今週にも佐川前国税庁長官の国会証人喚問が行われようとしている。
筆者の昨日のツイッターでのつぶやき、
〈安倍憎し。のあまり官僚頑張れ、というのは本末転倒。前川氏は国家公務員法違反だったのに、反安倍を言ったら一部マスコミからは一躍ヒーロー扱い。今回も佐川氏が国会喚問で、安倍批判や安倍忖度をすれば、逆転できるかもと思っても不思議ではない。でもやったことは法律違反なんだが〉(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/975164411064102912)
は結構拡散されたが、国民の多くが佐川氏の国会証人喚問を期待しているようだ。
(なお、ここで触れた前川氏の「国家公務員法違反」とは、昨年明らかになった天下り斡旋に関する違反である。これは「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告」 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/19/1382987_04.pdf に詳しく書かれている。)
さて、近畿財務局の決裁文書の書き換え(書き換え箇所などの全文は、NHKサイトhttps://www3.nhk.or.jp/news/special/moritomo_kakikae/ にある)が、誰の指示によって、誰が行ったのかを解明するためには、佐川氏に是非ともすべてを話してもらう必要がある。
「誰の指示で誰が書き換えた」という事実解明が進まないと、この問題で国民はスッキリしない。逆にいえば、そこがポイントである。
今の紙ベースでの各省の文書管理の状況では、決裁文書の管理場所を知っている人であれば、決裁文書の添付書類を差し替えることは誰でも可能だ。
問題となっている決裁文書は近畿財務局にあったわけだが、本省の誰から、近畿財務局の誰への書き換えの指示があったのか。それはいつなのか。そして、佐川氏がそれにどう関与したのか。近畿財務局内では、本省からの指示は誰が受けて、誰に伝えたのか。実際に、誰が決裁文書の書き換えを行ったのか。
もちろん、捜査対象になっていることを理由として、佐川氏が肝心な所では国会での証言を拒むかもしれない。
こうした事実解明は、国会の証人喚問で行ってもいいし、国会で特別委員会を設けて非公開で行ってもいい。さらに、捜査当局が佐川氏を逮捕して取り調べてもいいだろう。
法曹関係者の中には、「公文書の中の一部の『削除』であるので、悪質な改ざんとは言いがたく、逮捕・立件は無理だ」という意見もあるが、国策捜査という見方をすれば、過去のそれと同じく何でもできるだろう。公文書の書き換えという、民主主義の根幹に関わる部分であるので、世論は支持するはずだ。
筆者も元官僚として、公文書の書き換えはあってはならないことであり、明らかな「違法」という感覚をもっている。今後の展開によってさらに国民感情が爆発すれば、20年前(1998年)の大蔵省スキャンダル事件の再来にもなりかねないと思っている。
さて、こうした問題の責任の取り方は、(1)刑事責任 (2)政治責任 (3)組織改正・対応策の策定などがある。それらの全体像は、前週の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54806)に書いた。
今週は、このまま世論が財務省批判にいくのか、それとも安倍政権批判に向かうのか、その点を突き詰めて考えていこうと思う。そのためにも、「誰の指示で、誰が書き換えたか」の事実解明が必要なのだ。さらにいえば、「なぜ書き換えたか」も知りたい。
書き換え前の文書は、誰が森友学園の問題に関わっていたかが明確であり、それを読めば、結局政治家の関与はないことがわかる。もちろん、昭恵夫人の影響もないこともわかる。それなのに、なぜ書き直す必要があったのか。