税法改正の影響などがあって、1983年を境に突如、市場は縮小に転じた。愛飲層の高齢化、若年層のウイスキー離れも追い討ちをかけ、“冬の時代”は、それからなんと四半世紀も続いた。