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アルゴリズムで見えなくなった世界と「押し入れ男」

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情報管理LOGの@yoshinonです。
皆さんは、Twitterや、FacebookなどSNSをやっていますか? TwitterやFacebookは、ずいぶん前からアルゴリズムによって、タイムラインに表示する内容を独自にカスタマイズしています。これによって、よく見る内容のものがさらによく表示され、あまり見ない内容のものはどんどん表示されなくなってしまうということが起こっています。
今回は、このアルゴリズムによって起こっている弊害について考えてみたいと思います。



  
【 アルゴリズムで見えなくなった世界と「押し入れ男」 】  

 1.TwitterやFacebookなどが、タイムラインを改変?

 2.読みたい見たい投稿しか見えなくなった世界

 3.「押し入れ男」について







checkmark.png 1.TwitterやFacebookなどが、タイムラインを改変?

Twitterは、2016年頃に。そして、Facebookは2017年頃にタイムラインを独自のアルゴリズムによって表示させるということにしました。

Never miss important Tweets from people you follow
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Twitterがタイムライン変更を公表 アルゴリズムを導入
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ニュースフィード(タイムライン)の表示順はどう決まる?Facebook・Twitter・Instagramのアルゴリズムを理解してリーチを伸ばすには
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それ以前は、タイムライン上には全ての投稿が時系列に並んでいました(まあ、タイムラインだからね)。しかし、それだと多くのフォロワーやフォローがいる場合、自分に興味のない投稿もたくさん表示されてしまい、いわゆるSNS疲れが起こる原因ともされていました。

最初の頃は、多くの熱狂的なユーザーの間では、これらの機能はかなり不評でそれをオフにするための方法などが、共有されました。

しかし、大多数のライトユーザーにとっては、特に大きな影響を感じることもなく、それどころか、今まで多数のフォロワーやフォロー数のあった人にとって、混沌としたタイムラインが、なんとなく近しい感じの人が優先的に表示されるようになったように感じ、逆に好ましいという意見も多く見られました。

確かにあまり親しくないフォロワーの大量投稿に悩まされたりすることから解放されるというのは、ある一定層にとってはありがたい感じではありました。



checkmark.png 2.読みたい見たい投稿しか見えなくなった世界

私は、どちらかといえばリベラル派なのですが、とはいえ極端な偏りを持っているわけでもありません。しかし、先日来より盛り上がっている公文書の改竄問題などでは、民主主義の根幹を揺るがす犯罪レベルだという認識は持っています。
※このあたりの議論をしたくて書いているわけではありませんので、クソツィートはいりません。この文章の趣旨をご理解ください。

先日、Twitter上で今回の公文書の改竄問題に関するエクストリーム擁護を揶揄するようなツィートが流れてきたので、それをクリックして読んでいました。「なるほど、そういうアクロバティックな見方をすることも可能なのだな」と半ば感心しながら読んでいました。

しかし、それをいくつか読んだあとに、Twitterのタイムラインに戻ってきてみると、自分のタイムラインが、今までの様子と激変していたのです。もちろん、今まで仲良くさせていただいている方々の投稿は見えますが、それ以外に大量のいわゆるネトウヨの皆さんの投稿がたくさん表示されるようになっていたのです。

そういう記事を読む政治的な傾向を持つ人向けな人だという判断をアルゴリズムが判断したのでしょう。

さて、ここで私は、かなりびっくりはしたものの、逆の意味で恐ろしさを感じたのです。なるべくアンテナを高くして、様々な角度から物事を見ていきたいと思っているものの、少なくともSNS上では、自分が見たい読みたいものに対する強烈なバイアスがかかっているという状況にです。

まるで透明な壁で他の世界と区切られているような感覚です。

そういう世界があると分かってもいるし、理解もしているが、そもそもそれ自体が見えない(見えづらい)ので、認識することが難しいということです。

よい例えかどうかは分かりませんが、例えば「月の裏側」。
月の裏側があるということは理解していますが、それを日常的に目にすることはありません。
それと同じような感覚ですね。

ちなみに月の裏側は、こんな感じ。




きっと、Twitter上で炎上を起こしてしまう人というのは、そういう透明な壁の向こう側にいる人が見えないため、いつも自分の目に見えるタイムラインが世界の全てだという認識になってしまうからなのかな?と思ってしましました。

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checkmark.png 3.「押し入れ男」について

さて、「笑うセールスマン」という漫画をご存じでしょうか?
藤子不二雄Ⓐ氏のブラックユーモアたっぷりの漫画です。
その「笑うセールスマン」のアニメの11話に「押し入れ男」という話があります。
これが、その動画。




アパートの家賃を滞納していた売れない漫画家が、大家さんによって追い出されそうになっていたところ、喪黒福造の計らいによって、押し入れの中で漫画を描けるようにしてくれました。そうすると、まるで今までのスランプがウソのように、安心して漫画を描けるようになり、さらに連載までできそうになるというところまでいきます。
押し入れの中という環境は、まるで母親の胎内のようで、その中でずっと暮らしていたいと思うようになります。しかし、とうとう大家さんに見つかってしまい、追い出されることに…。
責任をとるということで、喪黒福造が押し入れの中のような環境を用意してくれました。「ずっとその中にいても良いが、絶対出ないように」と申し渡す喪黒福造。次第に漫画は軌道に乗り、人気も出てきます。ある時、「喪黒福造が、自分が儲けたお金を独り占めするのでは?」と思い、その部屋から出ようとするのですが、固く閉ざされ出ることができません。必至で壁を叩くと、壁が開き中に光が差し込んできます。光が満面に差し込むビニールハウスの中に建てられたものだったのです。押し入れの中の環境に慣れすぎたその男は、その光に耐えきれず、机の下に潜り込んでずっと出てこれなくなった…。


笑ゥせぇるすまんの怖いトラウマ話ベスト10!! - 仮想通貨とアニメと


という話でした。

先ほどのTwitterのタイムラインを見た時に、真っ先に思い出したのが、まさにこの「押し入れ男」の話でした。

アルゴリズムによって、まるで「押し入れ男」の押し入れのように心地よく、外の世界のノイズが入ってこない世界が、まさに生み出されているのではないかと思ったのです。

自分にとって都合の良い情報
自分にとって耳目が気持ちよい情報
自分にとって考えが共感できる情報


そういうものしか目に入らなくなってしまった世界というのは、まさに「押し入れ男」そのものなのではないかと思うのです。そして、私たちはアルゴリズムによって、透明な壁に囲われた巨大な押し入れの中に入ってしまっている可能性を意識しなくてはいけないと思うのです。




 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 人は信じたいことを信じる

はてさて、この言葉は、誰の言葉だったのか?と調べてみると、どうやらカエサルの言葉の亜流のような位置づけのようですね。元は、

「ほとんどの場合、人間たちは、自分が望んでいることを喜んで信じる」

まあ、大意は合ってますよね。
しかし、「喜んで信じる」という部分が、カエサルの並々ならぬところだと思うわけです。そう喜んで信じてしまうのです。

コンビニのアイスのケースに入った自分たちを見て、Twitterのみんなは喜んでくれるに違いないと、自分のタイムラインだけを見てそう信じてしまったり。学校の延長で書き込んでいたら、「それいじめだろ!」と炎上したりというのは、この透明な壁によって、いつも目にしている情報がその向こう側にも人が大勢いることを意識させないぐらいになっているのですよね。

今回は、自分への戒めとして書きました。




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