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喫茶王国・高知のモーニングは、みそ汁が付くだけじゃない!メニューの内容も数も県外人には想定外!

2018.03.18

人口千人あたりの喫茶店軒数が日本一(※)ともいわれる高知県。それに加え、朝食として提供される「モーニングセット」が、やたらとボリューミーかつユニークな内容と県外人から驚かれることも多い。モーニングといえば名古屋も有名だが、今回は高知の特徴的なモーニングを提供するおすすめ店を紹介したい。※総務省統計局の2014年調査より

「ザ・高知のモーニング」を提供する老舗「デポー」

高知のモーニングの特徴といえば、まずはそのボリューム。しかもトーストとコーヒーに、さらにおにぎりとみそ汁がセットになった、なんとも奇妙な和洋折衷スタイル。モーニングを提供しているお店の全てとは言わないものの、多くのお店がこの組み合わせを取り入れているのは事実。
そこでまず向かったのは、高知市の交通の要所・はりまや橋にほど近い「デポー京町店」。現在高知市内で3店舗ある「デポー」といえば、高知県人なら知らぬ人はいないほどの有名店。1977(昭和52)年に1号店をオープンして以来、一時は最大7軒まで店舗を増やした。カフェとしての利用はもちろん、モーニングやランチなど豊富なメニューで人気だ。
▲「高知のモーニングpart3」(650円)

モーニングセットは全部で6種類ある。なかでも人気なのが「高知のモーニングpart3」。時代と共に進化して現在3代目となった定番モーニングだ。ドリンクはコーヒーなど6種類からチョイス可能。8:00~11:00はもちろん、13:00~15:00にも提供している。
▲高知のモーニングの生き字引(!?)である池田登志子さん(中央)

「おそらく高知市中心部の喫茶店で、私が初めてみそ汁とおにぎりを追加したと思うわよ」と語るのはデポーの専務取締役・池田登志子さん。池田さんがデポーを始めた頃、高知のモーニングといえば、トーストにコーヒーというどこにでもある内容だった。

そこで当時メニューを考えていた池田さんは「自分が食べたいもの」ということで、トーストにおにぎりを追加した。ただしおにぎりにコーヒーは合わない。「やっぱりおにぎりにはみそ汁でしょう(笑)」。そんなことから「和洋モーニング」として提供することになった。
▲おにぎりが提供されるのは、高知のモーニングの特徴のひとつ

その頃7店舗を展開し、人気店として認知されていたデポー。その影響力は少なからずあったようで、そのスタイルを他店も取り入れたことが考えられる。現在に続く高知のモーニングのスタイルが、デポーを中心に広がっていったのだろう。
▲デポーはモーニングだけでなく、こだわりの有機栽培の豆を使い、サイフォンで丁寧に淹れるコーヒーも人気

まだあまりファストフード店やコンビニがなかった時代、高校生からビジネスマン、商店街で働く女性などの利用が多かった高知のモーニング。「今は高齢者の利用が多くなった」という池田さん。幸か不幸か高齢化の先進県でもある高知県で、今でもモーニングが愛されるのは必然かも知れない。

また高知県は「はちきん」と呼ばれる男勝りの女性が多い土地柄。家事から解放されたい女性たちのニーズから、休日に家族でモーニングを楽しむ文化があるというのも、県外の人にとっては驚きの対象となっている。
▲店内からは観光名所の「はりまや橋」や路面電車が行き交う風景も眺められる

誰もが気軽に足を運べる老舗喫茶店デポー。特に京町店は市内中心部にあるので旅行者も気軽に利用できるお店としておすすめしたい。

どれを頼めばいいか分からない!14種類ものメニューがある「パスタカフェ 八乃森」

次に紹介するのは、とさでん交通路面電車「宝永町」電停から徒歩約1分のところにある「パスタカフェ 八乃森(はちのもり)」(以下、八乃森)。生パスタ専門店でありながら、8:00から11:00までモーニングセットを提供している。
▲住宅街にありながら十分な駐車スペースを確保しているため、ファミリーでの利用も多い「八乃森」

この店のモーニングの特徴は種類の多さ。メニュー表をご覧頂くと分かるとおり、定番セットが12種類、月替わりのセットが2種類で合計14種類も並んでいる。
▲2ページにもわたる「八乃森」のモーニングメニュー

一瞬、モーニング専門店かと思えるほどの種類にたじろぐが、ここは2018年で創業35年のパスタカフェ。すべてのモーニングにミニパスタもちゃんと付いてくる。代表取締役の八木大輔さんによると「2008年くらいからバラエティ豊かな今のスタイルになった」らしい。
▲人気セットのひとつ「トースト&目玉焼き」(600円)。全てのモーニングに付いてくる冷製アラビアータは、さっぱりとした味わいで朝にぴったりのパスタ
▲「トースト&ベーコンエッグ」(670円)。こちらもボリューム満点で人気のセット。トーストを半分にする場合はマイナス20円

他県のモーニングセットの場合、例えば「トーストセット」「和朝食」といったシンプルなメニュー構成が多いだろうが、高知の場合、モーニングセットの種類は5種類程度は当たり前、多いところでは八乃森のように10種類以上のモーニングセットを提供するところも!
▲モーニングセット以外のドリンクもすべて「朝食価格」で超お得に提供してくれる

さらにもうひとつの特徴として、モーニングセット以外のドリンクも追加料金30円~ですべてオーダー可能なこと。例えば通常価格480円のミックスジュースが100円だから、かなりお得だ。しかもその数は30種類以上!さきほどの14種類のモーニングと組み合わせれば、メニューの構成は無限に広がっていく。

どうしてここまでメニューが増えたのか、八木さん自身も「昔のことは分からない」と苦笑するが、モーニングを楽しむ文化が根づいた高知県の場合、様々なニーズに応える必要性や他店との差別化を図るため、メニューが徐々に増えていったと考えられる。
▲木のぬくもりを感じる店内は、ゆったりしたレイアウトでくつろげる

住宅街にあり少し分かりにくいロケーションながら、地元の人に愛されている「八乃森」。旅行者にとっても、高知の日常のモーニングの雰囲気を感じながら楽しめるお店だろう。

もはや和洋の範疇を超えた「サザンスタイル」の南インド風モーニングセット

▲はりまや橋から車で20分ほどの場所にある「アーユルベディック カフェ サザンスタイル」

ボリュームやメニューの多さだけが、高知のモーニングセットの特徴ではない。ほかにも「朝からビールと楽しめるモーニング」、「オールタイムモーニング」など、少々いき過ぎたと思えるモーニングセットを提供するお店もなきにしもあらず。その個性の豊かさもまた、高知のモーニングの特徴なのだ。

そこで最後に紹介する個性派モーニングは「アーユルベディック カフェ サザンスタイル」(以下、サザンスタイル)のモーニングセット。こちらでは、インド古代から続く医学「アーユルヴェーダ」の考えに基づいた、ヘルシーなスパイス料理を提供する。南インドやスリランカの朝食をオリジナルアレンジしたセットと言える。
▲モーニングセット「Bセット」(630円)。ドリンクは、通常380円のメニューからオーダー可能(+20円で400円のメニューにも変更可)。今回はプレーンチャイをセットにした
▲左からモーニングセットのメインとなる「ポテトマサラ」「チャナマサラ」「エッグマサラ」。いわゆる「カレー」なのだが、日本人が想像する一般的なカレーとは異なるスパイス料理

モーニングセットはメイン違いの3種類。ポテトマサラの「Aセット」(580円)、今回オーダーしたチャナマサラの「Bセット」(630円)、エッグマサラの「Cセット」(680円)だ。

楽しみ方は、これらのメイン料理を「ロティ」と呼ばれる自家製パンに挟んでサンドイッチ風にするのが最もポピュラーだが、「特に決まりはなく自由に味わって」と店主の豊後(ぶんご)克典さんはアドバイスする。
▲全粒粉を使った自家製パン「ロティ」に「チャナマサラ」をサンドする。チャナマサラとは、ひよこ豆のカレーのこと

それぞれのメインはカレーというより、スパイスの香りと素材の味がしっかり楽しめ、あとからジワリと刺激が広がってくる味わい。朝の目覚ましにはちょうどよい心地よさだ。添えられたトマトやココナッツのチャツネ(野菜や果物を煮込んだペースト)を加えると、また異なる味わいが広がる。

サイドメニューは不定期で変わる野菜のスープとひよこ豆とキュウリのサラダ、バジルシードのデザートなど、サザンスタイルのモーニングセットは体への優しさがたっぷり詰まっている。
▲店内は三方向から光が差し込み、ちょっとしたリゾートのような雰囲気

若い頃インドで放浪経験を持つ豊後さん。帰国後も一時は設計士として働くが、「どうせなら好きなことをしよう」とこの店をオープン。朝食をしっかり食べるインドの食生活に触発され、このモーニングセットを提供することを思い立ったという。

ヘルシー志向でちょっと一風変わった朝食をお望みなら、サザンスタイルはおすすめしたいお店のひとつだ。
ボリューム、メニューの多さ、そして個性派モーニングまで、地元の人たちから愛され続けてきた高知の喫茶店のモーニングセット。今回紹介した3店はすべて高知市内にある。ホテルの朝食に飽きてしまった旅行者にもきっと楽しめるはずだ。

※価格はすべて税込です。
藤川満

藤川満

清流・仁淀川流れる高知県いの町在住。出版社勤務を経て「撮って書く」フォトライターに。カヌーやトレッキングなど自然と親しむ一方で、利酒師の資格を有する日本酒党。またジャズライブの撮影はライフワークのひとつ。

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