NEC 日本電気 リストラ

退職理由は「尊敬できる上司がいないため」 リストラ報道のNECで続く若手社員の流出

退職理由は「尊敬できる上司がいないため」 リストラ報道のNECで続く若手社員の流出

NEC(日本電気)が2018年度中に、3000人規模の希望退職を募ると発表した。国内グループ会社の従業員8万人が対象となる。2016年4月から社長を務める新野隆氏(63歳)が1月30日、会見で明かした。同社には2001年度から3回のリストラを繰り返し、計1万人以上を削減してきた経緯がある。


自分のことしか考えない「50代以上」が批判の的に

報道されているNECのリストラは、2012年に行った5000人超の人員削減が直前のものだが、その後も内部ではさまざまな形で締め付けがあったようだ。

企業口コミサイトの「キャリコネ」を見ると、2013年度に退職した30代女性から、「会社の業績が悪化して派遣切りに遭った」という書き込みが寄せられている。

現場では働きを評価されていた派遣スタッフも、業績悪化によってトップダウンで契約を切られてしまう。そういう状況がすでにあったようだ。

口コミで目につくのは、退職理由に「上司」を挙げている人の割合の高さだ。2016年度に退職した30代女性は、「尊敬できる上司がいないため」とその理由を明かす。

この女性は、会社の業績が年々悪化して危機的な状況にもかかわらず、「自分たちがいる間だけ会社がもてばいいと思っている50代以上」が多いと憤る。

「会社にしがみついている人が、仕事を膨らませる」

こんなことでは、せっかくのリストラで人員を削減しても、残った社員に余計な仕事のしわ寄せが行って疲弊してしまうだけ、という結末にもなりかねない。

2017年度中に退職予定という30代男性も、退職理由に「管理職以上に尊敬できる人がほとんどおらず、みんなあまり熱心に仕事していない」点を挙げる。

同様の指摘は、2013年度に退職済みの30代男性のシステムエンジニアも書き残しており、「早い成長を希望していたため物足りなくなった。中間管理職層が極端に厚い」と明かす。

2015年度に退職した20代の研究開発担当も、過去の希望退職で優秀な人材はすでに流出してしまい、「高年齢の管理職」だけが残っていると嘆いている。

この他にも「ここにしがみつかなければならない人が残り、そういう人が仕事をつくり、膨らませ、邪魔をする」といった書き込みなど、同様の退職理由を挙げる若手が続出している。

フジテレビはバブル世代に「最高7000万円の退職金上乗せ」

共通するのは、中高年の管理職層の人数が多く、彼らの働きが悪いために、業務の効率化・スピード化を妨げられており、若手社員のやる気を削いでいるという告発だ。

こうなると、現在50歳を超えている大量採用の「バブル入社組」がボトルネックになっていることは、想像に難くない。同様の告発は2016年度に早期退職制度を実施した、あの東芝の社員からも聞かれる。

このような問題は、NECに限られるものではない。元フジテレビアナウンサーの山中秀樹氏(59歳)は、古巣で囁かれるリストラの噂について、こうツイートしている。

7000万円は「上乗せ分」なので、総額で1億円を超える人も珍しくないのだろう。そうまでしてでも、フジテレビは50歳以上の世代に、どうしても辞めてもらいたいのだ。おそらくNECだけでなく、他社でも広く同じような組織的な問題が生じているのだろう。

工場リストラの前に着手すべきは…

NECのリストラ報道には、ネット掲示板の5chにも辛辣な書き込みが並んでいる。

「ここはふんぞり返っているだけのクズ管理職が多いから、また技術者が流出するだろう」
「なんで(希望退職を)募るの?無能なやつをクビにしろよ」
「ゴミが残る。いい加減、金銭解雇認めろよ」

フジテレビもNECも、バブル世代が入社したころには業績が絶好調だった。その時代が忘れられない人たちが、業績回復のボトルネックとなっている。

これまで大企業では、「働かなくなったおじさん」を子会社に出向・転籍させて、その弊害を緩和する方策と採っていた。しかしグループ全体の経営を考えると、子会社もそんな「お荷物」を引き受ける余裕がなくなっている。

確実に言えることは、会社の収益改善を牽引するのは、本社をはじめとする「グループ内の若手技術者たち」ということだ。海外を含む最先端のインターネット技術やサービスの変化に対応できる彼らの生産性を上げないことには、業績のV字回復も望めないだろう。

工場や間接部門のリストラもさることながら、まっさきに着手すべきは「あの層」の圧縮であることは確実だ。それでも会社は時間稼ぎをして逃げ切りを許すのか、それとも会社立て直しのために摘出することができるのだろうか。

今、あなたにオススメ
Recommended by

この企業情報の記事作成

関連するキーワード


NEC 日本電気 リストラ

関連する投稿


【ITベンダー業界研究】富士通 vs NEC 比較――就職・転職するならどの会社?

【ITベンダー業界研究】富士通 vs NEC 比較――就職・転職するならどの会社?

今回は日本の「電機大手」8社の一角を占める、富士通とNEC(日本電気)を取り上げます。ともに「旧電電ファミリー」の「ITゼネコン」として公共分野に強いという共通点があります。また、ハードメーカーからの脱却を図り、近年はグループ企業を再編してITサービスにシフトし、収益改善を図っている点も似ています。

富士通 NEC


最新の投稿


ディーエムソリューションズ株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

ディーエムソリューションズ株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

2004年創業。東京都武蔵野市に本社を置く。2017年6月には東証ジャスダック上場。人と組織をつなぎ、価値と利益を創造するマーケティング会社として発送代行事業とインターネット広告事業を展開。2事業の連携により生み出される新たなソリューションへの展開を進め、マーケティングの最大化、負担軽減と利便性・経済性の向上を実現。

東証ジャスダック ITサービス・ソフトウエア 東京都


株式会社ヨシタケに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

株式会社ヨシタケに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

1937年「フシマン製作所」として創業開始。建築設備やプラントなど産業分野に欠かせない自動バルブの総合メーカーであり、減圧弁・安全弁においては国内トップのシェアを誇る。国内に11拠点、海外では18か国において販売店を持ち、2009年には宏洋サンテック(株)を完全子会社化。アジアを中心として海外生産にも力を入れている。

愛知県 東証ジャスダック 建機・工機


ナトコ株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

ナトコ株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

1948年に名古屋塗料(株)として設立。自動車等の金属用と住宅内外装用塗料を主力とする塗料メーカー。研究開発では樹脂開発を根幹とし、オリジナル発想型の応用技術を各分野で開発に取り組んでいる。近年ではファインケミカル事業の用途開発強化や各種インク、意匠、機能など一括した提案をする新たな分野への進出を図っている。

愛知県 化学・繊維 東証ジャスダック


株式会社ブロッコリーに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

株式会社ブロッコリーに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

ゲームやアニメ、音楽、映像、カードゲームのコンテンツビジネスと、そこから派生したキャラクター商品の企画・製造・販売をしている企業。2010年にTVゲームの「うたの☆プリンスさまっ♪」、2012年にはトレーディンクカードゲーム「X/Z」を創出。最近ではスマートフォン向けゲームアプリやフィギュア市場にも事業を拡大している。

東京都練馬区 東証ジャスダック ITサービス・ソフトウエア


IMV株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

IMV株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

1957年にIMVの前身である国際機械振動研究所を設立。大阪府大阪市に本社を置く。地震計測機器や電気試験装置の開発・製造を主に行う精密機械メーカー。また、東京・大阪・名古屋・山梨の4ヶ所にテストラボがあり自動車や鉄道・耐震試験など世界基準の試験技術を提供している。

東証ジャスダック 電機・電子 大阪府


wiget_w300 wiget_w300