文部科学省の前川喜平前事務次官が名古屋市立中の授業で講演した内容を、同省が名古屋市教育委員会に報告するよう求めていた問題で、この報告要請の前に、地元の自民党衆院議員が文科省に、前川氏が授業に招かれた経緯などを複数回問い合わせていたことが18日、政府関係者への取材で分かった。
文科省は16日に開かれた野党6党の合同ヒアリングで、外部から照会があったことは認めたが、誰からだったかは「控えたい」とした上で「あくまで文科省初等中等教育局の判断で調査を決めた」と強調した。ただ、与党議員からの照会が市教委への報告要請の前だったことから、同省の判断に影響した可能性もある。
この議員は自民党の文部科学部会に所属し、文教政策と関わりがある。
前川氏は昨年1月に文科省の組織的天下り問題で引責辞任した後、学校法人加計学園の獣医学部新設を巡る問題で「行政がゆがめられた」と公に発言するなど、安倍政権に対する批判を繰り広げている。
前川氏が講演した中学校の授業は2月16日にあり、翌17日に地元紙が内容を報じた。文科省は、この記事をきっかけに前川氏が講師として招かれていたことを把握したと説明。今月1日、学校が前川氏を招いた理由や授業内容を細かく尋ねる15項目の質問をメールで名古屋市教委に送った。
初中局は当初、調査に関して文科省の政務三役には相談せず、12日になって林芳正文科相に報告した。林氏はその際「メールの表現ぶりにやや誤解を招きかねない部分もあった」として、初中局長を口頭で注意した。(共同)