2018-03-18
ドル安の謎を解く

経済 |
バリー・アイケングリーンが、過去1年間のドル安の進行は予測できなかった、とProject Syndicateに書いている。アイケングリーン自身は以下を根拠にドル高を予想していたという。
- 減税と金利の正常化は、拡張的な財政と緊縮的な金融政策の組み合わせをもたらすが、そうした組み合わせはレーガン=ボルカー時代にドルを押し上げた。
- 税制変更により米企業が利益を本国に戻し、資本流入が増加することもドル高に寄与するはず。
- 新たな輸入関税は輸入価格を高めて需要を国内製品に向けるが、完全雇用に近い経済ではそれを相殺するように需要を海外に戻す効果が働くはず。それは実質為替相場の増価で起きる可能性が最も高く、それもインフレよりはドル高で起きる可能性が高い。
しかし1年以上に渡って市場がそれとは逆の動きを示した以上、その理由を考えねばならない、として以下の説明候補を挙げている。
- トランプが公約を実行しなかった
- 政治の不確実性
アイケングリーンは最後に、ホワイトハウスの混乱が続けばドルはさらに下落するかもしれないが、トランプが3月1日に鉄鋼とアルミへの輸入関税措置を発表した時には株が下がりドルが上がった、と指摘し、それが今後の為替相場の前触れかもしれない、と述べて論説を結んでいる。
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