薬屋をさがしてオリオン通りというところをあるいた。何もない町だった。何もないがタバコの自販機だけはやたらにあった。電子タバコ専門店というのができていて、ゆるキャラみたいなのと地元の放送局が生中継をやっていて人だかりができていた。看板にはニコチン0とか健康にいいとかマイナスイオンとか嘘がならべたててあった。薬屋はその宇都宮の人気スポット、嘘だらけの看板をつけた電子タバコ専門店の向かいにあった。マツキヨなら980円くらいの風邪薬が2980円だった。これほど何もなく物価の高い町はひさしぶりで、20年くらい前に虐殺の取材で訪れたアフリカのどこかの田舎町なみだと思った。もう二度とおとずれることはないだろうが。
あのグンマのさらに向こうにあるらしいという言い伝えの土地か……。